コラム・特集

5.2 信頼性の尺度

IEハンドブック

第8部 品質保証

第5章 信頼性と保全性

5.2 信頼性の尺度

信頼性は,指定された稼動条件で,その意図された耐久年限の間,ある特定のシステムが,意図された機能を満足に遂行する確率として定義されている。したがってすべてのシステムについて,システムが問題なく稼動している確率に関係がある。任意のシステムがうまく稼動しているとは具体的に何かとか,システムの故障とは何か,ということを定義しなければならないのは明らかである。

さもなければ,システムがその意図された機能を果たせないという時を予測するのは可能ではない。故障までの時間,すなわちシステムの“寿命”は,確定的に扱えないから確率変数である そこで,故障までの時間という確率変数に対して確率関数を考えることにより,信頼性を数量化しなければならないのである。

信頼性の尺度に関する数学
tを次の故障までの時間間隔を表わす確率変数とすると,R(t)で示される任意の時刻tでの信頼性は,時刻tまでにそのシステムが故障しない確率のことであり,数学的には,

R(t)=P〔t>t〕となる。

f(t)を時刻 t において故障の発生する確率密度関数とすると,累積分布関数F(t)は次式により与えられる。

P[t≦t]=F(t)=∫f(r)dr

ゆえに,等式(1)(2)より,信頼性関数と累積分布関数と確率密度関数の間のいくつかの基本的な関係が分かる.

R(t)=1-P[t≦t]=1-F(t)=1-∫f(r)dr

システムの設計段階で埋め込まれるシステム固有の信頼性によって,耐用年限の間,問題なくシステムが稼動する確率が決まってしまうのは明らかである。とすると,次に出てくる疑間は,「個々のシステムの信頼性関数がどのようなものか,どうしたら分かるのだろうか?」である。この解明には,基本的に3つの方法がある。

1.利用条件と同一の条件で,多くのシステムを故障するまでテストする。これによって,経験的に図表8.5.3に示されているような曲線を得る。


2.利用条件をテスト環境の中で再現し,多くのサブシステムやコンポーネントを故障するまでテストする。これによって,経験的に,個々のコンポーネントの信頼性関数を作り上げ,それから,分析的にシステムの信頼性関数を推測することができる.

3.同じようなシステムに関する過去の経験に基づいて,その根底にある故障分布について仮説を作れる。そうすれば,個々の状況に対する故障分布を適合させるのに必要なパラメータを決めるためには,他のやり方に比べ,数少ないシステムをテストすればよい.

4.ある特定の状況下においては,その場の故障のメカニズムによって,特定の分布を想定することができるような場合もある。 たとえば,ある金属の質の低下は,対数正規分布かWeibull分布のいずれかに従う傾向がある。ここで再び,いったん1つの分布を選んだら,個々の状況に対するパラメータは決めなければならない。

システムの信頼性の表示指標としてしばしば使われる別の基準にMTTFという,いまから次の故障までの時間という確率変数の期待値または平均値がある。すなわち,MTTFは,理論的には,次のように定義される。

MTTF=E[t]=∫tf(t)dt-∫R(t)dt

E [t]は,この他にも「MTBF](1つの故障から次の故障までの平均故障間隔)という言葉でも呼ばれる。システムの信頼性の1つの表示指標としてMTTFのみを利用するときにおきる問題は,そのもとになる故障間の時間分布が指数関数であるときのみ,信頼性を一意的に決められるということである。もし,この分布が指数関数以外のものであれば,MTTFの数字によって誤った比較結果が導かれることがある。

信頼性を調べたい品物の大きな母集団を構成しているなら,交換と保全の目的のために,ある特定の時刻では故障しないできちんと稼動している母集団中のものが,どのくらいの割合で今後故障していくか興味がある。これが,故障率と力)危険率であり,次のような関係式によって与えられる。

h(t)=f(t)/R(t)

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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