コラム・特集

2.3 工場の主要なアクティビティの明確化

IEハンドブック

第10部 ファシリティーズ・デザイン

第2章 プラント・レイアウト

2.3 工場の主要なアクティビティの明確化

設備の目的を,目的達成に必要な主要機能に転換することは,「工程の明確化」と呼ばれている。それには次の3つの段階がある。

1.程設計:工場の目的を達成するために必要な機器のタイプを決定すること。
2.工程要求:工場の目的を達成するために必要な機器のタイプごとの数量を決定すること。
3.部門化:機器のタイプのそれぞれの必要な数量を各部門に分配し,部門の範囲とサービスの要求を明確化すること。

工程設計
工程設計は2つの段階で行われている.第1の段階は,工程のタイプの明確化であり,第2の段階は明確な工程の決定である。工場の範囲は,実施される工程の広範囲な範疇を指す.極端に言えば製造工場には,最終製品を得るために精製,製造,組立ての各段階を通して,原材料や資源を購入する会社から,単に構成品や組立て完了品を購入する会社まで広く包含される。この範囲の決定は,購入する原材料の状況に関連して行われる。これらの決定は「作るか買うか」の決定と関連づけられ,この工程決定の手順からのプラント・レイアウトに対する入力というのは,作られるとか購入されるといったことが指示された部品表である。明確な工程選択は過去の経験,関係する必要物,利用可能な機器,製造の比率,将来の予測に基づいている。したがつて異なった工程の操業を行うために異なった設備が選択されることはめずらしいことではない。しかし,結果が異なるとしても,結果を導くために使用される手順は同じであるべきである。工程選択の手順は次に示す段階をふむ。

1.基本的な作業の決定
2.各作業における代替工程の明確化
3.代替工程の分析
4.工程の規格化
5.代替工程の評価
6.最良の工程の選択

製造する製品の工程選択の手順に必要なインプット情報には,製造する部品のリスト,構成部品の図面,部品の生産量などが含まれるだろう。この手順による結果は,工場の目的において明確にされた製品の構成要素を製造するのに必要な原材料,機器,工程などである。

この結果は,ルート・シートに言己録されるのが最良であろう。ここで言うルート・シートには図表10.2.8に示されているデータが含まれるべきである。工場の目的を達成するため,製品の構成要素を組み合わせる方法は,組立て図表(図表10.2.9)で示される。組立て図表(これは構成品をどのように組み合わせるか示したもの)上にルート・シート(これは製造方法に必要な情報を提供するもの)を載せることにより,工場の中の流れの様子は,作業工程図表(図表10.2.10)の形式で得られる。

工程要求
要求される機器のタイプと工程の明細が一度決定されたなら,各工程や機器のタイプにおける生産量が決定されねばならない。工程に必要なものを明確にするという最初の段階は,製造する構成品の数量の決定を含んでいる。市場分析より得られた年間の必要量の見積もりは,各作業における不良率により調整されねばならない。操業開始時の構成品の量は次の式で定義される。

Tn=Pn/1-Xn

ただし,
Tn:作業nの時に流れる構成品の数
Pn:作業nの時の要求生産量
Xn:作業nの時の不良品発生の割合

工程要求を明確にするための次の段階は,各作業に必要な機器の数の算定である「機器の数」と呼ばれる。この数量は,作業を実施するのに必要な時間の合計を,作業の実行可能な時間で割ることにより求められる。数学的には,作業における「機器の数」は次のように定義される。

 

Fn= (Sn)(Tn) / (En)(Hn)(Rn)

ただし,
Fn:作業nの時の「機器の数」
Sn:作業nを実施するための標準時間
Tn:作業nを実施するための回数
En:作業nを実施するための経験的な育旨率
Hn:作業nの実行可能時間
Rn:機器の経験的な信頼度

工程要求を明確にするための最終段階では,機器の総必要量を決定するために,同一化された機器のタイプのための,「機器の数Jを組み合わせることが行われる。しかし,この手順は決して簡単なものではない。厳密にいえば,このような機器のタイプの総必要量として,各タイプの「機器の数」の合計を決定することは,しばしば製造不良やスケジューリング,段取による超過時間といった問題に帰着する。機器の価格,機械段取時間,工程仕掛品の費用,超過時間での段取の費用や可能性,将来の成長の予測,その他多くの質的要素の情報は,必要な機器の数量を決定する際に分析されねばならない。

部門化
部門化には,各部門における仕様書で示された工程要求の実施が含まれる。部門化の最初の段階は,機器,原材料,作業者に関するすべての相互作用を考慮し,すべての作業場の詳細な図面を作成することにより,各機器のタイプに必要な面積を決定することである。作業場は機械,原材料,人間の面積を含む。作業場内の機械の面積は,(1)機械本体,(2)機械の作業域,(3)機械の保全域,(4)プラント・サービスのための区域,よりなっている。これらの情報は設備特性表よりすぐに利用可能であるべきだ。もし,設備特性表が利用できないなら,これらの物理的数値は次に示す項目より決定するようにすべきである。

1.機械の製造者とタイプ
2.機械のモデルと通し番号
3.機械の安全な停上位置
4.床荷重の必要条件
5.静止時の最大高さ
6.真上への最大移動幅
7.静止時の最大幅
8.左側への最大移動幅
9.右側への最大移動幅
10.静止時の最大奥行き
11.作業者側への最大移動幅
12.作業者の反対側への最大移動幅
13.保全に必要な面積
14.プラント・サービスに必要な面積

機械の作業域を含んだ必要床面積は製造時の合計幅(静止時の幅十左右への最大移動幅)と合計の奥行き(静止時の奥行き+作業者前後方向への最大移動幅)を計算に入れて決定される。機械に必要な床面積には,必要な保全域とプラント・サービスのためのスペースも加えなければならない。最終的な機械部門のために必要な面積は,機械類の面積の合計となる。作業場内のすべての機械に対する機械類面積の合計は,作業場に必要な機械類面積になる。

作業場で材料の占める面積は,(1)受け入れ材料の貯蔵(2)工程内の材料,(3)材料の保管,出荷,(4)スクラップの保管,出荷,(5)工具,備品,治具,打ち抜き型,保全材料のための空間,より構成される。

受け入れ,材料保管,仕掛品,貯蔵,材料の出荷に必要な面積を決めるためには,取り扱うユニット・ロード,機械間の材料の流れなどを知らねばならない。一般に,機械の近くに置かれる流入,流出するユニット・ロードについて,十分なスペースを見積もるべきである。付加的スペースとしては,機械内に置かれている工程内の材料,機械から出てくる半製品,そして機械からの材料の移動について考慮する必要がある。機械から出るチップやスクラップの移動のためのスペース,作業場内の一時貯蔵スペースを用意する必要がある。スペースは工具,備品,治具,打ち抜き型,保全材料に対しても必要である。作業場あるいは中央貯蔵場所でこれらの品目を貯蔵することを考え,決定することが直接,必要面積算出に関係する.少なくとも,機械の取替えに必要な工具,備品,治具,打ち抜き型,保全材料の合計スペースだけ用意されねばならない。

作業場での作業者が必要とする面積は,(1)作業者,(2)運搬,(3)出入のためのスペース,よりなる。作業者と運搬に必要なスペースは,作業方法から直接的に得られる。作業方法は仕事の動作研究と人間工学を用いることで決定されるべきである。作業者及び運搬に必要なスペースのみでなく,作業者の出入りのために必要なスペースを考慮しなければならない。作業者が据え付けられた設備のそばを歩く場合には,最低30インチ(76cm)の通路が必要である。また作業者が稼働している機械のそばを歩く場合には,最低36インチ(96cm)の通路が必要である.また,もし作業者が2つの稼働している機械の間を通るなら,最低42インチ(107cm)の通路が必要である。

作業者のアクティビティを視覚化するために,作業場ごとにスケッチを描くべきである。作業者の1日のアクティビティのシミュレーションは,スペースの割り付けを十分に保証し,作業者の能力,有効性,生産性,安全,満足感を改善するのに役立つ。

すべての作業場が規定されたなら, レイアウト計画者は各部門を形成するのにどの作業場を組み合わせるかを決定しなければならない。レイアウト計画の手順において,この段階で形成される部門は,工場内に現存する部門である必要はない。 ここで形成された部門は計画中の部門であり,これらはプラント・レイアウトの手順中でレイアウトされる作業場のグループのことである。レイアウトが完成した後,管理上の部門化が考えられるべきである。

部門を設計するとき作業場の組み合わせは次の2つの基本概念に従う。
1.製品計画部門:この部門は類似の製品や構成品の作業を行う作業場を組み合わせる。
2.工程計画部門:類似の工程を持つ作業場を組み合わせる。製品計画部門はさらに次に示すように分けることができる。

1.製造ライン部門:安定して量の多い,標準化された製品を製造するのに必要な,すべての作業場を同一のグループにする。
2.製品が固定的な部門:量が少なく,かつ注文が安定していない,物理的に大きく移動させにくい製品を製造するのに必要な,すべての設備を組み合わせる。
3.製品群部門:個別には少量である類似製品のグループを製造するのに必要な作業場を組み合わせる。

多くの工場は製品計画部門と工程計画部門の複合より成る。例えば,主として,独立した製品を多量に製造する工程計画部門を中心に成り立っている工場では,塗装,メッキ,熱処理,組立て部門が存在してもかまわない。

逆に,少種多量の標準化された製品を製造する製品計画部門を中心に構成されている工場において,工程計画部門で製造された多くの専用化された構成品を見ることも驚くべきことではない。各計画部門内に作業場を組み合わせるアプローチは,各製品や構成品を評価し,最良のアプローチを決定する手順に従うべきである。

工場にとって必要な工程を,明らかにするために残された最後の段階は,各部門の必要な面積を合計することと,各部門の必要なサービスを明らかにすることである。各部門の面積の合計は,単にその部門内に含まれる個々の作業場の面積の合計ではない。なぜなら,種々の作業場での機械の保全,プラント・サービス,材料の搬入搬出,作業者の出入口は,スペース節約のため組み合わせられるはずである。

作業干渉は,個々の作業場で必要な面積を組み合わせることを試みるだけでは解決できないことに注意しなければならない。付加的なスペースは部門内の物流のために各部門ごとに必要となる。レイアウト計画の手順のこの段階では,部門の輪郭,作業場の配置,マテハン・システムなどが決定していないので,必要な通路のスペースを正確に決定することは不可能である。この段階で既知なことは,取り扱われる荷の大きさに関係した通路に必要とされる部門の概算のパーセンテージである。図表10.2.11は通路に必要なスペースの見積もりをするのに使われるガイドを示す。

部門で必要とされるサービスは,前もって決定された各作業場のサービスの統合により与えられる。必要な面積と同様に,これらの必要なサービスは図表10.2.12で示されるように,必要な部門のサービスと面積を表の形で示すべきである。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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