コラム・特集

5.2 経済性分析のプロセス

IEハンドブック

第9部 エンジニアリング・エコノミー

第5章 リスク分析

5.2 経済性分析のプロセス

プロジェクトを計画し,経済性のリスク分析を行うには,次の3つのプロセスがある。

(1)キャッシュフローを推定するプロセスーーここでは,多くの要素の支出と収入を明らかにしていく。(2)割り引くプロセスーーここでは,資金の時間的価値を考慮して,将来のキャッシュフローを割り引く。(3)「リスクー不確実性」を明示するプロセスーーここでは,要素のキャッシュフローの各時点での額が,不確実であることを明らかにする。これらのプロセスは別個のものであり,その後の意思決定を明確なものにするために,分析的思考の中で,分けておく必要がある。

第1のプロセスにおいては,キャッシュフローが発生するプロジェクトの要素を識別し,そして,各キャッシュフローの期待金額と時点を推定しなくてはならない。キャッシュフローの推定プロセスでの諸特徴についての議論は,3章にある。これらの議論では,主として期末での一時払いタイプを扱っている。

頻繁に発生するキャッシュフローは,期末払いより連続払いとして表現するほうがよい。連続のフローでも,期単位のフローであっても,フローの額は時間の経過につれて増加することもあり(例,保全費),減少するかもしれない(例,費用節減).これらの時間による額の変化する型は,明らかにしておく必要がある.また,モデルのパラメータは,キャッシュフローの推定段階の一部として,推定しておかなければならない。

図表9.5.1は,連続払いタイプと離散的な一時払いタイプの基本的な型のいくつかを示した。キャッシュフローの総額を割り引かずに計算する諸式を推定するプロセスでの一助になると思う。これらのキャッシュフローの型は,プロジェクトの要素のフローを示すのに役立つ。

第2のプロセスは,等価値の現在価値や他の評価基準値を得るために,将来の時点と額についてキャッシュフローを割り引くことである。3章は,割り引かれたキャッシュフローの分析の基本的事項と他の経済的基準について述べている。さらに4章は代替案の選択手法の応用について述べている。

第3のプロセスは,不確実性の認識とその記述についてである。要素のキャッシュフローの額と,時点の可能性ある変動についての推定が必要となる.不確実な情報を明確に構造化しておくことが,正しい意思決定をするのに極めて重要である.したがって,特定の分析や意思決定者のニーズに対応するために,この分野を正しく取り扱うことは必須のことである。

「不確実Jという用語は,本章では,キャッシュフローの額,時点,あるいは最終的な経済的尺度に関する精密な知識の不足を意味している。意思決定や情報理論の文献の中に見られる他の定義と混同してはならない。不確実な決定を,ときには,確率が使えない場合として定義していることもあるが,ここでは,キャッシュフローの額の情報が不足していても,パラメータ値の推定により,確率密度関数で与えられる場合とする。3章は,常識的な感覚での最終的な意思決定を取り扱い,基礎的事項のいくつかを記述し図示している。

ここでの焦点は経済性の側面からのリスク分析の概念と手法である。これらについて,簡単で伝統的な手法から,より進歩した手法にいたるまで概説する さらに詳細な検討は参考文献を参照されたい。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

関連記事一覧

2019ものづくり公開セミナーガイド

B2Bデジタルマーケティングセミナー

ものづくり人材育成ソリューション

マーケティング分野オンラインセミナー