コラム・特集

6.6 非線形システムの生産費用

IEハンドブック

第9部 エンジニアリング・エコノミー

第6章 生産の経済学

6.6 非線形システムの生産費用

最小の生産費用を求める一般的方法は,制約条件下の最適化問題で用いられるラグランジェの不定乗数法である。それはつぎのような形式である。

L(X,V)=k(x)+V〔q― Q(x)〕                          (20)

ただし,
X=一連の投入量(Xl,… …,xm)
k(x)=変数Xの費用
Q(X)=変数Xの産出量(すなわち,生産関数)
q=要求される一定量

費用を最小にするこれらの値は,一般にラグランジェ関数をXグとVに関して偏微分して0とおき, それらの数式を同時に解いて得られる。費用関数が線形のとき,ラグランジェ関数の解は以下に示す最適条件に帰される。

L(X,V)=k1X1+k2X2+ +kmXm 十V〔q-Q(X)〕

∂L/∂xi=0のとき  V=k1/q’1=k2/q’2=……=km/q’m
いずれの投入の組についても

kh/ki=q’h/q’1                                                   (21)

最適下では,すべての投入物の限界費用は等しく,かつVに等しい。これが生産の限界費用である。すなわち, qが最小費用で生産されているとき,Vはc′ qに等しい。等量曲線q上の投入の組み合わせに対する技術的代替の比率q′ h/q′ iは,それらの単価の比kh/kiに等しい。すなわち,図表9.6.1に示されるように,等費用曲線は等量曲線にちょうど接している。あらゆる産出量に対する接点の軌跡は,使用する投入物の最適な組み合わせを示していて,そのシステムの「拡張線Jである。

そのシステムに追加の要望ないし制約があれば,ラグランジェ関数に項を追加して分析することが可能である。 例えば,(3)式で定義づけられるコブ・ダグラス型の生産関数を有する生産システムで,投入x2の上限が16単位 であり,固定費が$48で,xlの単価が$4で,x2の単価が$1であるとすると,その時のラグランジェの関数とその解は以下のとおりである。

L(x,v)=4×1+x2+v1(q-2×1 1/2 x2 1/2 )+v2(16-x2)

q≦16;x2=4×1=q;x1=q/4;v2=2;v2=0               

Cq=48+2q: c′ q=2: cq=2+48/q                          (22)

q≧ 16;X2=16;xl=q2/64: V1=q/8:v2=1-q2/64   (23)

Cq=64+q2/16: C’p=q/8: CP=64/q+q/16          (24)

品最適下では,V1は生産の限界費用に等しくて,V2はX2の制約での限界費用に等しい。すなわち,x2の制約をゆるめると生産費用単価は逓減してV2になる.ラグランジェの変数は制約の「影の価格」になる.なお,図表9.6.1において,システムの拡張線は,産出物に対してX2の16単位以上の制約が境界になっている。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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