コラム・特集

2.4 プロジェクトの計画と管理

IEハンドブック

第11部 計画と管理

第2章 製造システムとプロジェクトのための計画と管理

2.4 プロジェクトの計画と管理

プロジェクトの計画と管理の最初の概念は,第2次世界大戦中および戦後に直面した複雑なプロジェクトを,よりよく運営,管理する必要性から1940年代に現れたれた。これらの概念は,はじめ軍事システムに適用され,それ以来,他の研究・開発プロジェクトと同様に,建設業,航空宇宙産業,造船工業など,数多くの非軍事システムに適用されてきている。

ガント・チャートは,多分,プロジェクトの計画と管理に適用された最初の技法である。このチャートはプロジェクトの予定と実績の2つの部分を,図的に表現する簡単な方法である。図の横軸は時間を表わし,作業は図の上にバーで描いて, 日程を示し,すべての先行関係を見ることができる.完成した作業の害J合は,バーのその部分をぬりつぶすか。またはバーの上に脱字記号(V)を用いることによって示される。現在の日時で,縦の線を引くことによって,どの作業が予定より進んでいるか,または遅れているかを簡単に決定できる。ガント・チャートは機械や仕事を基準に構成できる それぞれのタイプの例を図表11.2.5に示す。機械基準のチャートは,修理や保全の作業も含んでいる。それらの計画された非稼働時間が生じる時間域を×印で示している。

これらの技法を用いると,いくつかの利益がある。それは計画を強引に作ることができ,計画した仕事と完了した仕事を容易に比較できる。またチャートの作成は簡単でしかも動的である このタイプのチャートは, しばしばマイルストン・チャートの形式で国家機関で用いられる。しかしながら,ガント・チャートはプロジェクトの進展を示す,すばらしい図的表示を与えるけれども,種々の仕事間の従属性や,相互関係を,いつも十分に表現できるわけではない さらに,それはプロジェクトの計画と管理を効果的にすることはできるが,分析の道具として敏速な適用はできない。

CPMとPERT
プロジェクトの計画と管理の形式化した概念は,1950年代の後半,CPM(Critical Path Method)およびPERT (Program Evaluation and Review Technique)として現われた。これらの技法は別々に開発されたにもかかわらず,それらは両方ともプロジェクト・ネットワークの概念にもとづいている。

CPMでは,プロジェクトを完成するために必要な活動または作業(アクティビティ)が「ネットワーク」で示される。ネットワークは,また,完成しなければならないアクティビティの順序を示している。それぞれのアクティビティには,そのアクティビティに必要な所要時間の一点見積り時間が含まれる。どちらかといえば,むしろ単純な計算を用いて,ネットワークのクリティカル・パスを計算し,それによってプロジェクトの最長ルートを決めることができる。また, この技法はすべてのアクティビティに対して,最早および最遅の開始時刻を決めている。もし, クリティカル。パス上のアクティビティが遅れるなら,プロジェクト全体が遅れることになる。クリティカルでないアクティビティの遅れは,遅れが可能な余裕を超えないかぎり,プロジェクトを遅らせる原因とはならない。CPM手法は, また,時間―コストの均衡変換(tradeoffs)の考えも許されている。

PERTは,アクティビティの時間見積りに不確定性を持ち込むこと以外は,CPMに非常によく似ている。それぞれのアクティビティには,楽観的,最可能,悲観的の3つの見積り値が与えられる これらの3つの見積り値は,期待時間値を計算するために用いられる。また,この期待値はクリティカル・パスを計算するのに用いられるこれらの見積り値は,また,偏差を計算するのに用いられ,それによって,完成時刻の統計的見積り値の計算ができる。

どのようなプロジェクトでも,それが首尾よく完成するためには, 3つの重要な相互依存の要素,すなわち目標,資源,タイミングの注意深い調整を必要とする。もし,これらの重要な要素が独立に決められるなら,プロジェクトは,おそらく失敗となる。それゆえ,プロジェクト計画の第1の段階は,どの目標を完成すべきか,また可能な余裕時間はいくらかを明記することである。プロジェクトの成功は, 1つの大きな目標を設定することによぅて助長される プロジェクトの資源としては,人,資金,技術,設備,そして製品がある.それらのいくつかは簡単に手に入らないかもしれないし,また必要な時までに十分に開発されていないかもしれないそれゆえ,プロジェクトの計画は,工程間の関連を最高の状態に保たなければならない。プロジェクトの計画は初め粗い計画で始まり,後になるほど,詳細な計画になる。よいマネジャーは遅れや制約の影響を見積もり,資源,時間,またはその両方を適宜調整する。

ネットワークヘの展開
PERTやCPMを適用する前,行うべきいくつかの基本的ステップがある 第1はプロジェクトの目標を決定し,この目標を完成するために,責任を負うべき人が誰であるかを決定することである。

次のステップは,それぞれの目標のために完成すべき仕事,またはアクティビティを定義することである。このステップにおいて,計画担当者は,仕事やアクティビティの時間単位が月単位か, 日単位かを決定しなければならない もしこの時間単位が非常に大きいなら,プロジェクトの管理やモニターは困難となる.一方,非常に小さいなら,精度の高い見積り値を得ることは困難となる 計画を進めるとき, 1つのアクティビティの中に,いくつかのアクティビティを統合すること,また逆に1つのアクティビティを,いくつかのアクティビテイに分割することが必要となる。

第3のステップは,個々のアクティビティの時間見積り法を開発することである これはCPMにおけるように,決定的な見積り値になるか,それともPERTにおける確率的見積り値になるかもしれない。最後に計画担当者は,アクティビティ間の相互関係,または先行関係のすべてを定義して,プロジェクト・ネットワークを開発しなければならない。

先行関係の決め方
先行関係は, 日程計画に最大の弾力性を与えるので,十分に注意して指定しなければならない 少なくとも,まず第1のネットワークでは,技術的制約のみを考えるのがもっともよい たとえば,家の基礎工事はセメントを流し込む前に穴を掘らねばならい。このように先行関係は, これらアクティビティの間に存在する。しかしながら,配線工事や配管工事のようなアクティビティは同時に行うことが可能で,先行関係はないが,一般に,配管工事は配線工事の前に行われるとしてもよい。

先行関係は,ある1つのアクティビティについて考えると,その前にあるすべてのアクティビティが完了するまで,そのアクティビティを開始できないことを意味する。アクティビティがいくつかある場合,この関係は過度の制約となる。これは,後続作業が開始される前に,アクティビティの前の全アクティビティがというより,むしろ,その前の部分のみが完了していることを必要としている。たとえば,穴掘りの部分だけが,セメントの流し込み作業が始まる前に完了していることを必要としている。

先行関係は,すぐ前のアクティビティを2つまたはそれ以上のサブ。アクティビティに分割して表現し, これらのサブ・アクティビティ第1のものと,もとの後続アクティビティ間でも,先行関係の制約があることを意味している。

ネットワークの構造上の理由から先行関係は遷移的である。このように, もしアクティビティAがBに先行し,BがCに先行するなら,これはAはCに先行することを意味する。それで,AとCの間の明確な先行関係の制約を示す必要はない。不必要な先行関係を含めることは,ネットワークの構成をさらにむずかしくする。

ネットワークの構成
一度,すべての先行関係が示されたなら,ネットワークの構成を始めることができる.ネットワークはアローとノードから構成される、プロジェクトを表現するのに,す般に, 2つの異なった表現がある.すなわち,アローの上にアクティビティを示す場合と,ノードの上にアクティビティを示す場合である。アクティビティがアローで表現される形式では,ノードは, 1つまたはそれ以上のアクティビティの開始,または完了を意味する「イベント」を表わす。1つのアクティビティが開始される前に,その開始ノードを終点とするアクティビティは,すべて完成していなければならない。

アクティビティがノード表現される形式では,アローはアクティビティ間の先行関係を示すのに用いられる。ここでも, 1つのアクティビティが開始される前に,すべての先行作業は完了していなければならない.この2つの形式は等価であり,一方から他方へ変換するのは困難でない。アクティビティをノードで表現する方式は,ネットヮークの構成を簡単にする.しかし,ネットヮークをこの方式で記述したとき,多くの人々はプロジェクトの視覚的表現が困難になることが判る。

アクティビティをアローで示すネットヮークの場合,一般に3つの規則がある
・2つのイベントは同じ番号をもってはならない。
・2つのイベントは2つ以上のアクティビティで結んではならない。
・ネットワークは1つの開始ノードと1つの最終ノードをもつ。

第1と第3の規則は,分析時の混乱を防ぐために用いられる。第1の規則はネットワークの構造を制限するものではない。第2,第3の規則は,表現すべきプロジェクトの型を制限することになる。 しかし, この制限は,ダミー・アクティビティを用いることによって取り除くことができる. ダミー・アクティビティは時間の長さがなく,先行関係のみを表わす作業である。もし,プロジェクトが同じ2つのノード間に, 2つ以上のアクティビティの存在を必要とするなら,ダミー・アクティビティと組み合わせたノードを加えることによって,第2の規則を破ることを避けることができる。第3の規則を守るためには, ダミー・アクティビティによって, 1つの最終ノードと,後続作業のないすべてのアクティビティを結べばよい。また先行作業のないすべてのアクティビティは, 1つの開始ノードと結べばよい。ダミー・アクティビティは,また,他の先行関係の制約を記述するのに用いられる。

アクティビティをノード上に示す表示は,アクティビティをアローに示す形式よりもっと簡単である すなわち, ダミー・アクティビティを必要としない。すべてのアローは,本質的にダミーである。なぜなら,アローの機能は先行関係を表示しているにすぎない。もし,プロジェクトの開始と最終を,それぞれ1つのノードで記述するなら,アクティビティをノード上に示す表示はダミー・ノードを必要とする。 ダミーを用いる両方の例を図表11.2.6に示す。

図表11.2.6aは,アクティビティBとCが同一開始と終わりのノードであることを防ぐために,ダミー・アクティビティが用いられている。 図表11.2.6bは, アクティビティCとE間の先行関係を示すのに,ダミー・アクティビティを用いている アクティビティをノード上に示す形式は,プロジェクトを単一ノードで終わらせるために,ダミー・ノードを持っている。

一般的な概念や手続きは,簡単な例題を考えることによって最もよく説明される。ここでは,土建業者が森を小さな公園にする例題を考える。目標は土建業者にある設備と能力を用いて,作業日数22日で公園に完成することである。このプロジェクトの完成に必要なアクティビティは次のように定義される。

A――開墾 不用の木を切り,切り株を除き,道をつける
B――まき作り 開墾作業でできた,まきを切り,移
動のために積む.
C――木の整理 まきを取り除き,小枝その他を片付
ける.
D――道路 最終的に道路を作り,砂利をまく。
E――駐車場 駐車スペースを区分し,砂利をまく.
F――ユーティリティ 水道や電気の設備をつける.
G――避難小屋 避難小屋や建物を造る
H――造園 木や草の必要なところを造園する.
I――仕上 水道や電気を通し,全体を掃除する.見積り時間値およびそのネットワークを図表11.2.7に示す。

これはCPMとPERT分析の両方の時間値を含んでいる プロジェクト・ネットワークは, アクティビティをアローの上に示す形式のネットワークで表示している。図表11.2.8は,アクティビティをノードの上に表示した例である。

PERTの時間値は, 3点見積り値として与えられる。
to=楽観的時間値(アクティビティを完了することができる最楽観時間値)。
tm=最可能時間値(アクティビティを完了するための最可能または最良推定時間値)。
tp=悲観的時間値(アクティビティが必要とすると思われる最悲観時間値)これらの見積り値から,期待時間値teは次のようにして計算できる。

te=to+4tm+tp/6

これらは,個々のアクティビティの平均完了時間値の見積り値となる.簡便のため,これらの時間値は,CPM分析に用いる確定的時間値と等しくされる また個々のアクティビティの標準偏差は次のように計算できる。

σ=tp-to/6

これらの値は図表11.2.7に含まれている。

クリティカル・パスの計算
ネットワークの最初の分析は, クリティカル・パスを決定することで,それはPERTとCPM両方の技法において,本質的に同じである この分析は,個々のアクティビティを最早開始と最早完了の時刻で達成するための,ネットワークの前進計算を,そして最遅開始と最遅完了の時刻で達成するための後退計算を要求している。

この分析のための計算を図表11.2.9に示している。

 

この図表は両方の結果を示している。図による計算は小規模のネットワークに適しており,表による計算は大規模のネットワークに適しており,一般にコンピュータが用いられる。

図的手法の前進計算は,それぞれのイベントまたはノードの円の中の数字によって示される。これらの円の中の数字は,直前のアクティビティの最早完了時刻を示している。すなわち, どのノードにおいても, これらの値の最も大きいものが,そのノードにおける作業開始のための最早開始時刻を示している。

後退計算の値は四角の中に見出される。これらの値は,このイベントに続くアクティビティの最遅開始時刻を示している。すなわち,どのノードにおいても,これらの値の最小のものが, そのノードを終点とするすべてのアクティビティの最遅完了時刻を示している。

円と四角の両方に含まれている値は, クリティカル・パスの時間を示している。同じ値を,表を用いる計算によっても得ることができる 表の初めの2列は,アクティビティとその所要時間からなる。アクティビティの順序は,あるアクティビティに先行するすべての作業が,そのアクティビティを開始する前に, リストされるようにする。もし,個々のアクティビティの開始ノードが完了ノードの番号より小さくなるように, ネットワークが構成されているなら,例題にあるように,開始ノードに注目して,数字の大きくなる順に, アクティビティを表に入れること力沼きる。一度これらの値が決められたなら,先行作業をもたないすべてのアクティビティには,同じ最早開始時刻が与えられる。この値は一般にゼロである。しかし,プロジェクトを,実際に開始する時刻で表示することもできる。

最早と最遅時刻の両方とも,開始と完了の時刻の差は作業時間である 例題においては,単一で開始されるアクティビティ1-2がある。それは開始時刻0,完了時刻4で,アクティビティ期間が与えられている。残りのアクティビティの最早開始時刻は,その直前のすべての先行作業の最早完了時刻に依存する。これらのアクティビティは,検討しているアクティビティの開始ノードで終わっている。

1つのアクティビティの最早開始時刻は,その直前のアクティビティの最早完了時刻の最大のものに等しいもし, アクティビティが,ただ1つの先行作業をもっているなら,たとえば, 2-3, 2-4のアクティビティのように,その最早開始時刻は,その先行作業の最早完了時亥りに等しく,アクティビティ1-2の場合,最早完了時刻4となる アクティビティ5-6と5-7は, 2つの先行作業(3-5と4-6)をもっている。それゆえ,最早開始時刻は,最早完了時刻13と10の最大のものに等しい したがって, アクティビティ5-6と5-7の最早開始時刻は13となる。

この手順はすべての最早開始時刻が決定されるまで続けられる。最早完了時刻の最大値は,最短プロジェクト工期,またはクリティカル・パス時間を決定する 例題のプロジェクトの場合,最小限21日が必要となる。最遅時刻は表の下から逆順に開始する またはプロジェクトの最後のノード,つまリノード7から開始することによって決定される この後退は前進の逆である。アクティビティは逆”贋に調べられ,最遅完了時刻が最遅開始時刻の前に決定される。

最初の記入は,最終ノードで終わっているすべてのアクティビティ(5-7と6-7)の完了時刻である.一般に,これらの時刻はクリティカル・パス時亥」21と同じである。しかし,それより大きい時刻を,プロジェクトの完成に必要な時刻として示すこともできる。最遅開始時刻は,最遅完了時刻から期待されるアクティビティ時間を引くことによって決定される 残りの最遅時刻決定の川順序は,アクティビティの終点ノードに依存する。もし, ノード番号が前述のように付けられているなら,アクティビティはそれらの終点のノードの番号を,減少させる順序によって調べられる。アクティビティの最遅完了時刻は,それの後続作業の最遅開始時刻の最小値に等しい。アクティビティ5-6と4-6は,単一後続作業(アクティビティ6-7)をもっている。したがって,それらの最遅完了時刻は,アクティビティ6-7の最遅開始時刻である19に等しい.アクティビティ4-5と3-5は, 2つの後続作業5-6と5-7をもっており,最遅開始時刻はそれぞれ14と13である。したがって,アクティビティ4-5と3-5の最遅完了時刻は13となる。
この手順は,すべての最遅完了と開始の時刻が決められるまで続けられる。それから,スラック余裕やフロート余裕の値は,最遅開始時刻と最早開始時刻の差(または,最遅完了時刻と最早完了時刻の差)を計算して求められる。これらの値は,個々のアクティビティのスラックでなく,アクティビティの関連しているパス全体の合計でスラックを表示する。クリティカル・パスは,ネットワークの初めから終わりまでのアクティビティで,スラックの値の最小のものを結んだものである。1つ以上のクリティカル・パスが存在し,もし,プロジェクトの最早完了時刻が最遅完了時刻に等しいなら,例題のように,クリティカル・パスのスラックはゼロになる。

これらのスラックの値は, クリティカル・パスの他に,クリティカル(限界)に近いパスを決定するために利用することができる。例題のクリティカル・パスは1-2-3-5-7である。次に, クリティカル・パスに最も近いパスは5-6-7である。これはパス5-7に比べて,スラックは1である。このタイプの情報は,プロジェクトの進展を追跡するのに有効である。プロジェクトを進めるとき,もし,あるアクティビティが遅れたり,または日程より早く完了しているなら,スラックの合計を大幅に変えることができるので,分析を新たにするべきである。

統計的見積り
前進と後退の分析で計算した時刻は,確定的または期待的時間値に基づいていて,その値はほとんど生起しない。PERT分析は,選ばれたパスについて,日程計画のための作業完了の確率計算を行う プロジェクトの最初の目標は,作業日数22日で公園を造ることであったところが, クリティカル・パスは21日で計算され, しかも21日でクリティカル・パスが完成する確率は50%である。図表11.2.7で計算した標準偏差(SD)を用いることによって,22日でクリティカル・パスが完了する確率を計算することができる。個々のアクティビティの時間は,ベータ分布に従って分布することを仮定しているけれども,パスの所要時間は,中心極限定理によって,正規分布をすると仮定できる。どのパスの分散も,そのパスを構成しているアクティビティの分散の和として計算できる。したがって,クリティカル・パスの標準偏差は,次のように計算できる。

σcp=√ σ21-2+σ22-3+σ23-5+σ25-7
= √066・2+0.33・2+0.66・2+0.33・2
=√1108
=1.05

標準正規変換の統計的概念を用いて,22日でクリティカル・パスが完成する確率は,次のように計算できる。
Z=Tc-Te/σ
ここで
Te=完成予定日(22)
Tc=パス完了の期待日(21)
σ=パスの標準偏差(1.05)
Z=TcとTeの差の標準正規変数
z=22-21/1.05
=0.952

標準正規表を用いて,22日またはそれ以下で,クリティカル・パスが完成する確率は約083になる これらの結果を図表11.2.10に図示する。


他のパス,または日程の与えられた部分パスの完了する確率は,前述と同様の手続きで計算できる。また与えられる確率に応じて,パスの所要時間を決定することもできる。たとえば,土建業者がクリティカル・パスの完成を95%の確からしさで希望したとすると,彼は2273日を許容しなければならない(標準正規分布よりZ=165)。

時間―費用の均衡変換
確定的アクティビティ所要時間を用いるCPMアプローチは,時間―費用の均衡変換の容易な考えを提供している。この手続きの目的は,費用の増加を最小限にする短縮されたアクティビティを選び,プロジェクトの工期を短縮することである。

この手続きは,アクティビティの所要時間が.標準費用に基づくことを仮定している 使用者は,選択されたアクティビティの費用増加によって,「特急」または最小時間を使用することができる この手続きを適用するために,使用者は,まず, アクティビティを完了する特急作業と最小時間,または特急時間を同一のものと考えなければならない.

この観点から,時間の短縮で発生する費用を見積もらねばならない。2つの方法が可能である それは,それぞれの短縮で増加する実際の費用を見積もるか,それとも標準と特急の時間費用より,直線近似によって,すべての中間値を見積もるかである。アクティビティ5-7の場合の2つの方法を図表11.2.11に示す.一度,すべてのアクティビティに対して,すべての費用が見積もられたなら,実際のプロジェクトの短縮は可能となる。

もし,非線形の費用曲線が用いられるなら,問題はさらに複雑になる。困難さを軽減する1つの方法は,それぞれのアクティビティを2つ,またはそれ以上の仮のアクティビティに区分し,それぞれに線形費用曲線をもたせることである。時間―費用の均衡変換の手続きは,このように最適化ではない。もし最適解が要求されるなら,ネットワーク・フロー・アルゴリズム,または線形計画法が用いられる。

線形近似が仮定されるときの基本的手続きは,単位時間当たり最小費用で短縮可能なアクティビティ,または特急が可能なアクティビティを,クリティカル・パス上のアクティビティと同一視することである。それから,このアクティビティは,代替のパスのスラックがゼロになるまで短縮される。例題において,アクティビティ5-7は8から7へ,わずか1単位時間短縮できる.なぜなら,その点において,パス5-6-7の工期はスラックがゼロとなる。それからさらに,アクティビティ5-7を短縮することは,プロジェクトエ期の合計の短縮とならない この手続きは,要求される工期が達成されるまで繰り返される。手続きの中のいくつかの点で,いくつかのアクティビティの所要時間の短縮と同時に,最小費用でプロジェクトエ期の短縮を達成することを考えることが必要となる。

これは最初のプロジェクトに複数のクリティカル・パスがあるとき,または先行の特急作業が,追加のクリティカル・パスを作るときに生じる。このような状況においては,最小費用の短縮パスでは2つ,またはそれ以上の,特急アクティビティを同時に実施することになるかもしれない.少なくとも,それぞれのクリティカル・パスから1つのアクティビティは,プロジェクトエ期を短縮させるために特急作業となる。いくつかの候補アクティビティは,いくつかのクリティカル・パスで共通になるかもしれない。特急費用は,それぞれのアクティビティの費用の和である。クリティカル・パスが少ない単純な問題では,最小費用のアクティビティ,またはアクティビティの組は点検によって探すことができる複雑な場合, もっと形式化された手続きが必要となる。そのような1つのアプローチは,次のような線形計画法の公式を用いることである。

min∑∑(i,j)I平(aij-bij tij)

制約条件
ei+tij―ejく0  すべての(i,j)に関して
ti jくuij          すべての(1,j)に関して
tij>lije” <T   すべての(1,j)に関して

ここで
tij=ノード i と j 間のアクティビティの所要時間
e1=イベント i の時刻
-bij=アクティビティ(i,j)の費用勾配
aij=アクティビティ(i,j)の費用区間上の点
uij=アクティビティ(i,j)の最長所要時間
lij=アクティビティ(i,j)の最短(特急)所要時間
T=プロジェクトの工期
n=ネットワークの最終ノード番号

目的関数は合計費用の最小化である。最初の制約は,そのイベントに直接先行するすべてのアクティビティが完了するまで,イベントの時刻の決定を禁止する。第2,第3の制約は,下界(特急時間)と上界の間にアクティビティの所要時間を制限している。上界はアクティビティの標準時間,またはそれより長い時間がなり得る。アクティビティの所要時間の延長を許すことは, もし,それがクリティカル・パルでなければ,費用を減少させることになる。
もし,必要ならプロジェクトの費用曲線は,連続的変化で増加する費用を図的に説明して作成することができる。もし,プロジェクトが前に述べた基本的手続きで短縮できるなら,プロジェクトの費用曲線は,費用の増加に対して,減少する時間をプロットすることによって簡単に作成できる。実際に問題を解くためには,ネットワーク・フロー・アルゴリズムやプロジェクト費用曲線を用いると効果的である。

資源の割付け
時間―費用の均衡変換,および確率的見積り値を含んでいるCPMやPERTの概念は,相対的に簡単で適用がやさしい。さらに,大きなプロジェクトでは,コンピュータの助けを借りることができる しかし,不幸なことに, これらの技法は,人力や機械・設備のような資源の能力を考えていない 最近の進歩した技術,また,それにともなう熟練および機器の専門化によって,資源の割り付けは,むしろ複雑な問題となってきている。大きなプロジェクトでは,40から50種類,またはそれ以上の異なった資源を必要とするのは,もはや一般的である。資源の割付け問題には, 2つの基本的アプローチがある。

第1のアプローチは資源の山崩しである。これは使用する資源に制限をつけず,プロジェクトの山積み表を作成し,要求される資源に山崩しを試みることである。第2のアプローチは資源の制限である.これは使用する資源の合計を固定して,資源の制限されたもとで,プロジェクトの山積み問題の最小化を試みることである。

現実の世界では, この両方のアプローチの組み合わせが必要となる。それゆえ,一般には,使用する資源の合計は固定される。しかし,機器の借入,臨時雇,下請けなどによって,短期間追加の重要な資源を入手することは, しばしば可能である.総合的問題は,いくつかのプロジェクトが同時進行となるので,さらに複雑になる。

資源割付けの第1段階は,それぞれのアクティビティが要求する資源のタイプと数の決定である。これらの資源の要求は,アクティビティの所要時間中,要求が一定であると仮定するので,認められたアクティビティの期間に依存する。時間―費用の均衡変換をともなったとき,資源の要求量を増すことによって,アクティビティの所要時間を短くすることは可能である ほとんどの資源割付けの手続きは,資源の必要量とアクティビティの所要時間が固定されていることを仮定している。

基本的概念を説明するために,小さな公園を造る前述の例を用いる.3つの資源のタイプが必要である。つまり, トラックと掘削機,そして作業者である 個々のアクティビティのために見積もられた資源の必要量は,図表11.2.12に示される。

資源の単位は,時間または日当りの単位数で与えられる。したがって,第1のアクティビティ(開墾)は, 4日の間トラック1台,掘削機1台,作業員2名を必要とする。

実際の日程計画をすすめる前に,プロジェクトに関連する資源の必要量を決定することは, しばしば有益である。図表11.2.12のデータを用いると,合計必要量は作業員73(日/人), 掘削機14(日/台), トラック23(日/台)となる。もし,プロジェクトが22日で完成するとすれば, 1日当りの平均必要量は,作業員3.3.2人,掘削機0.63台, トラック1.05台となる これらの値は誤解をまねく,なぜなら,資源の必要量を実際の時間と対応させて数えていない。しかしながら,プロジェクトが必要とする資源の一般的基準となり得る。

もし,プロジェクトの規模が小さいなら,時間調整の初期の効果を測定するために,資源必要量のガント・チャートが用いられる。前述の前進と後退の分析結果を用いて,最早開始時刻で,すべてのアクティビティの日程計画をたてると,図表11.2.13に示す資源必要量が生じる。

図の資源ブロックに含まれる数字が資源を要求するアクティビティを示す。この日程計画は最大7人の作業員, 2台の掘削機, 2台のトラックを必要としている。

最大偏差は作業員の日程計画に生じ,必要人数の範囲は2人から7人である。さらに検討するとアクティビティ4-5と4-6の同時計画が,作業員と掘削機の両方を最大必要量にしている。もし利用可能な資源に,最大の上限がないか,またはプロジェクトの工期が固定されているなら,資源の山崩しの概念は,資源必要量をさらに滑らかになるように,時間をずらして配分する企てを適用できる。

資源の山崩し
もし, プロジェクトの工期がクリティカル・パスの日程に等しいなら,最早時刻と最遅時刻は,それぞれのアクティビティのスケジュールの概略の限界を決定する。
余裕(スラック)時間は,個々のアクティビティの変動幅の最大を示す。スラックの値は,ネットワークのパスに対して存在するのであって,個々のアクティビティには無いことを思い出すべきである。たとえば, もし, アクティビティ2-4の開始が時刻6まで遅れると,それは時刻9まで完成しない,そしてスラックの2単位が消費される。これはアクティビティ4-5のために利用可能なスラックが, 3単位から1単位に減少することを意味する。もし,プロジェクトの工期として,クリティカル・パスの日程より長い工期の日程計画が立てられるなら,最遅時亥Jやスラックは調整されねばならない。この調整は, クリティカル・パスと要求される工期との差に等しい定数を,すべての最遅開始と完了の時刻およびスラックの値に単に加えればよい。

資源の山崩しの概念を,複数資源をもつプロジェクトに適用する場合, 1つの資源を山崩しすることの利益は,他の資源の再配置の影響によって,打ち消されるのはよくみられる。もし,これが生じるなら,資源に対する優先順位を決めるか,一貫した均衡変換を行う重み付き能力評価基準を作る必要がある.明らかに,資源やアクティビティの数が増加するとき,問題の複雑さは急激に増える。例題で資源の山崩しを適用すると,プロジェクトの工期は21日となる これを図表11.2.14に示す。
このアクティビティの再配置は,必要作業員の最大を7人から5人へ減少させ,掘削機の数を2台から1台にしている この結果の日程計画では,まだ第9日と第10日で, 2台のトラックを必要としている。

資源に制約がある場合
もし,土建業者が,そのプロジェクトのために, トラック1台だけしか使用できないなら,資源の山崩しの間題は解けていない そこで,資源の制約があるアプローチがとられねばならない.トラック23(日/台)が必要であるから,実行可能な日程の最小は23日である.問題にこの制約を適用して,できるかぎり必要作業員の山崩しを行うと,図表11.2.15に示す日程計画ができる。

この日程計画はトラック1台と掘削機1台で,プロジェクトが完成されることになっており, しかも必要作業いるなら,資源の山崩しの概念は,資源必要量をさらに員の最大は5人から4人に減少している。もし,作業員滑らかになるように,時間をずらして配分する企てを適3人だけが許されるなら,プロジェクトの工期はさらに用できる。延びて23日から33日になる。

資源の山崩じと,資源に制約のある問題の基本的概念を,小規模のプロジェクトに適用するのは,単純で簡単である。さらに, もし受け入れられる日程計画ができたとしても,それはアクティビティの完了の早過ぎや,また遅れが生じるために,次々に新しく組み替えられる。

アクティビティの早期完了は資源の制限を自由にし,プロジェクトの平均完成時間を大きく短縮する。またアクティビティの完了時刻が遅れることは,逆の効果をもついずれの場合においても, この分析タイプは,適当な変換処理と高度の判断が作る情報を,プロジェクト・マネジャーに提供する。

資源の制約と資源の山崩しの問題は,多くの数理計画の公式を作っている。しかし,それらは組合せの問題の性質から現実の問題には効果的でない。非常に多くのヒューリスティクな手続き,それらは最適化ではないが,プロジェクトのよい日程計画を作ることを提唱している。

ある種類のヒューリスティクな手続きは, アクティビティにランクを付け,優先順位の高いものを第1にして,アクティビティを配置することを企てている。もし,先行作業または資源の制約があれば,順序付けられたアクティビティのリストからアクティビティが選ばれ, スケジュールできるかどうかを調べる。できなければ,そのリストが空になるまで調べられる それから, この手続きは最初に配置されたアクティビティの後に移行し,すべてのアクティビティがスケジュールされるまで繰り返す。次はいままで提案されている多くの優先規則のいくつかである。

・最小余裕時間
・最大合計資源必要量
・最小アクティビティ所要時間
・最大重要資源必要量
・最小最遅完了時刻
・最大後続作業鎖

これらの規則のいくつかは,二通りに実行される 優先順序の手続きは始めに計算される,そして,その順序は決して変えない。もう1つは, 1つのアクティビティをスケジュールしたそのたびに再計算する それゆえ,リストの順序は変わってくる。また,これらの単純なヒューリスティクな方法は,さらに複雑なデシジョン規則をつくるために組み合わせることができる。

これらの方法と他のヒューリスティクな方法とを組み入れた,数多くのコンピュータ・パッケージが,現在売られている。しかしなから,それらがアクティビティの日程計画に利用する手続きであることは,ほとんど知られていない これらのパッケージは一般に非常に高価
で, しかも大型のコンピュータを必要とする 多くの場合,この高価さは,大型のプロジェクトを運営管理するための,ただ1つの合理的な方法であると,十分に正当化される 代替案はいくつかのヒューリスティクな方法を用いて,日程計画を作り,その中で最良のものを選べ
ばよい シミュレーションは,アクティビティ時間(それから,ある資源必要量の可能性や有効性)を確率変数として,特殊なプロジェクトに対する,異なったヒューリスティクの性能を評価するために用いることができる。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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