コラム・特集

1.1 一般会計

IEハンドブック

第9部 エンジニアリング・エコノミー

第1章 企業と原価会計

1.1 一般会計

会計の目的
会計は,その利用者のニーズを満たすためにある。経営者や株主といった人々は,企業の収益性と資産や負債の内容について関心をもっている。経営者はさらに営業活動の計画をたて,それらの活動が効率的に運営されているかを知り,管理するための情報を必要とする.企業活動において,時間的な経過のなかで必要になる一連の会計業務を図表9.1.1に示しておこう。


会計報告をするために,企業活動は人為的に会計期間に分割される.時間の経過のなかで継続的に生み出される収益とか利益といった項目は,分割された1会計期間(年間,四半期,月間)ごとに報告される。一方,棚卸資産や借入金といった項目についてはその有高や繰越高を知ることが必要になる。これらの諸項目についての期末の繰越高が計算され報告される。会計報告を一連の会計期間を通して一貫したやり方で作成することにより,財務データを当期と過去の期間の間で比較してみることが可能になる。例えば,当年度の収益額を先年度のそれと比較することにより,増加したのか,減少したのか,横ばいになっているかがわかる。当期末の棚卸資産有高を前年度末のその値と比較することもできる。このような比較は当期のなかで生じた変化をおしえてくれることになる。

基本的な財務諸表
一般的な財務情報は,経営者と企業の所有者に貸借対照表と損益計算書で報告される(多くの企業は資金繰りに考慮する必要があるので,資金運用表も重要になる)。

a 図表9.1.2参照
ごく簡単にいうと,貸借対照表は投下されている資産の内容と,それらの提供元になっている負債と資本の内容を,期末における状態で表示したものである これらは,図表9.1.2に示す計算式の形式にしたがって表示される。実例については,現実の企業での財務報告か会計の専門書をみられたい。

損益計算書は,利益の内容を収益から費用を差し引いて示すもので,当該期間における企業の営業成績を示したものである(その書式については図表9.1.3を参照)。


利益を正確に求めるためには,費用の発生と収益の発生を対応づけてとらえることが重要になる。この対応づけは,稼得された収益と発生した費用を,同一の会計期間のなかで関係づけてとらえることを意味している。ここで注意しておかねばならぬ点は,現金の収入,支出が実際に生じたか否かということとは直接関係なしに,収益と費用がとらえられ,損益計算書が作成される点である。

現金での取引に限らず,信用取引によっても収益は計上される。また,棚卸資産はその資産を購買した時点ではなく,それが使われたときに費用化される。また,減価償却費は人為的な見積りに基づいた費用であり,現金の投下額を意味していないことも理解しておかねばならない。

費用の種類と企業形態
費用の種類にはいろいろあり,それらの重要性は企業の性格によって決まってくる.例えば,サービス業では製品を販売しないので売上原価はない。商業では購入費が売上原価を構成するが,製造業では製造費が売上原価になる。これらの3つの業種には販売促進のための諸費用は共通してあるが,とりわけ小売業にとっては重要なものになる。

管理費,事務費,償却費といった間接費の諸項目もすべての業種の中にみられるが,特にサービス業では重要になる.製造業では,この種の費用のなかの特殊なものとして,“ 製造間接費”と呼ばれるものがある。
この費用については後の節でもっと詳しくとりあげられる。製造間接費に関するコントロール手法や種々の知見は,非製造間接費にも適用できるものである。例えば,製造業で用いられている原価管理の手法を病院管理に用いても良い結果を得ることができよう。

 

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

関連記事一覧

2019ものづくり公開セミナーガイド

B2Bデジタルマーケティングセミナー

ものづくり人材育成ソリューション

マーケティング分野オンラインセミナー