コラム・特集

2.9 コンピュータ援用製造計画

IEハンドブック

第7部 製造工学

第2章 製造のための計画 (製造工程の設計)

2.9 コンピュータ援用製造計画

機能設計段階で,設計されたものを生産するのに用いられる第1次加工法と第2次加工法を知っているならば,設計において生産可能性を考察することができる。部品を生産するために,もっとも良い製造方法の計画は製品の機能設計と市場への出荷の間で重要な段階である。よい製造計画は製品の品質と信頼性を確実にすること,顧客を満足させること,そして競走に勝つ製品になることを助ける。悪い製造計画は価格が手が出ないほど高価になるので,製品を買ってもらえないであろう。

多くのパラメータは部品を生産するときに最良であるかを決定するときに必要であり,初期設計中にすべての代替案の詳しい研究をする十分な時間がないから,すべての製品に対して改良をすることがむずかしくなる。

たとえ,いま計画された方法が今日十分に満足されているとしても,それは近い将来,満足されなくなるであろう。新しい材料と新しい加工法がつねに開発されつつある。そしてそれらの材料と加工法によって現在の製品とその製造方法が時代おくれになる。

工程設計をうまく行うために,われわれはコンピュータを使うことができる。現代のコンピュータの計算速度とメモリ‐は設計したものを生産するためのすべての実際的な代替案を経済的に考えることを可能にした,コンピュータによる解法を開発するために,設計に対して用いるのにもっともよい加工法を決定する場合に重要であるパラメータを同定することが必要である。同定する必要がある加工法は戦略的に3つの主なクラス,すなわち第1次加工,第2次加工,仕上げ加工に分けられる。

第1次加工法に関連して,次のパラメータ,すなわち部品の大きさ,加工法,形状あるいは形態,使用される材料,生産されるべき量,第2次作業の費用,第1次加工からの製造費用が考えられなければならない。大きさと重量,あるいはいずれか一方は第1次加工法の制限となる。たとえば35 kg以上のダイカストはめったに行われない。同様に50g以下の鋳造は普通行われない。 900cm2以上の断面をもつ押出し加工はほとんど行われない。

また加工法も制限をもっている。結晶流れをもっていない部品は衝撃荷重を受ける最終製品には適当でない製品の形状は,制約条件として働くもっとも重要なパラメータの一つである。たとえば,大変複雑な形状は鍛造することができない。リト対称なボール状の部品はスピニング加工できない。ロール成形は十分な丸味を持たなけれぎならない。鋼材の鍛造では大きい軸の直径の2/3以上の穴あるいは凹みは加工できない。アンダーカットあるいは凹角をもつ設計は粉末金属で作られ2次作業をしない。

また材料は考慮されなければならない加工法に重要なインパクトをもっている たとえば,一般に非鉄金属のみがダイカストを経済的にすることが認められている。同様に石こう型を用いるキャスティングは非鉄金属に限られる.圧縮成形法は厚さ6mm以下の熱可塑性板を作るための普通の技術である。

もちろん生産量は用いられる加工法だけでなくて,加工法と関連して用いられるツーリングの複雑さと程度とも重要な関連をもっている たとえば,設計されたものの10個の部品は経済性からは自動ねじ切り盤では決して生産されない。同様に,10万個のブッシュは決して旋盤では作らない。また,ただ一つのキーミゾをブローチ加工するのには特別なブローチを作らず,フライス削りする。しかし, 1万個のキーミゾをフライス削りすることはまずない。それらはブローチ加工される。

部品を作るいろいろの代替案を評価するもう一つの重要なことは次にくる作業の費用である。一つの代替案がもう一つの案より相当費用が高い多くの例がある。しかし,代替の加工の次の作業費用を比較するとき,次の作業の費用が低いということで,より費用のかかる第1次作業工程が使われることがある たとえば,粉末冶金の歯車は機械加工して生産される歯車より費用が少なくてすむ結局は費用を考えなければならない。

等しい品質と信頼性を仮定すると, もしも納期を計画することができるならば,もっとも低い単位コストになる工程をつねに選択すべきである前述のパラメータはコンピュータのメモリーバンクの中に組み込まれている。

したがってコンピュータはユニークな大きさ,形状,材料などの理由で受け入れることのできないすべての工程を拒否することができる。受け入れられる設計されたものを生産するための工程は,適当に開発された費用の式のコンピュータの解によって経済的に比較される。このように,コンピュータは有利な製造計画を決めるとき製造技術者に大いに役に立つ。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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