コラム・特集

4.8 倉庫システムについての監査

IEハンドブック

第10部 ファシリティーズ・デザイン

第4章 倉庫

4.8 倉庫システムについての監査

自動化された運搬,保管,コントロール・システムを設置したあと,次に何を行えばよいのであろうか,それは,条件が変わったり,見積もりが正確でないので,システムについて定期的に検査,監査をすることである。

この節では,監査を行った後,プログラムを注意深く計画する必要性について取り上げることにする.ユーザーや供給者の一部の責務について述べ,おのおのの責任を明確化することにする。ユーザーの責務は,マネジメント,エンジニアリング,オペレーティングにまで広がっている。

ここでは,監査を運搬システムの包括的でシステマチックな試験と定義する。つまり,(1)スペース,設備,人,エネルギー,金の利用,(2)取り扱い,保管,管理の構成要素,(3)現在の条件下でのパフォーマンス,(4)将来の要求に合わせられるキャパシティーーについて試験をする。
この検査は,会計検査,作業の検査,経済的に見合うかどうかの検査である。筆者が推薦する検査は,システム検査というもので,これには,自動化されたマテハン,倉庫システム,計画,設計,建設,設置,委託,オペレーティング,保全の検査を含むものである。システム検査を行ううえで,次のことについては必ず検査しなければならない。

1.設置――設置されたシステムのハードウェア,ソフトウエアが実際に設計,または購入されたものであるかを確かめる。
2. システムのパフォーマンスーースループット,必要人員,ソフトウェア,アップタイム,投資の見返り,コスト,生産性の点からみた,満足できるパフォーマンスを備えてあるかを確かめる。
3.要求――スペース,設備,人に関する要求を満たすような十分なキャパシティが存在しているかを確かめる。
4.システムの管理――システムの管理を効率的に行うためのポリシー,手続き,管理,報告のチャンネルについて確かめる

システム検査を行う理由の1部として,(1)過去から習う,(2)変化の必要性を評価する,(3)データベースを充実させる,(4)組織内における信頼性を確立,向上させる一があげられる。公式のシステム検査によって,多くのメリットが得られるにもかかわらず,ほとんどの会社では,このような検査は行われていない。

会社が遂行監査に失敗する共通の理由のいくつかは,
1.不安 約束が守られないとか,禾1益が認められないとか,資源が労費されているという心配。
2.変動性 システムを計画,設計,そして設置するリードタイムが,個人の責任が会社に移譲されることによって変わる。
3.責任の欠除 概して,計画,設計そしてシステムの売り込みに関する個人の責任は,システムの取り付け,操作そして保全の責任とは違う。
4.納期 他のニーズが,「それを正しく行う時間がない」という姿勢とともに存在する。
5.要求の変化 内部,外部の要因により,システムの設置される時間までに,要求が変化する。
6.ベースラインの欠除 システムの現在状態は何ものにも比較することができない。相対的な,もしくは絶対的な比較もできない。
7.あと知恵の態度 「誰かが後を振り返ることができる.しかし,実務上の本当の支持者は,前を見る人だけである」ということが監査を妨げる。

良い決定は,良い結果を導く場合と悪い結果を導くこともある。同様に,悪い決定が良い結果と悪い結果を導く。決定のメリットは,しばしば,客観的,解析的,包括的,再帰的などの程度によっている。あまりにもしばしば,システムに関する早急な決定が行わる。

BOLD(少量データを基とした)結論は,客観性の欠除した人によって作られた注釈から導かれる。不満な供給者,嫉妬深いユーザー,そして政略的に刺激を与えられた労働者は,風刺や噂を通して,打ち勝つのが困難なシステムについて疑いを投げかける。

監査は,組織において客観的に達成するに十分なレベルで行わなければならない。その報告は,少なくとも蓄積した許可レベルに従わされなければならない。それは,アクティビティの大きさとか,組織の適当な影響に依存したサイトレベル,分割レベル,団体レベルで成し遂げられるべきである.

監査は,システムが設計されたときに設計されるべきであるが,おうおうにして監査は,システムが設置された後に設計される。 そのようなアプローチは,ゲームを行ってから,どうやってスコアを計算するかをがたり,入札パッケージを具申したり,売り主の責任を受けた後に,供給者を選ぶのに使われる要因を決定するのと同じである。システムが設計されたとき,人は監査という視点が重要となることを知るべきである。

最初の監査は,システムがユーザーに受け入れられてから,おおよそ6カ月後に行われるのが最も良い。6カ月より早く行うと,「バイヤーの後悔」という特有の偏見をまねく。スタート早々とか,デバッキングの最中では,一般にユーザーは,システムの評価を行うという試みに偏見をいだかせる,失意の期間を経験する。

監査は,早すぎて行われることがあり得るだけでなく,遅すぎることもあり得る。もし,最初の監査が遅れたならば,悪い習慣が作られ,手がたい審査がなされ,また,改善の機会が見合わされることになる。最初の監査のあと,いくつかの設備には,年1回の監査がふさわしく,他の設備には周期的な,しかし不明確なタイミングが好まれる。

監査は,客観的であり,自動マテハンや貯蔵やシステム制御の知識を持っており,如才なく知覚の鋭い人によって行われることを推奨する。その個人は,できるならば工場または部署,または団体のスタッフ出身がよい。だれか他の工場,または部署で使われていた人でもよい。または外部のコンサルタントが雇われてもよい。

監査は包括的であるほうが効果的である。それゆえ,マネジャー,ォペレーター,保全員,システム供給員と,システムによって果たされる機能は,監査に含まれなければならない。システム供給員は,修正または変更のための勧告を頻繁に用意することができる。すべてのマテハンと貯蔵と設備の制御の,形式ばった監査が行われることは必ずしも必要でない。しかしながら,新しい技術(工業にとって新しいのと同様に,あなたの会社にとっても新しい)と現代の方法による革新的な変更とを混在した(そして高価な)システムを包含するそれらの設備の監査は当を得ている。金額の制限は指標として使われた。しかしながら会社での事件の頻発はもう1つの大きな考慮すべき事柄である.監査が正式に行われることと以下の比較がなされることこそ大切なことである。

1.契約と引き渡し
2.期待と実現
3.予測と現実の事柄
4.仮定と結果
5.概念と設備

どこに違いがあるかを,彼らは述べなければならない監査の結果は正式に報告されねばならない。それらは提出される前に,影響を及ぼされたものとともに再検査されなければならない。意見や知覚を最小にして,事実を最大にすることを保証するフィードバックこそ大事である.変更の行動もしくは継続が行われなければならない。そして,それらの反動は,評価されなければならない.

責任―ユーザーの責任
あまりにもしばしば,ユーザーは自動化されたマテハンや保管システムを計画し,設計するのに十分な時間をさかない。その態度は,まるで「ただ出来合いのものを置きましょう。その後で必要な修正をするつもりです」と言っているようなものである。不幸なことに,そのようなアプローチは非常に高くつくはずである。

設備の寿命が考慮されるとき,それは計画,設計,建設,設置,指示,保全,そして修正を含んだサイクルを経るのである。費用を節約するための機会は,時間とともに指数的に減ってくる。またシステムにおける修正のための費用は,指数的に増加する。したがって,最も重要な点は,計画や設計をする段階において力をおくことである。

計画と設計は改善されるので,監査後の必要性は減少するだろう.その間に,いかにすれば,ユーザーは彼らの責任を実行するという。より良い仕事ができるか.また責任を持てるか。マネジメントの最初の役割を考えてみるべきである。マネジメントは生産について監査のために良い環境を作り出さなければならない。相手とのかかわり合いは,存在してはいけないのである。さもなければ,監査方法は失敗する運命にあるであろう。意思決定と結果との相違は是認しなければならない。

マネジメントは,持続的でなければならない.複雑なシステムは取り除かれねばならない。操業開始時は,問題の期間であることが多いので,この期間を支えるマネジメントはきわめて重要である。エンジニアは,設計に対して,もっと責任を持つ必要がある。彼らは,「作者の誇り」を避け,設計において必要とされるかもしれない変更を認識しなければいけない。

熟考の上の合理的な仮定,日標,代替案は,効果的な監査のために設計のあらゆるところで,証拠書類で立証しなければならなかった。操作している人びとは,設計の過程にかかわらなければならない。そうすることができる限り,設計は推測よりも「事実」に,仮定ではなく分析に基づかなくてはならない。操作している人びとも,より責任を持たねばならない。彼らは委託について最後まで努力することが重要である。

もし,人員や備品,または空間の縮小の見込みがあるとき,その変更を行わなければならない。操作している人びとは問題の一部ではなく,解決の一部でなければならない。変更に対する抵抗や,新システムに対する信用の欠除,システムに対する忍耐の欠除は,効果的な監査にとって好適な環境を作らない。

責任――供給者の責任
供給者に分配される責任の度合は,その供給者が,システムの設計に果たした役割に依存する。供給者がシステムを設計するとき,エンジニアのために記載されたのと同じ責任があてはまる。供給者は,監査に参加しなければならないだろう。監査の間の法的な責任は,たとえあったとしても,ほんのわずかであろうが,システムをユーザーの必要に合わせることを請け合う職業的責任はあるだろう。監査に参加できない供給者は,いたとしてもほんのわずかである。供給者は,おそらく,どんなユーザーの組織の中の個人よりも多くの物を失うと同時に,多くの物を得るだろう。ユーザーの流動性のために,監査はその開始のときにその周辺にいた利用可能な人,おそらく供給者であろう人だけによって行われる。こんな状況は,形式化された監査プログラムを持つことを支えるために大きく役立つ。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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