コラム・特集

1.2 品質保証の動機づけ

IEハンドブック

第8部 品質保証

第1章 品質保証システム

 

1.2 品質保証の動機づけ

企業目標に関連した動機
市場占有率と競合

先進諸国におけるコスト増大に伴い,品質というものが販売における増々重要なパラメータとなってきた.その目的のためになされた調査によっても,また経験からも,製品は品質レベルとその市場占有率の間には有意の相関があることがはっきりしている。したがって品質レベルと企業の景気との間にも密接なつながりがあるわけである。

品質レベルを固定するというのは品質保証活動の中に入っている。1つの製品の品質レベルが高いか低いかは,その機能をどんな具合にやってのけるか,いくつの機能をその製品にもっているか,その寿命とか信頼性は,その外観は,等々の判断により決まることである 企業としては,品質レベルを間違えずに設定することが重要である 製品の品質レベルは高すぎても低すぎても悲惨な結果となりうる。

品質コストの削減
品質コストを注意して管理していくことがどのくらい重要なのかは,種類の異なるコスト間のバランスがうまくとれた総コストを実現すべく努力すれば,いろいろな節約の可育レ性が出てくるということと関連してだけでなく,こういったコストが,どのくらいの大きさのものなのかについての推定値にもとづき,おしはからなくてはならない。国際的に認められている品質コストのブレークダウンは図表8.1.2に示してある。


実際にコスト計算をやってみた結果,品質コスト合計が全売上げの10から20%にもなる企業がよくある各種の出版物なり文献からコストがどの程度のものか見当がつく場合があるが,業界により大きく違ってくる。一番品質コストの安いのは製鉄業であり,精密機械とかエレクトロニクスというような業界でははるかに大きいコストがかかる。

情報のやりとりを改善
品質保証がうまく行われていると,それにより,企業内のグループ,部門間のコミュニケーションのみならず,企業とその環境,すなわち市場,取引企業,規制機関その他との間のコミュニケーションも改善されることが分かっている。

企業内における不十分なコミュニケーションによる典型的な影響例は製品設計,製造方法,ツールにおける変更にみられる。製品設計の終期,あるいは製造準備,スタートアップ中に発生する変更により問題をかかえる企業は多い.変更,手直しの数をゼロにすることはできないが,システマチックにデザインレビューその他の予防的な手段をとることなどすれば,もっとその数を少なくできる企業は多い。

できるかぎり早期において,問題になりそうな点を見つけ出し,修正しようというのが,品質保証の根本的原理である。もし潜在的な品質問題が,大体のアウトラインをえがいている時点で出てくるのなら,製図台上のスケッチを手直しするほうが,後になってから詳細設計を直したり,ツールを変えるより,当然のことながら安い。

新製品開発をめぐって色々な技術機能を整合していく1つの方法は,きちんと組織化されたデザインレビューである。すなわち,企業内の異なった部門からの人々で構成される委員会が,アイデア作りから試作品の製作までの間,いくつかの時点において,開発プロジェクトの現時点での成果と問題点を検討,討議していく。したがってデザインレビューは,1つのコミュニケーション媒体となり,例えば製造,品質管理,マーケティング,サービス,必要とあらば購買分野からの知識が,設計を担当する人々に伝えられていく。建設的に批判が行われ,問題を互いにかくし合わず,積極的な態度で開発にいどむ企業では,良い結果がでてくる。例えば,仕様の変更数が減少するということもその成果の1つである。

製品責任のリスク減少
製造および消費による結果として,いくつもの問題が生じた結果,政府は産業界とその環境間の関係の規則作りに,より積極的な役割を果たし始めた。とくに興味あるのは「製品責任」の考え方で,この中には,自社の製品により引き起こされた損害に対する企業の責任が入っている。

企業のトップとしては,当然この製品責任というリスクにどう対処するかの方策として,何が使えるのかを考えなくてはならない。とれる方策としては,次の基本的に異なる4つのものが考えられる。

1.販売および引き渡し条件を十分気を付けて設定することによリリスクを規制する
2.製品責任に対する賠償保険に入ることによリリスクを他に移す
3.効果的な品質保証を導入することによリリスクを減らす
4.やむを得ないとしてリスクを負う

1から4の方策は互いに独立なものである。品質保証を導入するとか,改善することにより,存在するリスクを減らすことにより, リスクの規制なり移転を考える条件も良くなるであろう。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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