コラム・特集

3.3 HMMS決定規則

IEハンドブック

第11部 計画と管理

第3章 総合生産計画

3.3 HMMS決定規則

モデル
平滑化問題は,Holt,Modigliani,Muth,Simonによって,広範囲にわたって研究されたが,彼らは4つの費用要因,すなわち正規生産費用,雇用・解雇費用,残業費用,在庫費用,が考慮される必要性を示唆した 彼らは,それらについて以下のような費用構造を提案した。

1.正規生産費用

Ci(1)=c1Wt                                             (1)

ただし,c1は定数である。ここでの仮定は,費用が労働力の大きさ,Wi,と線形関係になっていることである。

付加的な費用項目として,固定費用を式(1)に加えてもよいが,それは総費用に定数を加えることになるから,解には影響を与えないだろう。

2.雇用・解雇費用
労働力を増大させたり減少させたりする費用は, 2次関数形であると仮定されるので,期間′における費用は,

ct(2)=c2(Wt-Wt-1)2乗          (2)

である.ただし,Wt-Wt-1は期間t-1からtまでの労働水準における変化であり、c2は定数である。 式(2)において、費用は対称であると仮定されているが, これは労働力の■定量の増大,減少は同じ費用をこうむるということである.非対称な費用関数は,例えば,

ct(2)=(Wt-Wt-1-c11)2乗                     (3)

によって導入できるが,著者はこの定数の付加は「最適決定を求めるのには無関係となっている」と述べている。

3.残業費用
ある生産水準に対して,それに対応する望ましい労働力水準があると仮定する.もし労働力に余裕があれば,そのとき余分な費用が遊休時間において発生する。もし労働力に不足があれば,そのときは残業が必要とされる 残業と操短の費用は,

ct(3)=c3(Pi-c4Wi)2乗+c5Pi-c6Wi        (4)

の形をとると仮定され,ここでο3,… ,ι 6は定数である。この関数は生産水準と労働力が釣り合うところで最小な点をもち,またその点でο′13)=0である.さらに,項目「c12PtWt」が近似を改善するために,式(3)に加えることができる。著者は,長期間において累積生産は,決定規則によって影響を受けなくなるので,ε 5は計画の決定とは無関係になることがわかっていると付け加えている。

4.在庫費用 もしt期末の在庫水準がItならば,そのとき,

It=It-1+Pt-St                                       (5)

である。ただし,

It-1=(t-1)期末の在庫水準
Pt=期間tにおける生産
St=期間tの製造工場からの出荷量
最小費用在庫水準は,需要と線形関係にあると仮定されるので

c8+c9Ft

の形をとる。ただし,F′ は期間″の需要予測であり,c8,c9は定数である。

実際,在庫理論から最適在庫水準は需要にではなく,需要の平方根に比例するということが知られている HMMSモデルでは, しかしながら,適当な近似として線形関係を仮定する。

保管費用と品切費用を含む在庫の総費用は,そのとき2次形式,

ct(4)=c7[It-(c8+c9Ft)]2乗           (6)

であると仮定され,ここでc7, c8,c9は定数である角型かっこの岡S分は,在庫が最適水準からそれる量を表わしており,その偏差に対する罰金は,正と負の等しい偏差に対して同じであると仮定されている。

解 法
期間ノに対する総費用は,そのとき,

ct=ct(1)+ct(2)十ct(3)+ct(4)                      (7)

であり,T期間にわたる総費用は,

cr=∑ct                                                          (8)

となる。以下,Σ は特に指定されない限りΣた1を表わすHMMSモデルによって提出された問題は,次のようである。式(8)の総費用関数を最小にするようなPtとWtの値を見出せ。2次費用関数の微係数を求めると線形表現が得られ,そして解は最終的に以下の形に変形される。

Pi=a0Ft +a1Ft+1+a2Ft+2・・・・g1Wt-1-h1It-1+e1        (9)

Wt=b0Ft+b1Ft+1 +b2Ft+2+・・・+g2Wt-1-h2It-1 + e2        (10)

これらが生産と雇用の線形決定規則であり,すべての小文字の係数は定数である.各表現は,将来の所与の期間数に対する予測を含む項の級数からなり,また各規則は,現在の(すなわち,(t -1)期末の)雇用・在庫水準を考慮している。

ペイントエ場の例は,著者たちが,彼らの研究に関連して引用したものであるが,その例では生産計画は月単位で実行され,予測は12カ月間利用可能であった 結果は,以下のようであった。

もであるかもしれない。それにもかかわらず,費用関数は任意であり,重大な誤差の源泉になっている。

例えば,在庫の2次関数に対する正当化は疑わしい 在庫は総合生産計画を作成するさいの重要な要因であるから,広い範囲にわたる代替的方略が考慮される必要がある。というのは, 2次関数の使用は,短い範囲にわたっては合理的な適合を与えるかもしれないが,広く誤差を生む余地をつくるかもしれないからである (訳注:他の費用項目に対する類似な議論は省略する)

次に,HOltなどによって報告されたペイントエ場の事例研究から,いくつかの結果(図表11.3.6参照)を引用することは興味がある。

1949-1953年の工場成績が,線形決定規則と比較されているが,最初は移動平均予測にもとづいたものであり, 2番目は完全な予測をもっているという仮定にもとづいたものである。これらの結果のいくつかの興味ある特徴は,以下に指摘される。

1.正規の支払い給料総額は,HMMS規則の導入によって大きくは影響されない。
2.雇用。解雇費用はかなり小さく(総費用の1%より十分小さく), この費用項目をモデルに入れる利点はいくぶん疑わしい。
3.HMMS規員1によって直接に得られる費用の減少は,全体的にほとんど総在庫費用における減少によっており,これは主に平均在庫水準の増加による繰越注文の費用を,徹底的に減らすことによって達成される 事実,もし繰越注文がまったく無視されたならば,HMMS規則による結果は,工場成績よりよくはないことが確かめられるだろう(図表11.3.6)。品切費用が,実際に時折評価されるいくぶん任意なやり方を考えると,管理者がこの結果をある留保つきでみることはありがちである。

HMMS規則は,生産平滑化問題のいくつかの調査を誘発し, これらの研究の多くはSilverllやBuffa12によって概観されている。ある人は, まれにHMMS規則の長所や実際的側面に関して議論を行っているが,他の者はいくつかの修正を示唆し,多品種の生産計画における分離の問題を取り扱っている。

興味ある指摘はPetersonによってなされたが, これは期間tに,製造者によって卸売業者に出荷された量Stが,発注された量Dtと同じである(すなわち,St=Dt),というHMMSモデルの基本的仮定に関するものである。彼はこの同-7tの仮定をはずして,その食い違いに伴う罰金を式(8)の費用関数を加え,総費用を,

c top=∑(c1+kZt 2)                              (13)

とすることを提案している.ただし,

Zt=t∑i-1(Dt-St)                                   (14)

は最初の期間′までに,需要と出荷の間で累積された不均衡状態を表わし,々は費用パラメータである(訳注:
文献を含む詳細な議論は省略する)。

ある場合には,新しい決定変数,Zt,を導入することより,むしろ, WtがPiと独立でないモデルを考えるこ
とが適切であるかもしれない。そのようなモデルでは,罰金は生産率をPt-1からPtへ増加, あるいは減少させ
ることに対して課せられ,この罰金は,そのとき労働力水準でなされる必要がある調整を不要にするであろう(これは,後に第11.3.7節で議論される)。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

関連記事一覧

2019ものづくり公開セミナーガイド

B2Bデジタルマーケティングセミナー

ものづくり人材育成ソリューション

マーケティング分野オンラインセミナー