コラム・特集

5.5 信頼性を考えた設計

IEハンドブック

第8部 品質保証

第5章 信頼性と保全性

5.5 信頼性を考えた設計

“信頼性”と“品質管理”という言葉は,両方とも同じことを意味するかのごとく使われるが,これは間違った解釈である。品質管理によって,システムは製造される際に設計仕様書と一致していることを確認される。しかし,設計が完了し,製造に回されると,そのシステムの信頼性レベルの最大値は,設計段階で組み込まれたものによって決まる。信頼性のための仕事は,設計が承認されると,本質的には終わるのであり,品質管理ができることは,この信頼性レベルを製造期間中に減少させないことだけである。

信頼性という観点からみると,品質管理は事実が発生した後の作業であり,したがって品質管理の段階で信頼性を考えるには遅すぎるのである。このように信頼性のレベルが設定されるのがそこなのだから,信頼性のための作業というのは,システムの設計と開発作業の一部分となっていなければならない。システムの設計と開発期間中,遂行される信頼性の活動を簡単に述べる。

設計レビュー
設計レビュー,つまリシステムの設計に関する公式な手順としての,しかも記録として残されるレビューは,製品設計,信頼性,製造材料,強度分析,ヒューマン・ファクター,安全性,ロジスティックス,保全,その他で経験を積んだ管理者レベルの人達で構成される委員会によって行われる。設計レビューは,構想から製造まで製品の改良に関する全段階にわたり,各段階で,前の段階でのレビュー作業はアップデートされ,レビューはいつも最新の情報に基づいて行われる。

慎重な設計には稼働成績,作りやすさ,信頼性,そして保全性のような多くの互いに衝突するような要因間のトレードオフが必要となる。このようなトレードオフは,経験を積んだ判断に大きく依存し,経験を積んだレビュー担当者達は,絶えず意思の疎通を行っていかなければならない。この設計レビュー委員会によるアプローチは,このトレードオフを行う過程に対して非常に役立つことが分かっている。委員会は,個々の状況で最良のトレードオフが必ずなされるようにするために, トータル・システムの観点から設計やシステムの利用についてすべての考えられる局面を考慮していく。

このレビュー委員会が出してくる提案とかアイデアを調べ,組み入れていくかどうかの最終責任は設計技術者にある。委員長は委員会からの提案をきちんと文書にして出さなければならない。しかし,報告書中の考えを採択するか否かは設計技術者が決めてよい。ただし,いずれの場合もその理由も含め,委員会に最新結果を報告しなくてはならない。

故障モードと効果分析
故障モードと効果分析は,考え得るすべての潜在的な故障モードをはっきりさせ,システムの稼動成績に対し,各故障モードがどんな影響を及ぼすかを調べるのに使われる設計評価の一手川贋である。

この手順は,公式の文書によってきちんと行われるが,そうしておくことにより,(1)その手順を標準化し,(2)雁緯をきちんと文書に残し,そし(3)将来の改良に際しての基礎資料となる。

この手順は,いくつかの論理的ステップから成っており,まず低いレベルのサブシステムやコンポーネントの分析から始まる。このレベルの分析では,システムは絶対に故障するという観点から,原因となる要素をも含め,すべての潜在的な故障モード(“故障のメカニズム”と言われる)を探し出す。そして,各故障モードの影響を上位システム・レベルまで順々に追跡,究明していく。

設計への確率的アプローチ
信頼性というのは,基本的には1つの設計パラメータであり,設計段階でシステムに組み込まれなければならないものである。

設計段階において,信頼性を数量化し,信頼性を考えた設計をする1つの方法が,設計への確率的アプローチである.設計の変数やパラメータは確率変数であり,それゆえに,設計方法においても,それらを確率変数と考えなければならない。

あらゆるシステムの信頼性は,そのコンポーネントの信頼性の関数であり,システムの信頼性を分析するためには,まずコンポーネントの信頼性の計算の仕方を理解しなければならない。確率的設計方法の観点から信頼性を分析するときの基本的な考えは,個々のコンポーネントには強度があり,もしそれを超えてしまうと故障してしまうということである。

コンポーネントの強度を決める要因は,確率変数であり,それはちょうどコンポーネントにかかるストレスや荷重を決める要因のようなものである.“強度”が故障しないように働く要素を示すのに対して,“ストレス”というのは,故障をひき起こすことになりかねない要素を示すのに使われる。ここで“故障”というのは,意図されたように機能しないということを意味すると考えるのであり,現実のストレスがはじめて現実の強度を超えたときに起きる。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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