コラム・特集

3.1 投資案の定義

IEハンドブック

第9部 エンジニアリング・エコノミー

第3章 割引率法による価値換算法

3.1 投資案の定義

長期的な収益性を期待して行われる設備投資には種々の投資支出が生じる。投資の対象は機械,設備,建物,研究開発などであり,エンジニアは投資の有効性を分析するために将来生じる収益や費用を予測しなければならない。また,通常,複数の投資案を考え,その中から最適な案を選ばなければならない。

投資案を評価するためには,次の4つの要素の定義が必要である。

(1)投資と関連する費用の額と発生する時点
(2)投資によって生じる収益の額と発生時点
(3)投資案の経済的な寿命
(4)時間換算のための利子率

キャッシュフローの構成
投資案のキャッシュフローを構成する主な項目は次のようなものである。

1.初期投資Pは設備を搬入して稼動するまでに生じるすべての費用を合計したものであり, t=0,すなわちプロジェクトの開始時点に発生する.もし,プロジェクトの開始まで数年かかるならば,それまでにかかる費用はそれぞれの時点で発生するものとする。

2.処分収入Vはプロジェクトや設備の稼動が終了した時点で発生する。

3.収益,費用の発生の仕方には種々のタイフ崎ちる.たとえば,3年周期で検査費用が生じたり,財産税やリース費用のように毎年均等額の発生などである。

 

キャッシュフローを見やすくするために,キャッシュフロー図が用いられる。下図はn期間のキャッシュフロー図で,Pは初期投資額,Aは毎期末に均等に発生する収益,Vは処分収入である。

エンジニアリング・エコノミーでは,離散的なキャッシュフローは各期末に発生するものと仮定している.次の表のような離散的に発生するキャッシュフローを考えてみよう。

この表で Fjt は投資案 j の時点tにおける正味キャッシュフローである。Fjt<0 のときは正味の損失, Fit>0 のときは正味の利益を表わす。

利子率の選択
投資案を分析する場合には次の2つの原理が必要である。

第1は,資金は資本の利子率によって測定される時間的価値をもつという点である。すなわち,現在の100ドルの価値は1年後の100ドルと同じではない。

第2は,資金は時間的価値をもつため,収入や支出に関する比較は共通の時点で行われなければならないという点である。後述の複利による時間換算係数はキャッシュフローをある時点にシフトさせる意味をもっている。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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