コラム・特集

1.5 技術予測プロセス

IEハンドブック

第11部 計画と管理

第1章 技術予測

1.5 技術予測プロセス

技術予測では,1順序正しく構成されたプロセスの中で,さまざまな予測手法を1つの問題に対して適用していく

このプロセスは以下に示すような6つの段階をもつ

1.方向づけ
a.研究の対象を選ぶ.
b.研究の境界を定める.
(1)予測の時間枠を定める.
(2)研究の範囲を定める
(3)予測の使命を定める
c.予測チームを形成する
2.データ収集
a.必要なデータを確認する.
b.データ源を確認する。
c.データ収集の計画を立てる
d.データを集める
e.データファイルを作る.
3.データの整理と解析
a.データを分類する。
b.データ年表を作る.
c.趨勢を求める.
d.相互関係を求める.
e.データより関連を把える
4.投影
a.楽観点,悲観的,現実的な関係の枠組み酢る。
b.もっともらしい将来を投影する.
5.状況分析
 a.現状への投影の波及を評価する
(1)外部波及
(2)内部波及
b.これらの波及を将来へ投影する.
c.将来の成功のために,現状改善を推じ進める。
6.監視
a.監視すべきものを定める.
b.監視プロセスを設ける
c.データファイルの質を上げる

方向づけ
方向づけの段階は,技術予測において特に重要である。なぜなら,それは予測自体の全般的な性格と,予測のために払う努力の程度を定めるからである.予測の範囲(図表11.1.1のベクトルA)は,情報収集過程(ベクトルB)ならびに予測自体の構成概念(ベクトルC)を支配している.予測の初期段階においては, この段階に十分な注意が払われることが重要である.これが十分になされないことが多いため,結果として,研究の関連分野,範囲について別な考え方が生まれるにつれて予測自体がたびたび変わってしまう.

本書の7部3章で提示したVE研究における方向づけに関する多くの問題点は,技術予測の研究にも関連している 予測活動のこの段階では,予測の範囲を詳細に定めることが重要である.意図している研究に疑間を投げかけることにより,その日的と使命がより明確に理解できるものである。短く, しかも卜分に表現された使命文書により,予測者は研究のゴールと目的が何であるかを他人に伝えることができる。なぜ,その研究がなされるのであろう? その予測は何のために何に用いられるのであろう? この研究はどんな問題を含み,またどんな問題は含まないのか? この研究の依頼人は誰なのか?誰が何のためにこの研究を後援しているのか? いつこの研究は完了するのか? 予測のためのチームが設けられるのか? このチームに誰が参加するのか? これらの疑間に対する答えは,研究の範囲を定め,予測活動の使命を明らかにするのに役立つ予測に先立ち,予測の時間枠について十分な考慮がなされるべきである 1年, 5年もしくは15年先までの投影が求められているのか? それはなぜか? これらの間に対する答えは非常に重要である。

なぜならそれらが研究のアプローチと必要となるデータのタイプを決定するからである。たいていの組織では, 5年をゴールと目的に設定するが多く,それまでに完了するように計画を立てる。多くの技術領域では, この時間枠は革新的なアプローチを適応するには短すぎるようである。もっと長い時間枠では,より大きな革新計画が組織にとって可能になるが,同時にこの長い期間がもつ思弁的性格から生ずる計画の中の危険要素を招くことになる。長期のスペクトルに対して信頼のおける予測を行うことは可能ではあるが, こういった予測にはより多くの時間と努力を要し,それらは予測を改善したことによる価値との間でバランスがとれている必要がある。時間枠と予測の範囲に十分な注意が払われたならば,いよいよ予測に人が割り当てられる。予測チームは組織にとっての興味分野を研究すべく形成される。7部3載VAチームに関する有効な情報を述べたが,それは予測lチーム形成にも適用しうる。チームは,研究が必要とする専門情報をもった,さまざまな分野の人から構成されるべきである。予測者は生まれるものでなく作られるものであり,予測チームは予測にたけて,予測技法について基本的な理解をもった人によって先導されるべきである。

これらの技法は数学的モデルの形をとることが多いので,数学的モデル作りは他に依託してもよいが,この分野に関する知識は持っていたほうがよい。また,数学的用語を全く使わない人や,将来の構成概念を言葉や絵で表わす人といっしょに仕事をする必要があるかもしれない。予測者はこういったデータをも理解し,数学を用いたり用いなかったりして,そのような人たちといっしょに仕事をしていく必要がある。予測者は客観的であるべきで,偏りの入らない方法でデータを集め,仕分ける能力が必要とされる また,想像力が豊かで,将来に対する新しい構成概念を生み出すために事実と作り事を描くことが望まれる。彼らには,グループの中で仕事をした経験が望まれ,グループとして達成すべき課題へ焦点をあてて努力する能力が望まれる。予測者は必要なデータとデータ源を認識するように,データに対して発見的なアプローチをすべきである。問題に対する形態的な見地により,データの中のパターンと趨勢を理解することができる。

研究の初期においては,技術予測プロセスの中でチームを教育することが役に立つ。ここで予測者は臨時に教師の役割を演じてもよい。予測プロセスに関する知識はチームの効率を高め,極めて効果的である。訓練は予測すべき問題に焦点を当てるべきであり,チーム創設やゴール設定の要素を含んでいてもよい。これらの課題について適切な注意が払われたならば,これに続く予測活動はより生産的なものになるであろう。

データ収集
予測の使命を確認することは,その研究で必要となる情報を確認することに直接結びつくべきものである。この情報は,多くの異なるデータ源より得られるものかもしれないし,またいくつかの異なるタイプのデータから構成されるものかもしれない。

Hartは,予測研究の中で集められる3つのタイプのデータについて述べている。3彼はその3つとして,発行されたファイル等の中の記録されたデータ,実験室や実践的研究によって観測されたデータ,人々にインタビュー,質問することによって得られた主観的データを挙げている。営利的なコンピュータ・データバンクのいくつかは,記録された情報の優れたデータ源である。情報を求めてこれらのファイルを探索することは,データ収集プロセスを始める近道である。この記録情報は,研究が進むにつれインタビューや観測データにより増幅される必要が出てくるかもしれない 集められたデータとデータ収集プロセスは,いずれも研究の残りの部分に影響を与えるであろう。

インタビューを適切に行うためには,その方面に知識のある関係者とこの研究結果を用いる人との協力が必要である インタビューを受けた人が,次に調べるべき他の情報源や行うべき観測を指摘してくれることもある 記録情報を調べることにより,予測者は他のデータを求めていくことにもなるだろう 電子データファイルに記録されたアブストラクトは,偏りのない優れたものであり (別な時間に別な人間がその内容を記録している),問題の構成要素についての詳細が書かれている文献を示してくれる。

データが集められるにつれて,それらは後続する研究のために中央の予測ファイルの中にまとめられる。予測のこの段階では,情報を広く探索することが重要であり,将来に対して前もって描いていた概念と合わないからといって,そのデータを関係がないものとして排除してしまうことにより,データ収集プロセスを偏らせてしまわないことが重要である。

データ収集における予測技法
技術予測において用いられるいくつかの技法は,予測のデータ収集段階において非常に有効である インタビューを行い,デルファイ法の質問を構成し,電子データベースを探索することにより,予測者は多量の関連データを迅速に集めることができる.

インタビュー インタビューは, 1つのデータ収集メカニズムとして用いられる。そこには定性的な将来を志向したデータが含まれ,そのデータは主観的であり“ソフト”な性格を持つ。インタビューには適切な計画と実行が必須である。インタビューを行うのに先立ち検討すべき問題点としては,次のようなものがある。誰が質問者で誰が回答者か? すべての組織/領域が表現されているか? 適切な学問分野が表現されているか? 質問項目はいくつか? 通常,質問項目はいくつかの学問分野にわたっており,多くの領域と分野を表わしている。質問は通常,自由に思い通りに答えられるものであり,意識の流れのような回答が返ってくるようには作られていない。

一般的な例としては,……の将来に影響を与えるものとしてこの先×年に何が起こると考えますか? ……にとっての重要な好機(または脅威など)は何だと考えますか? 時間の範囲は明確にされることもあるし(例えばこの先10年),創造力と想像力を促すために完全に開いたものでもよい。個人個人への質問のほうがよく用いられる グループ・インタビューでは,仲間の圧力と人間間の衝突を最小にするように注意を払うべきである。質問者も1人というのがよく用いられる。しかしながら,経験によれば2人の質問者がより効果的である。質問が想像的で質的なデータを集めるのに有効であるとは未だに証明されていない。より多くの情報のためのデータ源については5~8を参照されたい。

デルファイ法
デルファイ法とは,将来の事象のパラメータを設け分析し評価し予測するために,専門家や知識人を使って意見をとり同意を得る予測技法である これはもともと,委員会における人間性と心理面の欠如を最小にするために考え出されたものである このプロセスは,いくつかの十分に注意を払って作られた個人への質問を行うことで遂行される 参加者は他の参加者と顔をつき合わせることなく個人個人,質問される。それぞれの質問ラウンドは,匿名の情報と,グループの同意を得るために先のラウンドの意見のフィートバックによってなされる。Coates によれば,このプロセスは「日,重量,尺度といった計量値が指定されるいかなる状況にも適用される」 このプロセス全体は,指導者と調停者を通じて遂行される。

データの整理と解析
データが予測研究において集められるとき,それらは整理され解析される必要がある。整理され解析されたデータは新しい特性――情報の特性をもつようになる それゆえ,予測プロセスのこの段階では,データは分類されデータ年表が作られる。データの分類過程では,データの相互関係が調べられ,データ年表を作りその結果として趨勢を求めていく。研究のこの段階では, データの関連について解釈がなされ,それにより手元にあるデータの中のそれぞれに対して重み付けをすることになる。

情報の分類
研究の対象となる問題では,データの分類が必要となることが多い。そのとき,数多くのデータを整理する方法であり,ここではそのいくつかを挙げる。

FASTダイヤグラム
7部3章でFASTダイヤグラムと呼ばれる機能分類技法についてある程度述べた 著者らはこのプロセスが予測情報を分類するのに有効であると考える。このタイプのダイヤグラムは,作用している供給機能と需要機能の双方を描くように構成されている。

関連樹

Lanfordllは,関連樹を「関連する変数をコヒーレント型の図式で表わす方法」と述べている。樹は定性的なものであるが,それと同時にSwagerは “透視的”または“客観的な樹”であるとし,Brightらによって示された関連数を用いながら定量的なものであるとしている。それらは垂直的なFASTダイヤグラムとして視覚的に把えることができるであろう。

ここで垂直的なFASTダイヤグラムは,階層的構造を 形成するように,一つの一意な機能,目的,パラメータ から枝分れするという論理に基づいている。樹の各レベ ルは複雑さのレベルを表わし,それらは下に行くほど増加する。関連樹は,大量の情報を簡潔な構造をもった形で表わし,予見できない関係を探し,目的を遂げニーズを満たすための新しい方法を見つけるのに有効な手法である。樹を構成していくプロセスは,優れた通信装置のような役割を果たす。

樹それ自身は多くの情報を持っているので,Lanfordがミニ情報センターと名付けたものと考えてよいデータを分類するのにどのような方法を用いるにしても,市場が引き出すものと,技術が押し出すものに適応させるべきである。またそれにはデータを 論理的に統合し,対象領域に作用する主要なパラメータを,その題目で確認できることが必要である。

その他の手法
予測活動のこの段階では,他の多くの分類手法も用いることができる。因果ダイヤグラム,形態学的分析, 数値分類法, 概念図,使命流れ分析などは,すべて予測研究のこの点において役立つ効な手法である。

データ年表の作成
データは,それらが年代順に並べられたとき新たな意味を持つ 1つの問題領域の中で生起した事象の叙述が年代順に並べられたとき,それらは技術の発展レベルについて,多くのことを予測者に示唆するパターンとなりうる。製品ライフサイクルは, 1つのアイデアの発展レベルを表わすものとして展開してきた 1つのアイデアは思弁的段階にあるかもしれないし,また他の1つのアイデアは,研究開発過程の大部分を通り過ぎ新製品として,すぐにも導入されるかもしれない。データ年表を作成する上での重要なステップとして,趨勢データから事象データを分離することが挙げられるニュース項目は技術開発における1つの事象であり,一方年代順に並べられた数値データは趨勢を示すものである。数学的には,将来の事象が確率論の用語で取り扱われる一方,趨勢は制御システムにおける物の流れや出力を生み出すために,互いに関連し合うベクトルとして扱われる。

相互関係の把握
デ_夕収集ステップで集められたデータが,異なる間題分野にまとめられるときには,分野間の相互関連をはっきりさせる必要がある 相互関連を明らかにするた各問題のパラメータを縦軸,横軸に並べたり(クロス波及分析),一方の軸に外部要因を並べた(波及分析)行列が用いられることが多い.

クロス波及分析

T.J.GordonとO.Helmerによって開発されたクロス波及分析は,投入側のクロス波及行列を用いたコンピュータ・シミュレーションである。評価者は行列の1つ1つのセルに,(1)モード(波及の方向,正,負,または影響なし),(2)各対の間の波及の強さ,(3)遅れ時間,波及が実現されるまでにどのくらいの時間がかかるか,を指定する。これら3つの変数の2次方程式が,入力行列に基づき,各アイテム間に相互関係が生ずる確率を計算するシミュレーション・プログラムに組み入れられる.出力結果としては,アイテムのリスト,初期確率,アイテム間に相関があるときに生ずる確率の推移,そして最終確率である アイテムはこれらの確率によってランク付けされる このプロセスは,アイテム間の潜在的相互関係の基本的分析でもある。 参考文献20,21を参照されたい。

波及分析
波及分析は,外部要因の波及(一連のアイテムに対する作用)を評価するための主観的な定量化手法である。これは行列スコア法であり,アイテムの相互関係の認識として(+),(―),(0)を用いるタイプの分析に類似じている。これは,影響を選別し,属性を認識し,敏感な変数をシステムに取り入れるのに有効な手法である。さらに, システムもしくはいくつかの代替物に突き当たる正,負の力を測るような状況ならば何にでも適用できる。

その他の手法
シナリオ手法は,予測の相互関係と波及とを確かめるのに有効なものであるこの手法は,技術予測における投影段階で述べるが,因果関係を示すのに優れた手法である 同様にPERTも計画やプロジェクト管理においてよく用いられ,詳細な前後関係を把えるのに有効な道具である。

投 影
この時点では,予測者が過去のデータを将来へ投影できるように,すべての必要なステップが取り込まれなければならない もし数学的モデルが作られたならば,将来何が起こるかのシミュレーションを実行する。しかしながら数学的モデルを議論する前に,根拠のはっきりしない将来の構成概念を提供する,多くの直観的方法があることを再び指摘しておく。したがって,例えば将来の脱塩プラントに対する芸術家のモデルは,将来のプラントがどのようであるかを述べた直観的構成概念であるこの同じプラントについて述べた新聞記事もこの構成概念と同様である.このような投影のいずれかを調査することによって,常に芸術家や記者が無から投影するのでなく,事前の構成概念を持っており,将来に影響すると彼らが考えているような相互関係に合うように修正していることが明らかになってくる 経営者もたびたび同様の直観的立場で行動する。このような構成概念は,ここで述べる予測プロセスに参画することで改良されうるものである。

ここで述べられるのは,予測者が将来を投影するのに用いられるいくつかの方法であり,3つの異なるタイプの投影一一楽観的,悲観的,現実的を考えることが望まれる これらの投影は将来の推定の範囲を与えるべきである 趨勢外挿では,規範的投影から正もしくは負のズレが生じるかもしれない(シナリオ作成では別々のシナリオが書かれる)。そしてクロス波及分析や波及分析では,モデルは異なる将来をシミュレートするように変わりうるものである 現実的な将来とは,定義よりもっともありそうなものということであるが, これら3つの投影すべてがなされるべきである。これらの異なる将来は現在の活動に波及するので,これについては技術予測の状況評価段階で考慮すべきである。

趨勢分析
趨勢分析は,過去のデータをさまざまなパラメータの事象の間の時間的関係や相関によって評価するための,いくつかの統計的手法からなっている 趨勢外挿は,過去のデータをプロットし統計的にそれらを将来へ外挿するものである.系列相関は,系列間の関係の統計的計量化である。

高い系列相関がある場合には。1つの変数もしくは技術が,他の前兆となりうる この場合, こういった前兆は,後に続くものをあらかじめ示すものとして監視されうる。Martinoは趨勢分析法について詳しく述べている。

趨勢分析はまた時系列分析を含み,伝統的な経済予測法と同様に曲線へのあてはめを用いている より手の込んだ趨勢外挿は,いくつかの異なる技術の時系列を分析,外挿するように,曲線へのあてはめと外挿とを用いる組み合わされた“包含”曲線は,技術進歩と能力改善の指標となる 多くのモデルが,過去のデータをあてはめ,将来に対する有益な投影を与えられるのに用いられるしかしながら一つはっきりさせておくことがある。それは,この技法を用いるさい,過去の道筋から趨勢がはずれる限界を考慮することが重要だということである。何度もこれらの限界が求められ,趨勢ラインを修正するのに用いられる。

代替分析
趨勢分析における継時的技法は,過去の事象の経過を定量化するものである.一方,代替分析24は,新しい技術が経済界に広がり,現存のものに代わり引き継いでいく割合を定量化するものである この技法は,おもに現存する技術の衰退の割合とともに,新製品の市場成長を推定するために, 1つの技術と他の技術との代替の量と割合を予想するために用いられる この方法は技術予測の中でだんだんと用いられるようになっており,新技術が旧技術に取って替わる様子を効果的に予想する.このような代替は,先に述べたFASTダイヤグラム技法を用いて分類され,代替分析は,代替に基づき機能的にそれらを投影する方法である。

シナリオ
将来を投影するもう1つの方法としてシナリオ作成がある シナリオ作成は,仮定のもとで現在の条件からさまざまな将来を投影するのに用いられる定性的な予測技法である.これは,より定量的な趨勢分析モデルと同時に用いられることが多い 趨勢分析モデルは,数値データが存在しないために構成できないことが多い。そのような場合にシナリオカリト常に有効である。「これは将来の関係を探索するのに主要な技法である」

シナリオは多くの異なる形,長さ,書式,組み合わせで書かれる『6 _般に,一連の代替的なシナリオは, 1つの最ももっともらしいシナリオに対抗する形で作られる。これらのシナリオは信じられるもので,かつ無関係であってはならないし,たいてい技術予測研究の中で集められたデータに基づいている Hart3によれば,シナリオは人々に代替的な将来を見せる強力な方法であるという。なぜならば, シナリオが過去に起こった事象,特に好ましくない出来事を前提にしているからである。言い換えると,これにより偏りを少なくしている。VandouらとMacNultyは, 代替的シナリオを構成するためのいくつかのステップについて述べている。

状況分析
いったん一連の投影がなされたならば,これ引子来が,現在の活動と将来への計画へ及ぼす波及を評価する仕事が始まる。

そこでは予測を繰り返すことを求め,代替的将来が,現在の活動に及ぼす波及を評価する方向へと進めていく。この分析を遂行する中で,現在の状況に関する多くの異なる側面を挙げ,後に研究すべきいくつかの主要な領域を選ぶために,それらを選別することが望まれる ブレーンストーミングはそのような領域を列挙するのに優れた技法であり,7部3章で述べた価値測定技法は,長々とした題目のリストから適切な領域を選ぶのに用いられる。

営業における機能ダイヤグラムは,将来の投影が波及する領域を選択するのに用いられる 研究開発,資本投資,製造,販売流通,将来の労働力需要といった領域への,予測の波及を考慮することがたびたび有効である このタイプの分析が,組織の内部構造と状態に対する予測の効果を明らかにしていく。

また,母体となる組織以外の外部機関へ,予測が与える波及効果についても評価すべきである他の製造企業,自治体,行政機関へ技術予測が,どのような影響を与えるか? それに続く組織自身への2次的な効果は? この種の分析がどの程度行われるかは極めて状況に依存する 実際には,多くの評価は営業それ自身への1次的効果に制限され, 2次的効果については,主要なもののみに注意が払われているのが現実である。このような分析が複雑であるために,意思決定者が役割上の直観的な思惑で評価することになる。

技術予測の潜在的波及が列挙されるにつれて,それらは項目分けされ,統合される KennellとLinnemanは,現在の活動への主要な趨勢の波及を評価するのに要因実験を行った。彼らは,計画作りにおける略式のアプローチの中で,現在の計画の将来の変動に対する頑健性を調べ,組織が変化する環境によりよく対処できるように,将来を監視する戦略をとった この種の状況から,彼らは最良の機会を選び,同時に,組織に対する負の効果を緩和するプランを考察したプランと活動の修正を勧めることは,技術予測プロセスの中の主要な産物である。

監 視
技術予測の最後の段階は,その分野での進展を監視するプロセスを確立することである。予測は信頼できないものであることが多いので,継続的に監視することが重要である 予測そのものが,監視すべき敏感な部分に対する知識を与えるはずである.技術が後追いするクリティカルパスが叙述されうることが多い ライフサイクル分析は多くの新しい技術の開発段階への洞察を与え,それらの新しい技術が現われたときに有効な手段となる。

監視システムは,将来が展開していくとき,それに追従するように確立されるべきである ここで根本的に必要となるものは,ファイル,すなわち情報の保管。取出しシステムを作り,このファイルの保全に対する責任をはっきりと一人の人に課することである 監視することによって,技術予測は,予想した径路からのずれに追従することができる 需要は一定か? 新技術のどこかで躍進が起こったか? 監視では,変化を評価するために重要な信号から目を離さないことである 文献調査や環境調査に加えて,観測結果に対する適切なパラメータを選び,有効でタイムリーな情報を与えることが監視には必要である データは一般的な文献から集められるだけでなく,年次報告や特許から, さらには個人的な観測や重要な戦略的地位にある人々との契約によっても集められる。いったん集められたデータは,その後速やかに利用できるように保管されるべきであるから,データの保管と取り出しにはある程度の思慮が必要である。単純なノート形式ではすぐに実用的でなくなる.監視は,技術予測プロセスの他の部分で現われる重要な情報を,継続しかつ新しくするという意味で重要であるこれまBnghtの言うところの「現在起こついている事象の評価」である。

時折,全体的な技術予測活動を繰り返すことが賢明である。その分野の複雑さに依存して,いくつかの問題を,特にその問題が急速に盛んになっているのであれぎ,詳しく研究することが必要である そのような研究の成果は,新しい技術予測に組み込まれていくであろう。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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