コラム・特集

3.4 DE 決定規則

IEハンドブック

第11部 計画と管理

第3章 総合生産計画

3.4 DE 決定規則

モデル
次に示す生産平滑化問題への異なったアプローチは,計画者の評価基準が総費用関数の最小化ではなくて,生産・在庫水準における最小化でなければならないということを示唆している。

このアプローチは,DezielとEilonによって研究された方法「DE規則」によって例示される。彼らのモデルは,以下の仮定にもとづいている。

1.決定変数は生産量Qtであり, この決定は期間tの最初になされる.労働力水準が単独で決定されることはない。
2.生産の決定から実施までには,L期間のリードタイムが必要であり,期間tにおける生産水準Ptは,

    Pt=Qt-L                                                  (15)

である。

3.すでに仕掛中の生産注文は変更することができない。

4.期末までに処理できない注文は受注残となる。
決定規則は,次の形をとる。

Qt =k〔R―It-1―t-1 Σ t-L(Qi-D) ]+ D    (16)

ただし,

Qt =期間′で決定される再発注量
R=安全在庫
It-1=(t-1)期末の在庫水準
D=期待需要水準
k=平滑化定数(0≦ k≦1)

R-It-1は,その量だけ在庫水準が安全在庫要求以下になることを述べており,角型かっこの第3項は, リードタイム中に生産が需要を超える累積超過を表わしている。もし, 力=0がとられるならば,そのときの決定規則は,期待需要に等しい量を発注することにはかならない。

もし,期待需要Dの代わりに予測F′が式(16)に代入されるならば,決定規則は,

Qt=k[R-It-1 -t-1・∑・t-L]+(1+rL)Ft   (17)

となる。ただし,Fiは期間当たりの需要予測を表わしており,ある予測手順から導くことができる。例えば, もし単純指数平滑法が使われるならば,そのとき,

Fi=dDt-1 + (1-a)Ft-1                                             (18)

であり, ここで,

F` =当期の需要予測
F′ 1=前期の需要予測
21=(″ -1)期の実際の需要
α=予測における平滑化定数(0≦ α≦ 1)

それゆえ,決定は2つの平滑化パラメータ, kとd,を含む。システムの成績は,以下のようないくつかの尺度によって記述できる。

1.在庫水準における標準偏差σiの変動
2.再発注水準における標準偏差σQの変動
3.もし需要が突然に増加するならば,在庫切れの水準が増大する.この需要の突然な増加の結果,供給されえない在庫量の不足は,

r=q’-q

として定義される。ただし, qは需要が定常であるときの,将来の品切れの期待水準であり,q′は平均需要が突然に増加するときの,将来の品切水準である(qとq’,の両方とも所定期間にわたって測定される)。それゆえ, rは需要パターンの”妨害″による結果を(品切れで)表わしている。

4.もし妨害が起これば(例えば,需要水準における離散的増加), システムは在庫によって需要を満たし,発注によって生産水準を増大させようとする(表11.3.7を参照。これはアナログ・コンピュータ上でシステムのシミュレーションを行って得られたものである)。

しばらくして(経過時間Tr), 在庫は生産水準の変更によって十分に補充されて期待在庫水準に落ち着く。

それゆえ,提案された管理手順の目的は,平均需要水準における突然の変化に十分に早く応答し,さらに,生産率が見せかけの需要変動によって影響を受けないように防ぐ方式を与えることにある.これが,平滑化問題の本質である。

それゆえ,DEモデルでは3つの代替的な基準が考えられる。

1.次式

  c=ασI十bσQ                                     (19)

 を最小化せよ。ただし,a,bは定数である。

2.次式

  c=ασI十bσQ+cϒ                               (20)

 を最小化せよ。 ただし,α ,b,c は定数である。

3.基準1と同じであるが,Trの最大値に制約がつく。

基準1は,需要分布が本質的に定常である場合に主に関係があり,それゆえ, 2つの代替的アプローチ2または3の特別な場合である。基準2は品切れの影響の範囲をみて,受容水準を超える品切れを許す代わりに罰金を要求するが,それに対して,基準3はシステムが合理的な期間内に,突然な妨害から回復するのを確保することを考えている。

DEモデルに関する評価
この研究から得られる興味ある結果は, αとkに関する結果の対称性である。図表11.3.8,11.3.9は,それぞれσQ,σ Iに対する異性体訳注の例であり,後者はα=k=0.4で鞍点をもつ鞍部空間である。

基準3に従う費用関数の1例は,図表11.3.10に示されている(そこでは,需要の突然な増加, △D,が考えられており,増加幅は需要の標準偏差σJこ等しい)。一般的に,上記の3つの代替的基準のどれに対する最適解も,α =々か,ときに力=0(あるいは, α=0)かのどちらかにあるということが見出されている。

この結果は,決定パラメータα, kの最適値を確立するのに,単一のパラメータに対する値の範囲のみを精査すればよいということであるから,それに必要とされる探索(しばしば, シミュレーション・アプローチに従う)を実質的に減少させる。

DEモデルが,本質的に単一決定変数を決定することに帰着されるという事実は,単純化のためには明らかに利点である。また,モデルはリードタイムLを考慮しており(そして,さらにその値を変えることの効果を評価するのにも利用でき), これはHMMSモデルがもっていない特徴である。

しかし,HMMSとの直接的な比較は, 2つのモデルが異なった構造と仮定にもとづいているので行うことが困難である。DEモデルでは,HMMSモデルによって要求されるような,多くの費用パラメータを決定する必要がなく,以前に議論されたその問題の多くを回避している。他方,DEモデルでは,式(19),(20)におけるように,評価関数で使用されている2, 3の重み付けパラメータを指定することが必要とされており, これらのパラメータは費用を含み,なおかつ慣習的な会計手順から直接に導くことが困難である DEモデルの他の欠点は,次期に対する需要予測を組み込んでいることであるが,その後の期間に対してではないということである。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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