コラム・特集

5.7 近接性

IEハンドブック

第10部 ファシリティーズ・デザイン

第5章 オフィス・レイアウト

5.7 近接性

データ収集過程の際,各人に以下の3点についての近接性を書くようにさせる。

1.作業グループの他の人に対するもの。
2.ファイル室,コピー,幹部室などの特別な区域に対するもの。
3.フロント,ロビー,倉庫などの人口の固定した区域に対するもの。

そして,次のような4つの近接性の程度で表現するようにさせる。

1.絶対必要
2.重要--かるく歩いていける距離内
3.普通――適度の距離内
4.不必要

以上のことを,グループに対しても行う。たとえば,グループ間のみの近接性について考えてみる。関係する課,グループの管理者,監督者に値を与えてもらう。そして,2つの課の上司が,互いの近接性について異なった評価した場合は,相違点を解決しなければならない.次に,相互関係図表に値を書き込み,おのおの理由も記入する(図表10.5.6参照)。


完成した図表を用いて近接性図表を作成する。第1グループから,すべての「A」の関係を3本線で書き込み,各グループの番号を円で囲む(図表10.5.7a参照)。ただし,円はすべて同一形状とする。次に,「B」の関係(2本線,図表10.5,7b参照)を表示する。「B」の線は「A」の線よりも25%長くしておく。同様に,「C」の関係(図表10.5.7c参照)についても書き込む.「C」の線は「B」の線よりも25%長くしておく。「B」,「C」の点がそれぞれ書き込まれたあとで,交差している線を減らすため,図を書き直すようにする。目標は「A」の関係をもつものを極力近づけることであり,できれば,「B」の関係のものも近づけるようにする。また,「C」の関係のものを近づけることはあまり重要ではなく,「D」の関係をもつものについては無視する。

必要総面積の算出

次の段階として,必要総床面積算出のため,各作業場・グループ・課における必要面積見積もりを行う。このとき,個々の作業場の標準面積に通路・出入口用の許容面積を加えるようにする。経験則より,作業場の縦,横をそれぞれ2フィート広げるようにする。必要床面積が60平方フィート(5.6m2)の場合,図表10.5.8のように通路・出入口用の許容面積を加えて95平方フィート(8.83m2)となるようにする。

密度の考え方
縦,横方向に2フィート加えることによって中程度の密度のレイアウトとなる。

加える値を2フィートから最小限度の1.5フィートに減らすと密度がふえる。”風景のみえる″ レイアウトにおける作業場で,一般的に必要とされる増分である2フィートよりも広くとると,密度は減少する。

標準タイプの必要総面積を求めるため,単一の作業場の面積に作業場所数を掛け合わせる。この手順は,特定のグループやユニットにおける標準的な作業場について繰り返し行われる。おのおののタイプの作業場の総面積を合計して,そのグループやユニットにおける個人用の標準タイプの必要総面積を求めるため,単一の作業場の面積に作業場所数を掛け合わせる。この手順は,特定のグループやユニットにおける標準的な作業場について繰り返し行われる。おのおののタイプの作業場の総面積を合計して,そのグループやユニットにおける個人用の作業場の必要総床面積を求める。

グループと会議室の必要面積
グループの備品についても同様の手順で行える。しかし,備品がファイルやカウンターである場合,通路と出入回のために広げる長さは,2+4フィートである。図表10.5.9のように,引き出し,カウンター,作業域の分が加算される。会議室,ラウンジ,応接室,試験室,作業室のような,建屋の周辺に設置する移動できない室は,個々の作業場と同様に見積もられる。

グループの備品,会議室,同様の区域の面積を作業場の必要面積に力日算して,オフィス全体の必要総面積を求める(図表10.5.10)。

グループ全体の必要総床面積は,次(図表10.5.11)で計算される建物正味使用可能床面積より少なくさせる。柱のスペースは使用可能な床の一部とみなし,差し引く必要はない.総床面積から作業場ごとの使用可能な面積を求める方法の例が図表10.5.12である。

必要スペースの縮小化
必要総床面積が,正味使用可能面積を超えてしまう場合,必要総床面積を縮小させなければならない。必要面積を縮小させるとき,以下の事柄を用いるようにする。

1.個人用作業場数の低減
2.グループ用備品のためのスペースと通路数の低減
3.出入日の面積の縮小
4.拡張用スペースの除去
5.将来の増員用のスペースの除去
6.作業場の規模の縮小
7.倉庫との接続や統合によるグループ用備品の低減

このような変更は,すべて作業者に対する影響を考えたうえで行うようにする。それぞれのグループの必要面積の見積もりが終了したら,縮尺ブロック図表を作成する。

縮尺ブロック図表
この図表は,正方形で表わされた各グループの必要スペースに,近接性を書き加えたものである。一定の縮尺で正方形のブロックを作成する。これは,各グループの必要スペースを表わしたもので,近接性図表における丸で囲んだ数字の部分の代わりである。それぞれの正方形ブロックの長さは,そのグループの必要スペースの平方根とする。たとえば,図表10.5.13において,グループ7を表わす⑦をブロックに書き,次に図表10.5.14のようなブロック図表を作成する。

ブロック計画案の評価
いくつかの案を用意し, 1つの基準にもとづいて評価する。その基準は案の目的から作られ,ウエーイトはそれぞれの基準によるものである。それぞれの案に基準ごとのレイティングを与え,そのレイティングごとに基準ごとのウエーイトを掛け合わせ,それらを合計する。案の中で最高得点のものを会議にかける。ときには,第2,第3の案の作成・評価をするよう要求されることもある。

図表10.5.16では,12の基準によって2つの案を評価。比較している。レイティング,ウエイトは1~ 10の値をとる(1が最低,10が最高とする)。レイティング,ウエイトの値は普通,会議で決定される。

安全性,エネルギー,清掃・保全コスト,プロジェクトの初期コストのような基準は,有形(現実)の基準とみなすことが多い。このような基準は,図表10.5.16の1~ 8のような基準と切り離して評価してよく, 1~ 8のような基準は,無形のものとして分類される。そして図表10.5.16のように評価される。次に,プロジェクトの目的に最もよく合致した案の詳細レイアウト(図表10.5.17)を作成する。

間仕切りのないオフィスのコストについて
完全なファニチャー・パネル・システムを導入することは,従業員への重大な投資に相当する。トップの管理者は,見積もりをみて,多数の個人用ブースと間仕切りのない室からなる,伝統的なレイアウトをすすめるかもしれない。しばしば提起される,完全に統合されていないパネル・システムについての議論を以下に示す。

間仕切りのないオフィスと4人用オフィスが続いているオフィスとを比較したAlex Boie12の研究では,間仕切りのないオフィスにいた作業員のほうに, 1人当たり正味2,000分(1カ月)の時間の節約がみられた。この時間の半分以上は,騒音によって注意力散漫を少なくし,温度・湿度を最適にコントロールすることによるものである。また,その時間の約25%は,自分の興味に時間を使用しなくなったことと,作業負荷の不均衡分を共同分担するようにしたことによる。残りの時間は,1人当たり1日32回ドアを開けていたのをなくし,他の人のところまでいく距離を短くし,間違い電話を減少させ,注意力散漫の原因となる電話の音や訪問者によるものを少なくし,欠勤率を減少させたことによる。

騒音による注意力散漫,人の通過,グループ周辺で鳴る電話の大きな音などによって,間仕切りのないオフィスにいる作業者の生産性は低下する。上述したような,間仕切りのないオフィスには不利な条件があるにもかかわらず,Boieによると, 1人当り18,7%の時間の節約を見積もれるそうである。また,間仕切りのないオフィスにおいて1人当りの生産性が9%~20%増加した例もある。

間仕切りのないオフィスでは,清掃・保全コストが低減し,模様替えのためのコストは80%削減できると見積もれる。企業は,間仕切りのないオフィスにすることによって,建設コストの20%の削減を経験した。

間仕切りのないオフィスが低コストとなるのは,
1.総床面積の縮小
2.インテリア,壁, ドアの削減
3.空調システムの単純化のためである。

オフィスのモジュール化
最近,工場や倉庫用のモジュール化されたプレハブ式オフィスができつつあり,このモジュール設計により再配置や拡張の際の変更が容易になる。標準的なモジュールには空調・吸音設備が取り付けられ,また,すべてのユニットは売り主の工場であらかじめ組み立てられ,これらのユニットはフォークリフトで運べるように設計されている。

モジュール化されたオフィスの使用場所として,管理者室,ユーティリティ室,保健室(初期応急手当所),食堂,セキュリティ・コントロール・ルーム,待合室,会議室,組合幹部室などが考えられる.工場であらかじめ組み立てられたオフィスもプレハブ式オフィスもモジ ュール化されているため,内部の壁を取って組み合わせ ることで,広い室にすることができる。
移動できるオフィスは,工場のうるさい場所で使用する。このオフィスは、従業員や管理者と打合せをする現場の監督者が落ちつける場所となる。

まとめ 
生産システムと同様にオフィスのシステムの研究は技術的な因子による環境条件に特色づけられる。ワープロやコンピュータ化された情報システムを導入することによって,タイプライターを用いていた,今までの環境のもとで機能の再配分が行われる。
1980年代にペーパー レスのオフィス・システムを構築すべきであろう。そして,1970年代に成長したオフィス・システムは,電子によるペーパーレスのオフィスに適合するように変わっていくであろう。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

関連記事一覧

2019ものづくり公開セミナーガイド

B2Bデジタルマーケティングセミナー

ものづくり人材育成ソリューション

マーケティング分野オンラインセミナー