コラム・特集

4.6 自動入出庫システム(AS/RS)

IEハンドブック

第10部 ファシリティーズ・デザイン

第4章 倉庫

4.6 自動入出庫システム(AS/RS)

自動入出庫システム(AS/RS)は,保管,貯蔵に大きな影響を与えてきた。コンピュータ制御の利用により,運搬や保管システムは,製造工程や流通過程に統合されてきた。初期のころは最終製品の保管と入出庫が対象であったが,最近では焦点が工程の中のワーク(物),原料,供給物へと移行してきた。

AS/RSは,倉庫の設計に対しても影響を与えている。たとえば,ラックを支柱とする建物は,しばしばAS/RSを内包するよう建設される。一般的なラックを支柱とする建物を図表10.4.15に示す。このような建物は普通,従来の建物より経済的に建設される。加えて,それらの建物はしばしば,特別な目的の建物ということで優遇された所得税の扱いをうける。

AS/RSは貯蔵ラック,入出庫(S/R)機械, I/O(Input/Output),あるいはピッキング・ステーション(P/D)から構成される。典型的なAS/RSのレイアウトは図表10.4.16で与えられる。


S/R機械の基本的な機能は,荷を取って移動することである。一般に,S/R機械は,両側に保管ラックを伴った1本の通路内で操作される.代表的なS/R機械は, 1つまたは2つのマストフレーム,移動台車,駆動装置,ガイダンスマシーンから構成される。フレームは,移動台車が適正な速さで動かされる間に,安定性が保たれるよう設計される。フレームの下の部分には,床の上の1本か2本のレール上を走る車輪がつけられている。それはラック構造に沿って走る支持レールにより,上部からガイドされている。フレームは,また移動台車をガイドするのにも使われる。AS/RSへの入出庫には,コンベア,フォークリフト,無人搬送車などがある。

荷物は,シャトル(Shuttle)で移動する。そのメカニズムはS/Rマシーンから空ラックに,あるいはP/Dステーションに荷を運ぶものである。一般にS/R機械は3つの機械的な駆動装置を持つ。すなわち,通路に沿って前後にフレームを動かす水平的駆動,移動台車を上下に動かす垂直的駆動,S/R機械とその両側のラックの荷を動かすシャトル駆動である。水平的,垂直的運転は同時に操作することができる。それゆえ,機械は移動時間を減らすために斜めに移動する。

S/R機械は,特定のシステムに依存した多くの技術的仕様を有する。す般にシステムはユニットロードS/R,有人式S/R, ミニロードS/Rの3種の内の1つにはなると考えられる。

ユニットロードAS/RS
ユニットロードS/Rシステムは,多量の製品や原料を保管したり入出庫するために必要な倉庫で最もよく利用される。荷はパレタイズされるか,袋やコンテナにつめられるのが普通である。軽い荷(300~ 700ポンド)に対してはS/R機械の能力には一般に40フィート以上の高さまで持ち上げられる。取り扱いの機構は,一般に往復テーブルかメカニカルクランプからなる。 しかし,金属板やコイルを取り扱うために,真空や磁力を利用したメカニズムが使われることもある。典型的なユニットロードS/R機械を図表10.4.17に示す。

重量物を扱う場合には,一般に100フィート以下の高さまで持ち上げられ,S/R機械は700~8,800lbの間で変化する。また普通水平方向の移動速さは250~500fpm,垂直方向の移動速さは60~100fpmである。一般に往復移動は88fpm程度である。

要求される処理量が少ない場合,各通路に対し1台ずつS/R機械を持たせるのは適切ではない。このような場合, トランスファーカーが,通路間のS/R機械の移動に使われる。このトランスファーカーは通路の端に置かれる。一般にその移動速度は,100~160fpmである。

ユニットロード・システムでは,荷をシングル・ディープラック,ダブル・ディープラックのどちらにへも保管できる。時々,小さい荷の場合は,3ディープラックが使われる.複数のシャトルを有するS/R機械は,ダブル・ディープラックの操作を容易にするのに使われる。加えて,ダブルシャトルのS/R機械は,入出庫のピーク期間に適応するのに使われる。

ディープレーン AS/RS
ユニットロードAS/RSの変形として,ディープレーン(deep-lane)AS/RSがある。図表10.4.18に示されているように,ディープレーン・システムは, 1台のS/R機械が通路の両側の多くのパレットを扱うことを除き,ユニットロードAS/RSと同じである。ディ―プレーンAS/RSの利点は通路スペースの節約である。

有人システムは,また,効率を増すためにオーダーピッキングを保管と結びつけることができる。しかし,このシステムは少々異なったラック構造と,S/R機械と空ラックを結ぶ特殊な車を必要とする。この車は一般に,レーンの中に荷を運ぶプラットホームであり,好ましい荷の位置を感知し,荷を置き,次の荷のために操作エリアに戻る。先入先出の操作では,2台の車が必要とされ,レーンの両端に1台ずつ置かれる。レーンのプラットホームの片側の車が入庫し,反対側の車が出庫する.後入先出の操作では,レーンの片側の1台の車が入庫,出庫を行う。

典型的なS/R機械は,4,000ポンドまでの荷を持ち上げることができる。機械の水平,垂直方向の速度は一般にそれぞれ400fpm,90fpmまで出すことが可能である。S/R機械を伴ったセル間を結3ゞ車は,一般に850ポンド程度の重さを扱い,4,000ポンドまで持ち上げる能力と水平スピード120fpmの能力を持つ。また,一般に幅がが34インチから43インチ,長さが44インチから52インチ,高さが7インチの長さである。

有人式AS/RS
ユニットロードの数よりも少ない入出庫には,いくつかの方法が存在する.その1つの方法は,保管場所や通路内で入庫,出庫を行う方法である。通路内のピッキングには,図表10.4.19に示すような有人式S/R機械がときどき使われる。

オペレーターは,棚,ビン,引き出しから物も取り出し,それらを袋やモジュールの中に入れる。そして,それらはS/R機械により,通路端とか特急物のための通路内のコンベアまで運ばれる。オペレーターのプラットホームは,重量物の出庫のための付加的な手で操作することができる装置を持つ。しかしながら,効率は,オペレーターに品物の配置場所やピックアップされた総量といった情報を与えるオンボード・コンピュータ・ターミナルを含む自動管理を使用することで増加させることができる。S/R機械の能力は一般に1,500ポンドまで,持ち上げ高さも40フィート~80フィートとなっている。水平,垂直移動速度は,ユニットロードAS/RSと同一である.S/R機械のいくつかは,オペレーターの重さを含めて4,000ポンドまでを処理することができる。通路内のピッキングでも,一般的な方法を使って行える,オーダーピック・トラックや入出庫トラックなどで,通路から通路まで棚にのせたり降ろしたりするため歩くといったことは,通路に取り付けられた人が乗って操作するS/R機械の代替案である。

ミニロード AS/RS
前節に記述されているように,ユニットロード量の少ない通路内S/Rに対する代替案として,通路の端でのオーダーピッキングと供給システムがある。通路の端でのオーダーピッキングと供給システムの1つの方法として, ミニロードAS/RSがある。ミニロードAS/RSは,コンテナや運搬箱などに保管された,小さな部品の取り扱いに適している。そのようなシステムは,一般にスペース効果があり, リアルタイム在庫コントロールを行える.典型的ミニロードAS/RS概念は図表10.4.20に示されている。

ミニロード・システムのS/R機械は,ユニットロード・システムのS/R機械の構造に似ている。しかしながら,それは一般に付加的あるいはより複雑なピッキング機を備えている。そして細いすき間の制限された部分に製品が入るように誘導機が備えられている(より小さなユニットを取り扱うために,より正確さが要求される)。荷の重量は, 300~ 700ポンドとさまさまである。高さは,一般に,10フィートから40フィートである。水平移動スピードは350fpmであり,また,垂直移動スピードは,一般に60fplnから80fpmである。ミニロードS//R機は,十分自動化されている。

カルーセル
通路の端のオーダーピッキングの他の方法としては,カルーセルコンベアがある。 図表10.4.21に示されているように,カルーセルの概念は,容器を取り扱い場に運ぶ水平回転棚から構成されている。それは一組の荷持台からなり,それぞれの荷持台は,垂直な多数棚の列からなっている。ドライブ機構は,基本的に取り扱い者のもとへ適切な容器が来るように,荷持台を回転させるもので,オーバーヘッドでのコンベア,あるいは,フロア・マウンテッドドライブ(重量物用)を用いている。

カルーセルは,オーダーピッキングやアセンブリ,生産部品,並べ替え,テスト在庫,保全部品保管のために用いられる。荷持台は,一般に20から70とさまさまである。荷持台は,5,000ポンドまで取り扱え,12インチから22インチの奥行き, 3フィート8インチから5フィート4インチの幅, 6フィートから10フィートの高さまで取り扱える。カルーセルのスピードは普通60fpmから80fpmである。カルーセルの規模は長さ,置場サイズ,輸送距離,取り扱い要因,要求スピードに依存する。また,125ftの長さのユニットまで取り扱える。さらに,特別な置き場や棚の設計も可能である。

自動S/Rカルーセルは,カルーセル・システムの成果を増加させつつある。あるシステムは,運搬ボックスや保管箱という多くのカルーセル段階からなっている。置き場は,自動的にロボット装置によって作動し,オーダーピッキングに対する遠隔ステーションヘコンベアで急送される。 また,コンベアによって,カルーセル・システムヘもどされ,ロボット装置が自動的にカルーセル内に置き場を見つけ出す。

サイクル・タイム算出
ユニットロードS/R機械は,通路内において,垂直,水平の両方の動きを同時に行うことが可能である。それゆえ,P/Dステーションから入庫や,出庫のロケーションに移動するのに必要な時間は,垂直・水平移動時間の最大値である。そのシステムのためにはスループットのサイクル・タイム把握が重要であるため,シングルコマンド・サイクルと重複コマンド・サイクルの両方を実行するためのS/R機械の時間が非常に重要視されている。

シングルコマンド・サイクルは,入庫か出庫のどちらかによって構成され,一方,重複コマンド・サイクルは,入庫と出庫の両方を含んでいる。シングルコマンド入庫・サイクルは,一般的にP/DステーションにおけるS/Rから始まり,荷の取り出し,入庫ロケーションヘの移動,セルに荷を置き,そして,P/Dステーションヘ空の容器を返却する作業を行う。シングルコマンド出庫サイクルも,またP/DステーションのS/Rから始まり,出庫ロケーションに移動,荷の取り出し,P/Dステーションヘ移動および荷の荷降しを行う。
重複コマンド・サイクルは,一般にP/DステーションのS/Rから始まり,それは荷を取り出し,ストーレッジ・ロケーションヘ移動し,荷を置き,空を出庫ロケーションヘ移動し,荷を取り,P/Dステーションヘ移動し,そして荷を降ろす。2つの取り出しと2つの移載動作の合計は,重複コマンド・サイクルとともに実行される。

保管はランダマイズされ,地上の通路の端にP/Dステーションがあるものとし平均垂直・水平速度を用いそして(奥行き1段のラックとして考えると)S/Rのためのサイクル・タイムは,BozerとWhiteによって次のように与えられている。

Tsc=α (1+ß2/3)+2Tp/D
TDC=α/30(40+15β2-β3)+4 T/D
α=max(th,tv)
β=min(th,tv,tv/th)
Tsc=シングルコマンド・サイクル・タイム
TDC=重複コマンド・サイクル・タイム
TP/D=取り出しか入庫を実行する時間
th=P/Dステーションから,通路のもっとも遠い位置へ平行移動するための時間
tv=P/Dステーションから,通路のもっとも遠い位置へ垂直移動するのに必要な時間

もし,通路上の移動台車が連続的に垂直平行移動を行うことに使用されたとき,ボザーとホワイトは次の式を与えている。

Tsc=th+tv+2 TP/D
Tdc=4/3(th+tv)+4Tp/D

AS/RSの設計
AS/RSの設計においては,多くの決定がされなければならない。いくつかの決定は,システムの供給者によって行われ,また他の決定は,システムの使用者によって行われる。種々の設計パラメータの特徴。値についての情報を確かなものにしなければならない。最も重要な考慮すべき点には,次のものがある。

1.荷の寸法とセル寸法
2.入出庫口の数と位置
3.建屋建築―ラック支持あるいは従来の方法
4.敷地の利用可能性,状態,費用,建築法規
5.倉庫の通路の数,高さ,長さ
6.デュアルコマンドベースで行われる,オペレーション(保管および検索)のパーセンテージ
7.搬送車の適応性
8.ランダム・ロケーションによる保管,あるいはフィックスド・ロケーションによる保管あるいはそれらの組み合わせ
9.通路内,あるいはP/Dステーションなどにおける遊休時間中のS/Rマシンの停上位置
10.自動化のレベル
11.コンピュータの制御レベル
12.在庫の必要性
13.補給の必要性
14.メンテナンスの必要性
15.AS/RSで使用するパレットを,自社で用いるパレットにするか,受け取り先で用いるパレットにするか16.I/Oの様式
17.発展・変化に対する計画
18.保管量の要求― ピークと平均
19.ハードウエアとソフトウエア用の仕様のレベル
20.入出庫の優先順位と停止に対する準備
21.保管の奥行の形態一― シングル,ダブルまたはディープレイン
22.パレットに混載するための準備
23.自動識別システムの使用
24.設計に際しての決定を助けるシミュレーションの使用
25 列スペースの要求量
26.システムで要求されるオペレーションを計画的に行うのか,ランダムに行うのかの違いにより生ずる影響
27.エネルギーやユーティリティの影響
28.インフレーションや税の影響
29.スプリンクラーの要求度
30.立上がり,デバック,後の監査のための計画

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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