コラム・特集

1.2 戦略的計画

IEハンドブック

第10部 ファシリティーズ・デザイン

第1章 立地:単一あるいは複数の施設

1.2 戦略的計画

もし,組織が単一地域において,そのすべてのアクティビティを管理する計画があるならばこの章の敷地決定に進む。しかしながら,拡張が考えられた時に,確実な戦略的決定がまず第一に作成されなければならない。もちろん, 1つの対策として単に現在の敷地内での拡張が考えられる。しかし,新しい地域に移動することが好ましいかもしれない。そこでは,経済尺度,生産能率,より良い輸送計画,高生産性,低い税金あるいは,多くの他の利益が有益に増加するかもしれない。そのような選択を決める研究が,後に詳細に述べられている。しかし,依然として,ただ1つの施設が検討されている。

複数施設の戦略はより多くの挑戦を与え,そして,もしかすると多くの報酬が得られるかもしれない。重要なコストと経営管理の研究は,この選択に影響を与えるだろう。『ハーバード・ビジネス・レビュー』に書いているシュメンナーは,複数工場生産戦略の5つの一般的タイプを明らかにした。以下は彼の記述を示す。それは,製造施設に関連しているが,同様の問題が,倉庫やサービスセンターや小売店にも適用できる。

 

1)生産工場戦略
この計画の下で,個々の工場は企業の総製品の一部分だけを,または生産ラインの一部分だけを製造し,これらの製品に対する企業の市場全体の要求にこたえている。これは,各施設を1つの限定した活動に専念させて,技術と施設と組織に対する影響が,結果として出てくる。ある程度の複雑さは避けられ,そして利益は最大化されるかもしれない。高価な特殊化された工程と試作機器の重複が最小化できるはずである。原材料を一部の特定の地域から持ってくる場合や工場を分散させたい場合には,輸送上の利益もまた存在する。

2)市場内の工場戦略
この計画の下では,特定の工場は,製品をその生産ラインでのみ製造し,特別に限定された市場にのみ供給している。これは,輸送コストが他の施設の費用に大きく影響する場合,特に用いられる。そして,これはまた,製造停止,供給の中断や火災,洪水,竜巻のような自然災害の影響を最小にするために,経営にフレキシビリティを与える。この戦略はまた,特定の消費者に対して製造施設が接近した位置に存在する場合に有利であり,製造とサービスの結果に対して有力な収入をもたらす。経済的尺度の考慮は,ここでは特に重要である.というのは,企業はいつ与えられた工場ネットワークを拡張するのが良いのか,あるいは,間接費と調整費用における付随的増加として,いつ工場を拡張するのが良いのかを決定しなければならないからである。

3)生産一市場間の工場戦略
もし,企業規模が十分大きいか,一部の製品しか造っていない場合,前に示した2つの戦略を組み合わせることが最善である。これはまた,運用上の尺度から,相対的に小さな規模の製造の場合も,適切である。この戦略の下では,工場は製品の一部だけを,あるいは生産ラインの一部だけを作るであろう。そして,特定の市場地区にだけに供給する.この戦略は,企業に前の2つの戦略のうち有利なほうから利益を得ることを許しているが,調整や経営問題は増大する可能性がある。しかしながら,特定の製品に対しての高度な専門知識を特別な工場が開発する機会や特別な市場地区に対する機会として,優れたフレキシビリティと利益を与える。

4)プロセスエ場戦略
製造工程がいくつかの段階に分かれている企業では,各製造工程を別々に取り扱う工場を持ち,それが1つ以上の最終組立工場に中間品を供給する戦略を選択する。それぞれの生産工場は,異なる技術,異なる原料の供給源,異なる経営管理システムなどから構成されているので,それらを分けることは,専門化と分業化を通して貴重な利益をもたらす。工場の大きさは,特に市場に対して,工場戦略に影響するものとして,ここでは重要な役割を果たす.生産計画や在庫管理問題はより複雑であり,調整は困難である。これは各工程が,バランスをくずさないように,より高度な熟練と技術的に訓練された管理チームを必要とするだろう。

 

5)一般的な目的の工場戦略
第5のアプローチは,部分的に前の4つの組み合わせであるが,それは市場のニーズの変化に対して,連続的に適用できるような十分フレキシブルな計画と管理システムのある工場を取り扱うためのものである。これは明らかに生産と経営の両部分に,かなり高いレベルのフレキシビリティを必要としている 管理システムは前の設定のすべてを網羅するのに適用できるようでなければならない。もし企業の生産が特に複雑でなく,そして工場が経済的に小さなユニットの製造ができるならば,消費者の要求,生産設計,そして市場状況の変化に対して,すばやく反応できるという点において,極めて効果的である。新しい製品の開発と導入は促進される。しかし,多種のユニットの調整と不必要な重複の回避は,重大な問題になっている。これらは,特定の場所にどのようなアクティビティを配置すべきかということに関する経済分析に着手する前に注意深く考慮すべき重要な問題である。組織設計,技術開発,市場戦略,そして経営管理の問題は,経済性を考慮しないこともある もちろん,これらのすべての問題は,最終結果に影響を与える。

ここで述べられた問題に関する戦略的計画は,この章の後で述べられている。立地分析に対する以上に長期的にみた企業の競争上の地位に対して,より利益がもたらされる場合もある。もし,企業が合併や吸収段階において成同期にある場合,立地分析は特に重要である。もし,以前に独立していた会社の分害1された計画活動が,合併した組織に対して最適な戦略計画となったとしてもそれは全くの偶然であり,極めて好ましくない事である。

この計画に対する目的が変化した時は,戦略的問題の結果は適切ではなくなる。設備の急な増設は当然,過度の間接費と管理コストとともに,合併と吸収を招くだろう。統合と合併問題は,明らかに経済的要因を含んでいるが,優先され,さらに,伝統的な立地分析がともなわれていなければならない。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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