コラム・特集

1.4 マネジメントと品質保証

IEハンドブック

第8部 品質保証

第1章 品質保証システム

1.4 マネジメントと品質保証

品質保証組織
品質保証活動の明確化
品質保証のための組織作りの中には,設定された企業目標なり,目的を達成するために必要な品質保証活動なり,作業を明確にすることも含まれる。において説明されている品質保証システムでは, トータル品質機能の中に含まれるべき色々な活動の総括を目的としており,フレームワークとして考えるべきものであって,品質保証の標準システムとして考えてはならない。個々の企業においては,このシステムに含まれている総ての活動を必要としない場合がある。どの活動が重要かは,会社の規模,タイプ,特徴により決まる。R&Dに重点をおく企業なら,品質問題がおきないようにする予防的品質保証活動にかなりのリソースをさくだろうが,標準的製品を作っている企業なら管理活動,すなわち物の流れに関連した活動により重点をおくだろう。

活動の実施責任
上言己フレームワークはシステムの観点から品質保証を述べたものである。企業組織のどの部門が,どういった活動を受け持つかについては全くふれていない。そこで企業としてのもう1つの重要な作業は,品質保証活動の実施責任を割り当てることである。

この数十年における品質保証機能の発展を考えてみると,企業としてやらねばならない仕事が益々むずかしくなっていることが分かる。かつては主として検査機能であった品質保証機能は,現在では企業内の部門間,人間間のみならず,顧客,購買先の企業,その他外部の組織との複雑なインタラクションとなっている。したがって,トータル品質保証システム内の総ての活動を, 1つの品質保証部門に課するというのは通常不可育ヒである。他の部門(製品開発,購買,販売,その他)に置いたほうがもっと適切な活動も多数あり,部門間でグループを作ったり,委員会をもうけたりして扱うのが一番良いという責任領域もいくつかある。

組織構造
最善の組織構造などというものはない 構造は企業規模,製品,顧客層といったようなものにより大きく異な原則的には,組織構造が異なっても同じ結果をもたらしうる 長い年月にわたり,「機能構造Jとして知られている構造が拡張されていき,部門構造とか多国籍構造,マトリックス構造,イノベーティブ構造といった色々のものになってきた。

こういった進展から,集中化か分散化かといった問題が関心を集めてきた.分散化されている組織形態のほうが,責任をもたされるのは動機づけにもなるということから,品質に対す動機づけとしてはより良いように思われるが,多部門の協力ということに対する責任は,往々にしてはっきりしなくなるのがまずい点である.多くの場合,両者の混合した構造が一番うまくいく,モチベーション,生産活動における民主主義,共同責任といったことから,分散化に対する関心が強まってきており,コントロールとか検査機能を次第にオペレーターにまかせるようになっている。もう1つ,自分達の仕事に対する計画,管理,責任をもたされた自治的な製造グループ作りも含め,仕事上の組織に色々な変化がみられてきている。

同時に,トータルな品質保証という機能がますます複雑なものになってきたため,部門間の調整統合と長期的推進の責任をもった1つの組織部門が必要になってきている。

品質とトップ
トップが,品質保証においてどのような位置づけになるかは,ますます包括的かつ複雑なものになってきているマネジメントの役割と機能が,一般的にどう発展してきているかをみれば理解できる.1950年代頃まで,管理者の関心は主として,潜在的な利益を何とか実際のものにするということだった 管理者の仕事は,生産プロセスの機能構造に従った,例えば生産管理,販売管理といったもので,トップの仕事は,機能別の活動を調整し統合することであった.1950年代以後企業にとって,新しいチャンスをみつけ,このための新製品なリサービスの開発を促進させることがますます重要となった すなわち企業の関心は,企業のために,利益を生み出す能力を創造することにあった。

1970年代には,社会からの圧力により企業は組合,社会の諸団体,消費者グループ,環境保護グループといったところの他に,立法,司法,行政機関といった非ビジネス環境への参加をますます要求されることとなった。結果として,新しいマネジメント活動分野,競合管理,新企業化管理,社会あるいは政治環境管理等が登場してきた。この他4番目の管理活動として,上記3つの管理に対して必要とされるスキルを提供するものがある。

このようにマネジメントの役割を眺め,その役割を品質保証に関連づけてみると, 次のようなことが明らかになってくる。まず品質保証に伴う諸コストと,不良なり故障に伴う諸コストを,うまくバランスさせることによるコストの節約を可能にするべく,競合管理においては品質関連コストに十分注意を払っていかねばならない。

次にこれからの経営者は,消費者がますます品質を意識していること,良い品質のマーケット占有率に対する影響といったことに注意し,新しいビジネス。チャンスを生かしていく活動においては,品質を主要な要素の1つとして含めていかねばならない。

さらに,社会における数多くのグループの利益をも考慮した品質コンセプト,およびそのようなコンセプトにもとづく品質保証は,社会および政治環境のマネジメントにとって効果的なツールとなるであろう。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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