コラム・特集

4.7 倉庫システムの設計

IEハンドブック

第10部 ファシリティーズ・デザイン

第4章 倉庫

4.7 倉庫システムの設計

AS/RSの設計だけでは,倉庫設計を行うには十分ではない。なぜなら大部分の倉庫設計では,AS/RS設計を必要としていたが,それらの機能は,受入れ,保管と検索を強張していたが,それらの機能は,受入れ,保管から配送まで,オーダーピッキング,一時保管,受け渡しなどについて論じられていなかった。倉庫の必要条件の分析や,ハンドリング方法,保管,資材管理についての新しいシステム,または改善されたシステムの設計の際,以下のような質問事項をチェック計画の過程を通して考えるべきである。最小限,以下のことについて考えなければならない。

1.な ぜ

a,なぜ運搬,保管,管理が必要とされているか。
b,なぜオペレーションがそのように行われているのか。
c,なぜオペレーションが現在の手順で行われるのか。
d,なぜ現在のように材料が入荷されているのか。
e,なぜ現在のように材料が出荷されているのか。
f,なぜ現在のように材料が梱包されているのか。
g,なぜ現在のように材料が保管されているのか。
e,なぜ現在のように材料が管理されているのか。

2.何 を

a.何が運搬され,保管され,管理されるのか。
b.どのデータが利用でき,必要とされているのか。
c.どんな案が利用できるのか。
d.それぞれの案についての利益とコストはいくらか。
e.そのシステムの設計の目標は何であるか。
f.何が機械化,自動化されるべきか。
g.人は何をなすべきか。
h.何がなされるべきでないのか。
i.どんな企業がその問題に関係するのか。
j,何の基準が設計案の評価の際に使われるのか。

3.どこで

a,運搬,保管,管理はどこで必要とされているか。
b,運搬,保管,管理の問題点はどこか。
c,運搬,保管,管理設備が使われるべき場所はどこか。
d,組織の中で,運搬,保管,管理の責任の所在はどこか。
e,将来の変化はどこで起こるだろうか。
f,作業はどこで取り除くことや結合すること,あるいは簡素化することができるか。
g,補助はどこで得ることができるだろうか。

4. い つ

a,原材料は,いつ運搬され,いつ保管されるべきか。
d,いつ自動化するべきか。
c,いつ整理統合するべきか。
b,いつ取り除くべきか。
e,いつ拡張を行うべきか。
f,いつコンサルタントに相談するべきか。
g,いつ売り手に相談するべきか。

5. どのようにして

a,原材料はどのようにして運ばれ,貯蔵,あるいは管理されるべきか。
b,どのようにして,運搬,保管,あるいは管理問題を分析するか。
c,どのようにして関係者に売るべきか。
d,どのようにすれば,運搬,保管,そして管理についてより深い知識が得られるか。
e,どのようにすれば実行可能な案が選べるのか。

6.だれが

a,だれが原材料を運搬し,保管し,管理するべきか。
b,システムを設計するにあたり,だれが担当するべきか。
c,システムを評価するにあたり,だれが担当するべきか。
d,システムの設置にあたり,だれが担当するべきか。
e,設備見積もりの提出はだれに出すべきか。
f,過去に類似する問題に直面したのはだれか。

7.どれを

a,どのオペレーションが必要か。
b,どの問題を最初に考えるべきか。
c,もし在存するならば,どのタイプの設備が考えられるべきか。
d,案の中でどれがより優れているか。

図表10.4.22に見られるように,「なぜ」という疑間のうち,「何であったJというものと「どうあるべきか」を分けて考える必要がある。「何が」「なぜ」と尋ねることは,加工され,保管され,管理されるべき正しい材料のために利用される。「どこで」「いつ」「なぜJと尋ねることは,必要な動きを明らかにするためのものである。


「どのようにして」「だれが」「なぜ」と尋ねることは,使用される正しい方法を確立することになる。「どの」「なぜ」と尋ねることで,優先計画を作成できる。運搬,保管,管理システムの設計をする際,考えるべき要因は,材料のタイプ,物的性質,運搬量,それぞれの動きに対する起点と目的地点,また,頻度とレイト,設備選択,扱われるべき単位などを他のものと比較,見積もりをすることを含んでいる。

工場計画の過程を促進するのに使うことのできる, トンプキンスによるいくつかの形式が,図表10.4.2310.4.24に示されている.記録されるときには,材料にかかわる情報,動き,方法などが必要とされる。

入庫と出庫
入出庫についての運用方法を設計するときは,おのおのの場所で要求される取り扱い,保管,管理について考えると同時に,スペース,設備,人のコンビネーションも考慮するようにする。また,入出庫口の数,場所,設計についても十分考えておかなければならない。入出庫□は,敷地で第1に必要とされるものの1つで,運用をスムーズに行ううえで,非常に重要なものである。

また,拡張も考えたうえで,入出庫について考慮しなければならない。拡張に関するルールは,入出庫口における運用をばらばらにしないで,倉庫を拡張することである。図表10.4.25で示すように,入出庫口に関する拡張には,さまざまな方法が考えられる。図中の細い矢印は原材料の流れを示しており,また,太い矢印は拡張可育ヒな方向を示している。


入出庫におけるスペース,人,設備についての要求は,入庫前,および出庫後に関する事項の効率に基づいている。たとえば,倉庫の入出庫口で入荷,出荷の業務を行う作業者がいっしょに働いているならば,ピーク時の量を減らすことができる。入庫量を管理することは,ランダムに入荷されたときの影響を減らす方法の1つである。入庫前の事項に関心をもたなければならない第2の理由は,入庫される原材料のユニットロード構成に対する影響があるからである。

たとえば,台車にたくさんのケースが手で積まれていたら,多分,入庫する際,手で降さなければならないだろう。同様に,運搬車にスリップシートやクランプトラックによって積み込まれ,受け取り側に類似の設備がない場合も,荷降しは手で行わなければならないであろう。さらに,自分のマテハン・システムに合わないようなユニットロードで原材料が搬入された場合,積み込み作業,積み降し作業といったものが必要となるであろう。

第3の理由は,入荷および出荷の業務に関する情報システム間のインタフェースを,スムーズに行うためである。入荷で自動認知システムが用いられている会社の中には,入荷業務を容易にするため,出荷する原材料にラベルをとりつけているところもある。 より早く,より正確に受け取りを行えば行うほど,入荷,出荷を行う業者の利益になる。すなわち,会計に情報が渡され,お金がすぐに支払われ,原材料がすぐに使えるようになるのである。

入荷する者が出荷する者に影響を与え易いのと同様に,出荷先が荷主に対して影響をおよばす。したがって,搬出後の業務についても考えなければならない。今まで入荷前の業務についての考慮の必要性の理由について述べてきたが,以下は,出荷後の業務(回収可能な容器,回収された品目,戻ってくる運搬車,搬出計画など)における事項について考えてみる。

品物が,回収可能な容器で出荷先に搬出される場合,容器が紛失せず,確実に戻ってくるようなシステムにすべきである。さらに,搬出される容器が回収可能であろうがなかろうが,自然摩耗がおこるであろうから,交換も考えておかなければならない。出荷先の品質要求に合わなかったり,搬出された原材料のタイプや数に誤りがあったり,出荷先が原材料を受け取らないと決定したりする場合に,品物が戻される。

理由にかかわらず,戻された品物は取り扱われるので,マテハンの適切なシステムを設計する必要がある。自分の設備で出荷先に原材料を運搬する場合,戻りの運搬車の能力に合った利用を考えるべきであろう。そうすれば運搬車は,回収可能な容器の戻しに用いることができる。さらに,他の運搬目的のためにも用いることができるであろう。

搬出計画は,搬出のための方法を決めるのに重要な影響を与える。それゆえ,搬出車と搬出部との綿密な調整が必要となる。搬出車は出荷先の車であったり,自分のところの車であったり,また,契約した車や商業用の車である場合もある。搬出の業務が決定されて,はじめて搬出計画が正確になり,信頼できるようになるのである。上述の調整が必要となるのに加えて,入荷と生産,生産と出荷,入荷と出荷の活動について,調整することも同様に重要である。

原材料の流れは一般に入荷先,入荷作業,在庫,生産,保管,出荷作業,出荷先,の順となる。しかし,原材料が直接入荷場から生産現場へ行ったり,生産現場から出荷場へ行く場合もある。したがって,システム設計の際は,このような可能性もあると考えて行うべきであろう.では,なぜ入荷,出荷作業について調整が必要なのであろうか。それは,共通のスペースや設備,人が,これらの作業を行う際に用いられるからである。さらに,たとえば,製造,保管活動で,パレットが用いられる場合,空パレットを搬出口に集め,入荷や生産現場のローディング地点に戻さなければならないからである。入荷,出荷の生産性を向上させるには,以下のようなことをすればよいであろう。

1.自動ローディング,アンローディング・トレーラーの使用。
2.自動判別システム,ラベルプリンター,および,入荷・出荷業務についてのデータ入力を容易にするためのスキャナーやリーダーの使用。
3.自動パレタイズ,デパレタイズ機,シュリンク・ラップ/ストレッチ・ラップ/荷をまとめたり安定的にするためのひも結びの機械の使用。
4.スリップシート,クランプ,バレルや機械設備取り付け具というような,特別な取り付け具を個々のトラックごとに使用する。
5.トレーラーヘのローディング,アンローディングを容易にするため, トレーラーの中に届くような伸縮性のコンベアを使用する。
6.ドックレベラーや強固なドックボードの使用。
7.搬出,搬入用の運搬車の到着時刻を設定し,ローディング,アンローディング用の場所を前もって割り当てる。
8.入荷,出荷の集約化,つまり1日の違う時間や週で違う日に入荷と出荷を行う。
9.入荷するものがユニット化,そして,できればパレタイズ化されたものであるよう要求する。
10.ドックのドアは,たくさん設置する。
11.原材料を床に積み重ねることはせず,ラックを用意する。
12.調査が必要な入荷品については,品質管理のためのサンプルを取り出し,残りのものを保管場所に送り,品質管理で合格が判明するまで保管しておくようにする。
13.入荷Noを割り当て,入荷業務を促進させるためドックの区域にコンピュータのターミナルを設置する。
14.自動ローディングを容易にするため,サイドローディングとトップローディングのトレーラーについて評価を行う。
15.システム全体での流れをみるため,梱包されていない小さな部品(コンパクトや梱包クズといったもの)の入荷や標準容器への入れ替えについて考える。

オーダービッキング
原材料の出庫のオーダーが与えられるとき,取り扱われる量は,1つかそれ以上のパレットロードケース,個々の製品である。オーダーピッキングを行う上での代替保管方法は前に述べたいくつかの異なるアプローチがォーダーした品物を取り扱うのに使われる。

たとえば,いくつかの倉庫では,個々のオーダーにオーダーピッカーを割り当てており,またあるところでは,いくつかのオーダーをまとめ,それを1つのオーダーピッカーに割り当て,あるいは,倉庫内の地域ごとにオーダーピッカーを割り当てている。 このような「ゾーンピッキング」を用いるとき,ピッキング・リストは,オーダーをまとめ,そして,ゾーンごとに品目を分けることによって,それぞれのゾーンに対して作成される。

ある時刻の単一オーダーをピッキングするために,オーダーは保持され,ピッキングで生じるパッキングを生み,しばしば,総オーダーピッキング・サイクルタイムの大部分を占める移動時間を生じさせる.バッチやゾーンピッキングでは,オーダーはピッキング・オペレーションに従って蓄積されなければならない。しかし,移動時間が占めるピッキング・サイクルタイム中の割合は普通減少する。

シングル,バッチ,ゾーンなどのオーダーピッキングの最適方法の決定は与えられたオーダーや倉庫のレイアウトを基にすべきである。ランキン11は Deere and Company の交換部品倉庫のオーダーピッキング作業の分析結果を示した。

ここでは,シングル・オーダーピッキングとゾーン・オーダーピッキングが代替案として考慮されていた。オーダーピッキング作業のコンピュータ・シミュレーションを用いて,ゾーンピッキングでバッチ処理される最適オーダー数が決定された。

オーダーピッキング・タイムは保管や運搬のための設備やオーダーピッキングの方法のみならず,オーダーピッキング・エリアのレイアウトの影響を受ける。たとえば,工場内のある場所がオーダーピッキング化され,他の場所が保管に使われているとする。ピッキング・エリアにおける在庫の総量が,ピッキング・フェイス(個々の品目専用のピッキング通路に沿ったスペース)や補壇の頻度に影響を及ぼす.よって,ピッキング・ロケーションにおける保管量が増加するにつれ,(1)ピッキング・ストックのための容器のサイズが増し,(2)ピッキング・サイクルを行うトラベル・タイムが増え,(3)磨要補壇回数が減少する。ピッキング・ロケーションにおける保管量が減少するにつれ,(1)溶器サイズが縮小し,(2)オーダーピッキングを行うためのトラベル・タイムが減少し,(3)必要補塩回数が増加する。

ピッキング・フェイスのサイズが変われば,オーダーピッキング・コストと,補墳コストの間にトレードオフが存在する。それゆえ,あらゆる場合に対して,ピッキング・フェイスの最適サイズが存在する。あいにく,ほとんどのピッキング・エリアは,ピッキングと補垣のトレードオフの分析を基準にして計画されていない むしろ,「1週間分の供給量を保管しろ」とか,「われわれの標準的な保管場所に,自分で丁度よいと思った量を保管しろ」といったようなことが行われている。

オーダーピッキングの効率に影響を及ぼす第2のレイアウト研究は,ラックストレイジ・エリアにおけるストレイジラックの長さである。ある工場が,図表10.4.26aにみられるレイアウトを持つとする.スロットA,B,C,Dに位置する品目からなるオーダーをとることは,図表10.4.26bのレイアウトの場合,必要以上の移動距離を必要とする。

したがって,ストレイジラックのモジュールごとにスロットの数が変わると,スペースとピッキング・タイムの間にトレードオフの関係が発生する。保管スペースとオーダーピッキングの効率に対する,ラックの長さの影響の解析は,ディラーと会社において行われた。この解析の結果は図表10.4.27に示されている。それによると,ラックのモジュールの長さが62.5フィートで,1時間当たリピッキングされる数が56,保管スペースが169,000平方フィートのとき,オーダーピッキングの効率が最大となる.ラックの長さが62.5フィート以下になると,オーダーピッキングの効率が減少するということに注目すべきである.スループットのみを考慮した解析では,ラックの長さを縮めると通路の数がふえ,したがって,スペースがふえる。最適なラックの長さを決定するためには,スペースとスループットを考慮する必要がある。

オーダーピッキング・コストは,保管スペースのコストに関係しているので,最適解はラックのモジュールの長さを一定にした場合に対して求められる。解析から学べることは,ラックのモジュールの長さに関する決定は,一般的に求められるべきものではないということである。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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