コラム・特集

1.6 まとめ

IEハンドブック

第11部 計画と管理

第1章 技術予測

1.6 まとめ

これまでに述べてきた技術予測プロセスは,数多くの組織において価値あるものであることが実証されている。予測技法は,組織における古いパターンを打破し,開いた心を持つことで新しいパターンを創造していくことを可能にする。モデル作りの中で用いられる技法はどういう形であれ,このことを行うのに有効である。しかし技法だけですべてが出来るわけではない。組織を通じて意思の疎通を行うことが,偏りをなくすためにも大切である。意思の疎通が高められ,それにより組織内の多くの人の協力によって作られる協同的モデルの基礎が形成される。LickliderとTaylorが述べているように,「社会は,たった1つの考え方でなされたモデリングを信じないものである」。

技術予測プロセスにおいて, “協力的モデリング”を行うためには,次のようなことが重要である。

1.学際的で参画的であること 予測は,多くの領域と多くの視点からの情報を包括している 「協力的モデリング」という言葉自体が相互関連を意味している.学際的な参画がなければ,誤った時間軸と狭い知覚を進めてしまう。

2.系統的で構造的であること 人間というものは,好ましいアイデアに盲目的になりやすく,そのため複雑で,誤まった定義をされている問題に含まれる重要な点を見逃すことになる.系統的かつ構造的なアプローチは, この危険性を減少させ,結論へ飛躍してしまうことを踏みとどめる。

3.反復的であること プロセスは反復的であることが重要である.このプロセスは修正され更新される必要があろう.その結果,このプロセスの初期段階へ戻ることが必要となるような,情報のズレが起こるかもしれない。

4.ダイナミックであること 予測とは,変化が起こった時に,いつでも修正を必要とするダイナミック・プロセスである 予測のすべての局面は,いったん変化が起こったときに反動的になるよりも,変化の予感の中で行動するために,常なる見直しを行うことに基づいている。

5. ‘ハード’および”ソフト”なデータを利用すること 客観的なハードなデータとともに,判断を必要とするような主観的なデータを用いることが重要である。というのはEnzerによれば,変化を予想するのに必要な洞察力の多くは,他のいかなる手段によっても得られないからである。

6.文書化された仮定 すべての仮定を文書化しておくことが重要である。これにより決定の背後にある原理を文書化し,万人の注意を共通の推論点へ集め,意思の疎通を強めることになる。

これらのステップがとられたならば,技術予測は組織が変化を予想し修正するためのプロセスとなりうる.これらを適切に用いることにより,組織にとって,常に変遷していく世界の中で成長し繁栄していくような,適応的でかつ柔軟な形態を保持していくことになる。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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