コラム・特集

8.2 コンピュータライズド・マニュファクチャリング・システム

IEハンドブック

第7部 製造工学

第8章 ロット生産を対象としたコンピュータフイズド・マニュフアクチャリング・システム

8.2 コンピュータライズド・マニュファクチャリング・システム

NCラインに時分割コンピュータや, ミニ・コンピュ―夕を導入したものがコンピュータライズド・マニュファクチャリング・システム(CMS)である。CMSは,フレキシブル。マニュファクチャリング・システム(flexible manufacturing system), VARIABLE MISSION Manufacturing System,バーサタル・マニュファクチャリング・システム(versatile manufucturing system),OMNILINE,などと呼ばれる。CMSは,すべての加エステーションに行くことができる。自動マテリアル・ハンドリング・システムでつながれた工作機械や補助設備(検査機,洗浄ステーション,切りくず処理装置など)のような加工設備のユニットが集まった製造システムであり,システム全体は共通のコンピュータ制御で統合されている。自動マテリアル・ハンドリングを伴うNC工作機械のフレキシビリティとコンピュータ制御の工程管理との組み合わせによって,CMSはバッチ生産で,マス・プロダクションに近い能力に達する。

CMSに含まれる加工法
現在のCMSの多くは機械加工のためのものであるか、少数のものはプレス作業や溶接作業のために作られている。

例として, 4台の機械からなるコンピュータ制御のフレーム切削システム7がぁる 普通の機械8台を用いて11人の作業者が行う作業が,このシステムでは9人の作業者によって,その21/2倍の作業をする。

工作物の分類
機械加エシステムで加工される工作物は,パレッタイズされるものとされないものとに分類される 「パレッタイズされる」材料は板,ブラケット,ギヤケース,バルプ・ボディ(valve body)および多くの他の非回転体のような角物部品である。

多くの場合,材料はパレットにボルト留めされた取付け具で固定されている.特別な場合,例えば穴のあいた歯車のように回転体の部品がパレッタイズされることもある。

「パレッタイズされない」部品は産業用ロボットやマニピュレーターによってつかむことができるものや,適当に取付け具やチャックに置くことができるものである。多くの回転体はこの範疇に属する.ある小さな非回転体の部品は,CMSではロボットによって運ばれている。

CMSの例
コンピュータライズド・マニュファクチャリング・システムはいくつかの工業国で作られてきた。また現在も作られている。ここで述べるシステムは現在稼動している設備のごく一部である。この分野にたずさわった工作機械のメーカーは,多様な,そしていろいろなことができるCMSを組み立てることができ,またそうしてきた。

図表7.8.2はパワー・ローラーコンペヤ・ループの両側に置かれた6台の工具交換マシニングセンターからなるCMSである。

機械加工される部品は4個所の取付けステーションでコード化されたパレットに乗せられる。パレットは,そのステーションからステージング・シャトルDにより自動的にバッファ・コンベヤKに運ばれた後,コンベヤ・ループに運ばれる。

それらのコードが読まれた後,機械はパレットをつかむ。このシステムは,重さ200kgまたは大きさ90cm立方までのいろいろな鋳鉄の部品を機械加工するために用いられる。このシステムは同時に16個のパレットを使うことができる。1度に製造されるバッチサイズは全部で約180個であるこのシステムはI BM 360/30のコンピュータで制御されており,作業者3人と職長1人が直接作業する。

材料を乗せているパレットを移動する特別な方法が表7.8.3に示されたシステムの形式で用いられている。工作機械(この場合はマシニングセンターやNCの検査機)やパレットの取付けステーションは2列に配置されている.それらの間には2本レールの線路が敷かれており,材料を乗せたパレットをつかみ上げ,適切なステ
ーションに配送するようにコンピュータ制御された2台のシャトル・カーがその線路上を動く。それぞれのシャトル・カーはレールの1本に付けられているラックに噛み合ったピニオンで動かされる。たとえ車が毎分91mの速度で動いても,フィードバック・ループは高精度の位置決めをする パレット交換機は線路の両側のステーションに供給するため,180度の広角度で回転できる。このシステムは工作機械(または他のステーション)や, 6mの長さを単位とする線路の構成部品を付加することによって,容易に拡張することが可能である。

実際のシステムはトラクターの2つの型式に対するギヤケース,メインフレーム, クラッチ・ハウジングのような10種類の異なる部品を機械加工する。また, 1日に平均12台のトラクターを生産する。この形式のシステムは重さ9,000kgまでの取付け具と部品を結合するために,直径が813mm, 1,067mm,または1,321mmlのパレットを必要とする。今日ではよく知られていることであるが,CMSの制御方法は個々の機械をホ1御するCNCをつないだ群制御(DNC)型であり,中央コンピュータによって行われる。また,CNCは必要ならばバックアップも用意する。

工作物に幾何学的形状を作る場合,例えば,それが多くの穴をあけるような場合には多工具(多軸)ヘッドを用いると経済的である。そのようなヘッドを換えるマシニングセンターをCMSに組み込むことはCincinati Milacronによって行われ,実験的なVARIABLE MISSION Manufacturing Systemが作られた。

今日,いろいろなサイズの多工具ヘッド(重さ5,000kgまでのもの)や,異なる設計のヘッド交換機がシステムの部品として,または独立型で用いられている。

図表7.8.4に示したシステムは,工具交換立型ターニングセンター,ヘッド交換機,工具交換マシニングセンターからなっている。このシステムは,ギヤボックスやシャフト・ハウジングなどを機械加工する。材料を取り付けたパレットの搬送はカートを用いる。


CMSで用いられるパレット搬送は,特に通路が比較的複雑なときには,ワイヤー搬送車によって行われるワイヤーの鎖は床下に取り付けられている.これは搬送車を鎖につなぐ掛け金を掛けたりはずしたりして,各ステーションに位置決めされる ワイヤー搬送システムは新しい機械や他のステーションをシステムに付加することによって拡張できる。

図表7.8.5に示したシステムは23台までのワイヤー搬送車を用いる.このシステムで機械加工される7種類の部品形式は,いろいろなトラクターのギヤボックスや変速機の鋳造ケースである。受注ごとの部品の割合は実際には変化するが, 1日の平均出荷数はトラクター25台である 部品は多くの穴があるので,多軸ヘッドを用いると経済的である。それぞれのヘッドは数値制御されたインデックス・ヘッド。キャリアによって位置決めされる。

このことから, この加工型式はヘッド・インデクサー・モジュールと呼ばれている。示されたシステムではデュプレックス。モジュールを使用している。規則的な移動をともなうCMSこれまで述べてきたすべてのCMSは,工作物が異なる順序でシステムのステーションを訪れる。このような「不規則」な動きはフレキシビリティがあるが,一方向に移動する「トランスファ・ライン」のシステムよりも,マテリアル・ハンドリング装置が複雑になり,制御アルゴリズムも複雑になる。

ところが, トランスファ・ラインのモードで操作すると経済的である。このようなシステムはマシニングセンター,ヘッド・チェンジャー, ヘッド・インデクサー,専用機などを用いた機械加工の新しい概念で実現されている(たとえば,Kearney & Jrecker Corporation)。多様な組み合わせや工具選択性やNCプログラム化の可能性によってシステムをフレキシブルにし,従来のトランスファ・ラインでは困難なシステムの拡張を可能にする。

電子制御ばかりでなく,サーボモータや駆動装置のような機械的な部品についても, NCのハードウエアの費用が安くなってきたので,次第に従来の機械的な制御ユニットからデジタル制l御機に変わってきた。現在では1種類の製品を作っているCMS(たとえばCincinati Milacron)ゃ,実際に専用機やトランスファ・ラインから変化したCMSがある。それらは多種少量生産では経済的であり,また製品の部分的な変更が容易にできるこのようなシステムの1例として,大型の製品に対する設計が図表7.8.6に示されている。

工作物であるタンクが4個所のステーションで連続的に機械加工されている。タンクとの質量が36,000kgになるパレットを扱うために「ウォーター・バッグ」が液体(実際には切削済)で膨らまされ,パレットを持ち上げ,適所に引き込み位置決めされる。

CMSの数が加速的に増加している。ここで述べたシステムは, アメリカの現状から選ばれたものであるが,同じような開発が国外にもある。調整の良いシステムは75%,あるいはそれ以上の稼動率を示す。これは類似じた製品を作る独立型NC工作機に対して1%から2倍の高率である。CMSに対する直接労働者の数は,独立型NC工作機械に比べると大変少なく,総計すると製品の混合生産システムでは2台の工作機械について約1人となる。1種類の製品を作るシステムでは,必要とする人数はより少ない。工具の検査や交換はCMSにおいても,今なお人間のする仕事であり,工具の改善(より良い工具,適応告1御,より広範囲な利用,加工素材のより厳重な品質管理),工具の供給や手入れなどの自動化は,今後,必要とする作業者数を少なくするであろう。もし1人にプログラミングや他の支援機能を含めていたならば、もちろん延べ人員数は増す。 詳細な情報は得がたいが,ある外国の文献によれば,同じ生産量についてCMS,独立型NC機,従来の機械に関する人員(オペレーター,検査員,監督,段取先業員,取り付け―取りはずし作業員,マテハン作業員,プログラマー,NC技術者)の延べ人数の比は1:15:34である。

最近,産業用ロボットが主に軸, ピニオン,歯車などのような回転体の部品のハンドリングのために, CMSの要素として出現してきた。11,121台のロボットは2~3台の機械のする仕事,コンペヤヘの取り付けや取りはずし,検査ステーションの仕事などができる。多くの工作機械で構成され, 2台以上のロボットを用いているシステムも作動しており,そのようなシステムの数は増加している。ロボットを使用しているCMSは,基本構造や基本操作方法の面から,パレッタイズされた部品に対して,無人シャトル・カーを用いるCMSと変わらない(図表7.8.3)。

最近の傾向として,工作物よりも工具を動かすようにCMSの設計のポイントをおいている(例えば”Jablon―owski″ )。システムは605個の工具のセントラル・ツール・マガジン(central tool magazine)を使用することがすでに発表された ロボットは工具のカセットを個々の機械のマガジンから出し入れする。そのシステムは60個の工具の入ったマガジンのある7台のマシニングセンターを持ち,部品の付いているパレットを入れるための自動倉庫を持っている。

CMSに関する全般的な見通しは,工程の数,複雑さ,多様性に大きく対応できるものとしわれている。CMSの導入による自動車工場の完成は,ここ10年の間に始まった。日本は最初に機械部品のための「無人」工場の概念に真剣に研究した国であるが,調整をせずに数シフト作業できる現在のマシニングセンターがアメリカで作られ,スウェーデンに出荷したことは特筆すべき興味あることである。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

関連記事一覧

2019ものづくり公開セミナーガイド

B2Bデジタルマーケティングセミナー

ものづくり人材育成ソリューション

マーケティング分野オンラインセミナー