コラム・特集

5.3 システムの信頼性モデル

IEハンドブック

第8部 品質保証

第5章 信頼性と保全性

5.3 システムの信頼性モデル

システムの信頼性や保全性の特性を分析したり評価したりするために,総てのコンポーネントやサブシステム,そして全システムというものの間の,機能上の関係を示すような全システムの数学モデルがなければならない。

システムの信頼性モデルというのは,それらを構成するコンポーネントの信頼性の関数として決まる。システムの信頼性モデルは,信頼性ブロック・ダイアグラムや因果関係チャートやすべての機器の故障や修理に関する分布の定義,そしてスペアや修理に関する方針といったものを適当に組み合わせたものから成り立っている。信頼性分析や最適化はすべて,そのシステムの概念を表わした数学モデル上で行われる。

信頼性プロック・ダイアグラム
信頼性ブロック・ダイアグラムは,システムが稼動するさまを注意深く分析することから得られる。色々なコンポーネントの故障が,全システムの機能の遂行,スペア部品と修理工の数や配置のような要素を含むサポート環境や拘束条件,そしてそのシステムのミッションに対して,どんな影響を与えるかを分析しなくてはならない。

信頼性モデルを開発するために,システムに関する技術的分析を行わなければならない 技術的分析というのは,次のようなステップから構成される。

1.システムの動きを物理的に支配している物理上の諸法則に基づき,システムの機能ブロック・ダイアグラムを作る.
2.システムを構成する機能上のコンポーネント間の論理的かつ位相的な関係をはっきりさせる.
3.パフォーマンス評価をやり,条件が悪くなったときに,どのくらいまでシステムが稼動できるかをはっきりさせる.
4.(メンテナンス対象のシステムに対し)スペアや修理についての方針を説明する.

前の分析に基づいて,信頼性ブロック・ダイアグラムが作られ,このダイアグラムを使って,信頼性や保全性のさまさまな尺度が計算される.このブロック。ダイアグラムは,システムがどういう場合に問題なく動き,どういう場合に故障するかの,あらゆる場合を絵で示した方法であるが,ダイアグラムを作る際の方針として,次のようなものが,あげられる。

1.システムの任務遂行にとって欠くことのできないコンポーネントは,直列に描いていく(図表8.5.4a)。
2.他のコンポーネントにとって代わるコンポーネントは並列に描く (図表8.5.4b)。

3.ダイアグラム中の各ブロックは, 1つのスイッチのようなものになる一一すなわち1つのブロックが表わすコンポーネントがうまく作動しているときには閉じており,そのコンポーネントが故障しているときには開いている。そして,ダイアグラム中の閉じたプロックを結ぶパスが,うまくいくパスを表わす。

故障ツリー分析
故障ツリー分析は,システムの安全性と信頼性の分布についての方法の1つである。その概念は,ミニットマン打上げコントロール・システムの安全性の評価に対する1つのテクニックとして,ベル研究所によって考え出されたものである。多くの信頼性の技術は帰納的であり,主としてハードウエアが意図した機能を果たせることを保証するのに,関心が向けられている。故障ツリー分析は,詳細な演繹的分析法であり,システムに関し多量の情報を必要とする。システムのかなめとなる部分について,確実にすべてが分かっており,コントロールされているようにするというのが狙いである。1つ1つのシステム故障(結果)を“トップ・イベント”と呼び,“ プライマリー・イベント”と呼ばれる原因にまで展開してくる際のブール論理学的筋書きを図に表現したものである。トップ・イベントとしては,“ 原子力発電所からの放射能放出”とか“ICBMミサイルの不注意な発射”のような全体の状況を指すようなものもあれば,“コントロール棒を挿入しそこなった”とかもある。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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