コラム・特集

5.5 インタビューにおける特殊な位置関係による影響

IEハンドブック

第10部 ファシリティーズ・デザイン

第5章 オフィス・レイアウト

5.5 インタビューにおける特殊な位置関係による影響

アイ・コンタクト, くつろいだ気分, インタビューにおいて話す内容を増加させることが,インタビューに必要な環境を設計するときの最終日標である。インタビュアーとの距離が近すぎたり離れすぎたりすると,アイ・コンタクトは少なくなる。『巨離を2フィート,4.5フィート,9フィートにとったとき,インタビューされた人が最もよく話したのは4.5フィートの場合である,という結果がでている。

精神科でのインタビューで同様の実験(3フィート,6フィート, 9フィートの場合)を行ったところ,患者が最もよく話し,アイ・コンタクトが最も多くおこったのは,6フィートの場合であった。また,他の研究で,患者が最も安心するのは,医者との間に机がある場合であることが分かった。

インタビューに関する設計の要因は,インタビュアーのインタビューされる人による評価に影響を与える。たとえば,インタビュアーにしきりに見つめられた場合,インタビューされた人が内気なら,より否定的な評価をするであろう。インタビュアーと非常に不安がっているインタビューされた人の間に机がある場合,インタビューされた人は,インタビュアーが信頼できると高く評価するであろうし,家具付きのすばらしい室でインタビューを行えば,インタビュアーは円熟した人だと必ず非常に高く評価するであろう。

オフィス
オフィスにおいて,秘書や速記者については考慮されていない。ファイル,鉛筆削り,紙とじ器のような備品(これらは秘書だけでなく他の社員も使用しているものである)は,秘書用の場所によく置かれている。

秘書にわずらわしさを感じさせるよりも,備品を2倍にするほうが良いと言うのは愚の骨頂であろう。間仕切りのないオフィスの設計,モジュール化された備品,風景の見えるオフィスというようなものが近年注目されているにもかかわらず,多くの人は,まだ図表10.5.4のような大人数用の部屋で仕事をしている。

最小必要スペースを割り当てる際,どこにもぶつからずに椅子をうしろに引くことができるように,作業者のうしろのスペースは十分にとるべきである。電話システムは,オフィスに対する印象に影響を与える。電話をあまり使わない人に対して,親子電話を設置することは,経済的な決定によるものであろう。しかし,絶え間なく鳴る電話の音は主要な騒音源である。この間題の標準的な解決策は,秘書がすべての電話をとりつぐようにすることであるが,このようにすると,秘書の電話がなるたびに,自分にかかってきたものかどうかみるため,多くの人が見上げるようになる,という奇妙な現象がおこる。

時間は,電話の件以外にも無駄に費やされるであろう。そして,これらの無駄は,避けたり減らしたりできないものである。たとえば,Sorge Brin Associatesによる調査では,間仕切りのないオフィスにいる男性は,勤務期間中,平均60回もミニスカートの女性を見,しかも1回につき約1分見上げたままであったという結果がでている。長年にわたって未解決の問題は,無窓オフィスの是非である.ある研究で,コンピュータのプログラマーが間違える率は無窓オフィスのほうが高い。コンピュータとの距離が4フィート,8フィート,12フィートである場合の実験で,最も作業がはかどり,間違えの少なかったのは8フィートの場合であった。

作業域の設計の際のプロキシミックス(proxemics)*†

* 「プロキシミックス」は,文化を専門的に精巧に生み出す空間の使用についての観察と理論とをさす用語で,H all(参考文献)によって作りだされた。
† この部分の一部は,J.J. Mariotti “ How close is your neighbor” I.E.1969年10月, P.14~18からの要約である。

個人の領域と考えられる区域にはいるのは,タブーであるという考えから生じる設計の重要性について考えてみる。地下鉄,バス,エレベーターなどの公共機関に乗っていたり,親しいもの同士である以外の場合,タブーが存在する。大人数用の部屋にスペースや備品を割り当てるとき,個人の領域を持つ権利を考えバッファの区域をつくるべきであろうか。幾人かの人が,触れられることに対して不快感を抱くようであれば,これらの人のためにスペースを余分にさくべきであろうか。誰が通路に関する権利を持つのか。通路のわきで仕事をしている人が,通路に近いスペースを使用できるよう,通路を十分広くとるべきであろうか。

ストレスが増加すると,混雑感が増し,人びとはより広いスペースを要求するようになる。おそらく,会合するときの会議室の選択や,大人数用の部屋に割り付けられたスペースの大きさといったものは,ストレスの量と関係があるであろう。確立された階級制度や適正空間によって侵略はコントロールできる,ということに異論はないであろう。しかし,他の作業者と距離をおいている人は,緊密な管理を必要としていないのであり,作業域の設計の際には,東縛に対する作業者の主観というものを考慮にいれるべきであろう。

気温の高い室にいると混雑感が増カロするので,気温を調節する必要がある。劇的ではあるがあまり実用的ではない解決策として,気温の変化に伴って人の調密度を変化させる,というのが考えられる。うるさい室にいると混雑感が増し,温度もあがるように感じるであろうから,騒音をおさえることも必要となる。図書館では,周囲の動きを見せないように個人用読書席を設けて,人々の高棚密度をコントロールしている。また,アイ・コンタクトや会話を減らすため,テーブルや机をアレンジしている。応接室で12フィート離れてしまうと,会話はほとんどされなくなる。

以下の節では,オフィス・レイアウトに設計プロセスが採用され,間仕切りのないオフィスと分解・移動のできるオフィスの経済性の検討が行われる。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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