コラム・特集

5.6 利点と適用

IEハンドブック

第7部 製造工学

第5章 産業用ロボツトエ学

5.6 利点と適用

産業用ロボットはすでに広範囲の産業に適用されており,ロボットを研究し導入している産業の数は日ごとに増えている。この理由を以下に述べる。

1.生産性 生産性を向上させることに関していえば,ロボットはしばしば優れた使用可能時間(uptime)と信頼性を持っている ロボットは生産速度と生産物の質を変えずに1日24時間運転できる。つまり,ほとんどあるいはまったく欠陥を生ぜずに製造作業(manufacturing operation)を導続的に行うことが可能である.また多くの場合,ロボットは人間よりも速く断え間なく動き,生産性は増大する。

2.適応性 ロボットは2つの点で製造作業に適している。
第1に,ロボットは他の生産設備に適応できる。すなわち,他の設備でも使用可能で製造作業を実行し調整することができる。
第2に,ロボットは簡単に作業に適応でき,その上環境に適応できる。現在では,産業用ロボットは一般に人間が実行不可能か行いたくない作業にだけ使用されている。例えば,うんざりするような作業,繰り返し作業,重いものを運ぶ必要のある作業,危険な環境で行う作業などである.ロボットはうんさりしたり疲れを感じない。幾つかのロボットは数十kgまでの運搬能力を持ち,ファイバーグラス,石綿,塗装などの作業の影響を受けないようにできている。

3 安全性 現行のもの,あるいは提案される作業者安全規則は,生産ライン設備に大規模な変更を必要とし,ラインの取り替えを必要としている.作業者が機械の内に手を置ける範囲の制限や,設備の騒音レベルの制限は,ちょうどこの2つの例である.かなり多くの機械がある所では,現存設備を変更することよりもロボット作業に変更するほうが費用がかからない。

4 訓 練 定義によれば,産業用ロボットはプログラムを作り直せる装置であるから,様々な作業に適用する場合,何度もプログラムを作成すればよい。プログラミングは速く簡単にでき,どんなプログラムも再使用のために記憶し保存することができる。

5 総資本利益率 多くの利点が産業用ロボットの使用によってなされるが,産業への適用の正当性と価値を決定する最終的な基準は経済性である。もし2人の人間を1人の人間に置き替えることに利用することができるならば,経済的にロボットの使用は正当化されるということが一般に認められている.総資本利益率は普通30%以上であり,回収期間(payback period)は普通1,2年である。

6 信頼性 産業用ロボットでは使用可能時間は普通約98%である。これはマニピュレーター装置の簡単な機構設計による 何か故障が生じると,社内の保全要員がすばやくロボットを修理し,最小限の時間でロボットを生産に戻すことができる。多くの標準化され,すぐに利用でき,信頼できる市販部品を利用することによって平均故障間隔を大きくしている。

以上にあげたように,ロボットは現在.溶接,組立て,穴あけ,検査,運搬,取付け,ダイカストなど様々な広範囲の作業に適用されている。

サーボ制御ロボットが適用されてきた主要な作業のひとつはスポット溶接で,ロボットを真っ先に導入してきた産業は自動車産業である。幾つかの工場では,ロボッ卜は車体がコンベヤ上をロボットの横を通過する時にスポット溶接している。

このようなロボットはラインを停止させずに正確に溶接点に位置決めし,45 kg以上の重さがある溶接ガンを扱うので,コンピュータ制御によるサーボ制御ロボットがこの種の作業に使われている他の適用分野としてはアーク溶接がある。

これは,ロボット,溶接動力源供給装置,ワイヤーリールとその供給装置,部品の据え付け台.というシステムを有機的に接続する必要がある。実際アーク溶接への適用はすでに非常に多い。しかし溶接線の幅や位置が変化しても,正確に各溶接線に溶接ガンを追従させる,コスト的に効果のあるセンサー(cost― effective sensor)が不足しているので,広範囲に使用されていない。そこで多様なタイプのセンサーが研究されている。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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