コラム・特集

2.9 レイアウトの完成と実施

IEハンドブック

第10部 ファシリティーズ・デザイン

第2章 プラント・レイアウト

2.9 レイアウトの完成と実施

レイアウト計画
全体的なレイアウトが選択されると,レイアウトの詳細を, レイアウト計画として記録する必要がある。レイアウト計画は2次元または3次元で表現される。

2次元の表現には,手作業による製図,テンプレート,テープ,レイアウト,コンピュータグラフィック・レイアウトが含まれる。手作業による製図は,小規模なレイアウト計画に対する最良のアプローチであろう。しかし,大規模な範囲の最終レイアウト計画に対して,使用したり変更するのに用いると多額の費用がかかる。大きなレイアウト計画を作成するのに最も一般的な方法は,テンプレートやテープを使用する方法である。テンプレートは自家製でも購入品でもよく,ブロックあるいは概略テンプレートを使用する。ブロック・テンプレートは,機器の長さや幅の最大値を表わすラベルの付いた四角形である。概略テンプレートは,機械の動く部分の概略や余裕を図示したものである。コンピュータグラフィック・レイアウトは,入力端末,中央処理装置,出力周辺装置を使用し作成される。入力端末は一般にキーボード,ライトペン,CRTより構成される。キーボードとライトペンは,レイアウト計画者がコンピュータグラフィック・システムに命令を伝えるのに使用される。CRTは,開発されたレイアウトを図形的に表現するのに使われる。レイアウトは,中央処理装置から特別なテンプレートやシンボルを呼び出し,ライトペンを使い,レイアウトを得るためテンプレートやシンボルを配置することで展開される。レイアウトが完成すると,それは多くの出力周辺機器の1つにより出力される。

3次元のモデルは,レイアウト計画を開発するのに最も明瞭で理解しやすい方法である。しかし,3次元のモデルは複写する点で困難さを持つので,2次元モデルもいぜんとして必要とされている。また3次元モデルのコストは多くの場合高価である。以下で3次元モデルの2つのタイプについて述べる。

1.モジュールプロック・モデル これらのモデルは,機器を表現するのに使われるモジュールビルディング・ブロックにより構成されている。各機械ごとの特別なモデルは必要ないので,モジュールブロック・モデルのコストは下げられる。
2.スケール・モデル スケール・モデルは,機器の各部品を表現する特別なモデルより構成されており,これには2次元モデルと同じようにブロックあるいは概略モデルがある。

たとえ,いろいろな表現が利用されるとしても,レイアウト計画を作成するためには同じ手順がとられる。工場設備のレイアウト計画を開発するシステマチックな手順は以下に示す通りである。

1.縮尺の選択―もし可能ならば,設備計画に従事している建築家,建設技師,その他専門家が使用しているのと同じ縮尺を使用する。
2.表現方法の決定―一般に表現方法の選択は,明確な経済的な組み合わせに基づくべきである。
3.レイアウト計画の費用や機器類の獲得。
4.現存する工場では,すべての永久的な施設を配置する。すべての柱,窓, ドア,壁,照明,階段,エレベータ,下水,水道,その他の永久的な施設は最初に配置される。
5.受入れ機能を持つ外壁を配置する。
6.現存しない工場では,すべての柱を配置する。柱のサイズ,スパン,柱の配置は,新しい工場レイアウトの初期設定に含まれている。
7.すべての工場設備や機器類を配置する一受入れ部門より始め,各部門は部門のレイアウトに従って仮に西己置される。
8.すべての人やプラントのサービスを配置する一すべての人やプラントのサービスを含む工場レイアウトの変更が行われる。
9.レイアウト計画を検討する一レイアウト計画は,原材料と人の流れの予想の両面から検討されるべきである。原材料の流れの検討は,工場を通るすべての原材料の追跡をすることで行われる。人の流れの検討は,工場内に勤務するすべての人を対象として,仕事の知的追跡をすることで行われる。
10.レイアウト計画の完了―すべてのものを配置し,計画に適切な見出し,明確な記号,詳細な説明文を記入する。

レイアウトの売り込み
もし,完成したレイアウトが適切に売り込まれないなら,いかにそのレイアウトの質が高かろうと,受け入れられる見込みはほとんどない レイアウトを上手に売り込むために必要な3つの構成要素は,(1)質の高いレイアウト計画,(2)説明書,(3)口頭での説明,である。この章の前節までは,質の高いレイアウト計画の開発に関することであった。その他2つの構成要素についてここで述べる。

説明書の目的は,このレイアウトの利点を述べたり,選択された特別のレイアウトがなぜ最良のものかといったことを文書化することであり,このレイアウトを作成するのに必要な手順について述べることではない。説明書に書かれた高品質のレイアウト計画を記述するのに従うべき手順は,以下に示す通りである。

1.説明書の目的の定義一一目的は文書化され,この説明書を読むいかなる人も到着する結論について述べられるべきである。これらの目的は,説明書を書く間に何回も確認されるべきである。
2.目次の決定一目次は書かれる説明書の概要を表わすものである。それは説明書の中に入れる項目を組織立て,考え方の理論的な流れが「はじめに」から「まとめ」まで発展していく筋道を確かめることを読者に行わしめる。
3.説明書を読む人の決定――説明書の形式,項目のレベル,長さは,その説明書が誰のために書かれるのかによって決定される.工場計画者の長のために書かれる説明書は,社長のために書かれるものとは明らかに異なる。
4.説明書の執筆――説明書は簡明でなくてはならないが,工場計画を実行する必要のあることを正確に伝えねばならない 説明書の読者は書かれた結論を信じる。それゆえ,読者が詳細な理由や説明を通して読まなくても,結論が得られるようすべきである。詳細なことは表にまとめ,その表を付録につけるべきである。
5.説明書の実証一一説明書の中で用いられているデータの出所や仮定を明らかにする付録を用意する.説明書が到達した結論は,どのように決定されたのかを正確に表わしているデータや手順の詳細を付録の中に含める.説明書の読者が,説明書の本文で導かれた結論を自分で導けるよう十分な情報を用意する。
6.説明書の編集――説明書を完成させる前に,2,3日時間を置き説明書を見直す.そして説明書の目的や簡潔さ,分かりやすさに注意を払う。

書き上げられた説明書は,口頭で行われる説明会に参加するすべての人に,会の少なくとも2日前には配布すべきである。説明書を配布のあと,説明会に出席する数人の主要な人でチェックを行い,その対策を考えておくのが賢明であろう。これらの対策は,口頭で行われる説明会の準備において,たいへん有効であろう。

口頭の説明会の準備の最初の段階は,説明会が誰を対象に開かれるかを決めることである.説明会にどんな人が聞きに来るかを考慮して,その人たちがどんなことを聞きたいか予測すべきである。十分に聴衆を理解し,これらの見通しから説明会を想定することで,説明者はどんな質問がなされ,何を強調すると得なのか予測することができるだろう。

以上のような理解がなされたなら,何が説明されるべきかを配慮することが必要である。何を説明するか決定するとき,心にとめておくべき2つの重要な要素は,(1)簡潔さ,と(2)何から,なぜ,どのように進めるか,ということである。多くのプロジェクトの場合,説明会には1時間程度を要する。もし説明会が15分間で効果的に行えるなら,15分の説明会を計画すればよい。

口頭の説明会では,何をこれから説明するかを最初に述べ,次にこれらのことがなぜ行われたのか説明し,次に,提案されたことを実際に行うための方法を説明すべきである。説明者は,説明会でレイアウト計画書を作成した方法をひと通り説明することを試みるべきではない。反対に,口頭の説明会では,どの計画が実施されるべきであり,なぜこれらの計画が実施されるべきなのかを説明すべきである。口頭の説明会を準備し,実行するための有用な指針は次の通りである。

1.説明しすぎないように注意する一一現実性をもたせ,すべての状況が試されたことを確認する。
2.推薦されているシステムと同類の他のシステムにも注目していることを確認する.聴衆が推薦されているシステムが十分成功すると納得するように注意する
3.口頭の説明会を終える前に,推薦の計画を述べ,推薦された計画を完成する方法を説明する。
4.結果の表を示して説明会を終える一一コストの節約,スペース利用効率の改善などを示す。
5.口頭の説明会を練習する――これは自信を生み,受け入れやすい説明会を行える。
6.質の高い視覚教材を用意する――いかなる視覚教材についても情報が多すぎないよう注意する。説明書からの引用をしない。
7.説明会を適切に演出する――説明会を成功させれば,大きな信頼を得るだろう。
8.時間どおり説明会を行う――用意し,的を得た技術に裏うちされた視覚教材を用いる。
9.すべての反対意見や質問に答える――質問や反応が出やすいように聴衆に注意を払い,対話を持つ.注意深く聞き,反対や質問を十分発言できるようにする 心を開かせる。
10.もし質問の答えが分からなかったなら,「今は分かりませんが,後でお答えします」という。

レイアウトの実施
工場レイアウト計画が承認されたなら,それを実施するため,プラント・エンジニアのグループあるいは土建業者にわたされる。レイアウト計画者は,レイアウト計画を実施する責任ある人と一緒に仕事を行い,もし代替案が必要ならば,すべての場合を考慮し,これらの変更に対するすべての影響を調べる。建設の立場からはわずかな変更であっても,しばしば設備の運用に大きな影響をもたらすことがある。レイアウト計画が実施されると,レイアウト計画者は,設計されたレイアウトの使用において,その運用に責任のある人を手助けすべきである。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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