コラム・特集

3.6 数理計画法

IEハンドブック

第11部 計画と管理

第3章 総合生産計画

3.6 数理計画法

 

数理計画アプローチにおいては,需要予測は正確であると仮定され,それゆえ, 期間全体に対する生産計画が最初に決定されてもよい。計画はそれから期間ごとに新しくされるが,それは期間ごとに,在庫水準における実際の需要の効果に関して,よリー層の情報力淋可用可能となり,将来の需要に対する予測が新しくされるからである。いくつかの代替的な数理計画モデルが,設定される仮定の複雑さに依存してつくられるが, 2, 3の例がここでは議論される。

モデル1:生産・在庫費用
後に導入される記号に加えて,以下のものを定義しておく

   Pt=期間tの生産率(t=1, 2,・・,T)
=xt-yt+zt                                                            
(24)

xt=期間tの正規時間における生産率
yt=期間tの残業時間における生産率
Zt=期間′の外注(または, 3交替制)による生産率
c1=正規時間における単位費用
c2=残業時間における単位費用
c3=外注生産における単位費用
It= ′期末における在庫水準
c4=期末在庫水準の単位費用
Ft= 期間tに対する需要予測
St =期間tにおける出荷または販売量

それゆえ,生産費用は区分的に線形であり, もし,
c3>c2>c1
ならば,その解は,残業生産のまえに正規時間が十分に使用されることを,また同様に, どんな外注も,残業時間が利用可能な間に起こらないことを保証するだろう.費用パラメータc3,c2,c1は,ここで時間と独立であると仮定されているが,モデルはこれらのパラメータのおのおのが,期間が異なれば異なった値をもつ場合をも同様に取り扱うことができる。

期末の在庫水準は式(5)によって計算され,また当初計画において,初期在庫Ioを考慮することができる。
それゆえ,受注残がある場合には,
      It=Io+∑=1 (p1-S1)                                    (25)
であり,期間tの在庫保管費用はc4Itである

総費用関数は,そのとき,
      C=Σ (c1cx+c2yt+c3zt+c4it)                      (26)
となる。制約条件として,例えば、

      At≦xt≦At                                             (27)

      Bt≦yt≦Bt                                                 (28) 

      Ct≦zt≦Ct                                                   (29)

がなければならないだろう。ここで,At,Aiは,それぞれ期間′における正規時間中の生産率の下界,上界であり,他の制限, Bt,Bi,なども同様に定義される。

下界は, しばしばゼロであるかもしれないが,ときにはある事前の実行によって得られた雇用の最低水準,または外注に着手した最低水準が,正の値を与える下界になるかもしれない。上界は,単純に利用可能な設備の生産能力を反映しており,上界を期間と独立にすることによって,労働力水準の変化が考慮されうる。

在庫切れ

いままでは,この線形計画法による定式化において,どんな文献も在庫切れに対して考慮されていなく,式(26)に対する最小費用解が,下界と同等量を生産することによって達成されることを見ることは困難ではない 過度の品切れを起こさぬようにするのには, 2つの方法がある。

1.モデル1.1 制約は,例えば,次のような形で在庫水準に課せられる。

It≧Ix          (30)

ただし,f″ は維持されねばならない絶対的な最低水準である(この中で,Pは負でさえあってもよい また,もし″を期間ごとに変えることが望ましいならば,そのとき式(30)の′″は′″に変えられるだろう)。

あるいは,これに代わる制約として,

It≧κFt+i        (31)

が考えられ,ここで力は定数である。この式は,期間′の期末在庫は,少なくとも次期の需要予測の所与の割合でならないということを表わしている.線形計画モデルは,それゆえ,次のように定義されうる.式(25),(27),(30)または(31)で表わされる制約と要件のもとで,式(26)の評価関数を最小化するようなxt,yt, Zt の値を見出せ。

2.モデル1.2
品切れに関して,単位当たりε5錮金が課せられる。また,在庫水準は

It=Ut-Ut             (32)

によって置き換えられる。ただし,Utは期間tの期末在庫量,Utは品切量であり,UtとVtの両方とも非負である。

それゆえ,Vt>0ならば,そのときVt=0であり,また,もしVt>0ならば,そのときvt=0である。費用関数(26)における在庫費用の項は,いま,

在庫費用=c4vt+c5Vt      (33)

で置き換えられ,われわれはそこで“′,υt,vt′を決定変数とみなす。c4キc5であり,UtとVtにはどんな上界もないのであるから,線形計画に対する解は,各期間に対してUtかVtのどちらかを含むであろう。

モデル2:労働力
モデル1では,労働力は決定変数として表われていない。もし ,利用可能な労働力と正規時間において可能な生産率との間に,一定な関係が維持されなければならないという仮定がなされるならば,そのときモデルは,それに応じ て修正される必要がある(訳注:以下,詳細な 議論は式(34)~ (36)と ともに省略する。


生産平滑化の線形計画モデルに関する評価
まず,費用関数が線形であるこれらのモデルにおける 基本的な仮定が問題にされるかもしれない そのような仮定が支持されえないところでは,非線形計画モデルをつくる必要があるが,それは線形計画問題より複雑であり ,解くのにずっと長い時間を要する。より重要な問題は,われわれかも確定的問題を取り扱っているという暗黙の仮定である。この仮定は,すべての需要予測が,それらがあたかも 正確であるかのように取り扱われ,それらすべてが等しい重みをもつことから生じてくる明らかに,線形計画モデルの解を,期間ごとに更新する手順は,新しい 情報を考慮するのを 助けるが,次期の生産水準が,より遠い将来に対する予測によって有意に影響されうるという事実は,た えもしそういった予測が,近い将来の予測よりあまり 信頼できないとしてそのままである。この困難性は,ある程度まで計画期間を縮小させることによって緩和されるが,この重要な指摘は基本的に妥当である。

計画期間問題は,また,終末条件の問題を提起する。もし何も述べられないならば,モ デルによって,最終在庫が計画期間の終わりにはゼロになるような解が作られるだろう.それはまた,総費用を最小化する試みによって,計画の終わりには資源(マン・パワーのような)を劇的に減少させることができる。

この「終末効果」は,満たされねばならない生産・在庫の終末条件を,最小にすることを指定するか,実施上考えられるより,より長い期間に対して計画することによるかの,どちらかによって除去されうる。もちろん,将来の期間に対する期待費用を,割引手順で求めることは可能であり,それゆえ,予測に対する等しい重み付けと終末効果の両方の問題は, ほとんど重要でなくなるが,しかし,その場合には,最終結果は割引率の値にかなり依存するであろう 線形計画法によって生産平滑化問題を解く利点は,モ デルの単純さと, 比較的容易に資源の利用可能性に関する制約を取り扱えるというところにある。また,それは影の価格についていくらかの情報を与え,資源制約を広げるさいに有利な仕方を示してくれる。

費用パラメータが線形でない場合に, しばしば線形化が試みられるのは,まさにこれらの利点のためである。そのような試みをするのには,多くのやり方があるが(例えば,Hanssmann and Hessを見よ)。1つの興味あるアプローチは,日標計画法による定式化によって,線形費用パラメータの値の最小化を目指すものである, しかしながら,そのような方法の効果性は,その効果が含まれる非線形性の程度に依存して表われるので,それについて一般的な記述をすることは不可能であり,それゆえ,任意の特定のアプローチを採用することに対する正当性は,どうしても任意に与えられた場合についての比較検討にかかっている。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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