コラム・特集

2.1 序 論

IEハンドブック

第10部 ファシリティーズ・デザイン

第2章 プラント・レイアウト

2.1 序 論

プラント・レイアウトは製品やサービスを生み出す手段の組み合わせの中で,最大の効果を生み出すよう物的な施設の最も有効な配置を選択する分野である。プラント・レイアウトは生産設備だけでなく,オフィス,病院,空港,ショッピングセンターやその他のあらゆるタイプの設備配置に用いることができる.プラント・レイアウトは,ファシリティ・レイアウトとも呼ばれる。しかし,この分野では伝統的にプラント・レイアウトという言葉が使われてきている。以下でこの章の目的を述べる。

プラント・レイアウトの重要性
1955年からアメリカではGNPの約8%を毎年新しい.設備に投資してきた。図表10.2.1に示すのは大企業グループにおける典型的な支出をGNPの割合で表わしたものである。


プラント・レイアウト分野の主たる仕事は新工場のプラント・レイアウトを設定するというものであるが,新しい設備を加えることで,以前に購入した設備の状態も変わるため,レイアウトの改善も必要となる。

プラント・レイアウトの規模は毎年の設備投資金額で示されるが,その効果は必ずしもそれに従わない。効果的なプラント・レイアウトの重要性は以下の質問に答えることで暗示される。

1.保全と運搬のコストについてプラント・レイアウトはどんな影響を与えるのか。
2.プラント・レイアウトは,従業員のモラルにどの様な影響を与え,従業員のモラルは操業コストにどの様な影響をおよぼすか。
3.何のために組織は巨額な資本投資を行い,一度投資した資本はどの様に姿を変えるのか.
4.設備管理にプラント・レイアウトはどんな影響を与えるのか.
5.将来にわたる要求を満足させ,変化に適応する設備能力に対し,プラント・レイアウトはどんな影響を与えるのか。

これらの問題に安易に答えることはできないかもしれないが,これらの問題は有効なプラント・レイアウトの重要性を明確にする。例として最初の問題を考えてみよう.製造における全操業支出の20%から50%は,物流のためだと思われてきた。有効なプラント・レイアウトは,これらのコストは少なくとも10%から30%は縮小できると一般的に認められている。もし有効なプラント・レイアウトを適用するならば,年々の生産性は過去10年間のどの年よりも3倍は増大するだろう。これらの計画を他の経済分野にも関連づけることは困難だが,プラント・レイアウトは本来,最も重要な分野の1つであり,事実,生産性向上の割合を増大させる最も決定的な要因の1つであるという包括的な説明が適切であることが明らかになるだろう。

プラント・レイアウトの目的
プラント・レイアウトは,絵を描いたり,楽器を演奏したりするときの道具の様なものである。もしそれに従うならば,効果的なプラント・レイアウトや美しい芸術,あるいはすぐれた業績を導くであろう指針,原理,技術というものが存在する。しかしながら,これらの指針,原理,技術を十分に理解した上で行われねばならず,また,概括的な結果に影響する相互に関連し,しかも矛盾する複数の目的に対する感覚を養わねばならない。

プラント・レイアウトはより科学的になってきているとはいえ,現在でも芸術として存在している。絵を描いたり,楽器を演奏するための目的は,結果が魅力的であり楽しいということである。一般的な方法では,プラント・レイアウトの目的は,準備したサービスに対する利益を最大にするため,企業がその結果を認めることである.魅力的であること,楽しいこと,利益あるいはサービスを最大化することという目的はすばらしいものであるが,これは絵を描いたり,楽器を演奏したり,設備をレイアウトすることに対して具体的な方針をほとんど与えない。もし明確で,正確な,精密で定量的な,しかも調和のとれた目的が明らかにされるなら,それらは芸術ではなく科学と呼ばれるだろう。

プラント・レイアウトの目的を明らかにすることは難しい。この目的は次のことを含んでいるだろう。

1.逆行移動,滞留,取り扱いの最小化
2.フレキシビリティの維持
3.人力とスペースの有効な利用
4.従業員のモラールの促進
5.良い財務状態と容易な保全の用意

これらの目的は他と矛盾を生じる場合もある。そのため,これらの目的は用心して適用されねばならない。例えば,逆行移動最小化は,フレキシビリティ維持という目的と反対の設計を導いてしまう。さらに滞留の最少化は,慎重に適用されない場合には,人力の有効利用という目的に矛盾する設計を導いてしまう。それぞれの目的は必ずしも他の目的と矛盾しないとは限らない。

プラント・レイアウトのステップ
プラント・レイアウトに必要なステップについてこの章の残りの部分で扱う。その手順の内容は以下の通りである。

1.レイアウトを行うために,工場の目的を定義すること。
2.目的を成し遂げるに必要なアクティビティを明確にすること。
3.本来のアクティビティに関連した補助的なアクティビティを明確にすること。
4.すべてのアクティビティに必要なスペースを決定すること。
5.すべてのアクティビティの相互関係を決定すること。
6.代替案の作成。
7.代替案の評価。
8.レイアウトの完成と実施。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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