コラム・特集

2.8 基礎工程の設計――プラスチック

IEハンドブック

第7部 製造工学

第2章 製造のための計画 (製造工程の設計)

2.8 基礎工程の設計――プラスチック

機能設計者に利用されうる何千ものタイプを30余の特別なプラスチックにまとめることができる。 しかしながら,熱可塑性を持ったプラスチック,または熱硬化性を持ったプラスチックでは,限られた加工法しか用いられない これらの加工法は,圧縮成形法,トランスファー成形法,射出成形法,押出し成形法,鋳造,冷間成形法,加熱成形法,カレンダリング,ブロー成形法である.機能設計者は,ほとんど部品を作る方法を考えない 機能設計者は主として,比重,硬度,吸湿性,対候性,線膨張係数,伸び,ひずみ率,衝撃値,負荷によるたわみと温度,曲げ降伏,引っ張り強さ,剪断強さ,圧縮強さを取り扱う。

圧縮成形法
圧縮成形法では,適量のプラスチック充填材(ふつうは粉末状である)力功口熱された金型に加えられ,この金型はその後密閉されて圧力を加えられる 熱可塑性的または熱硬化的である充填材は,熱によって軟化し,キャビティ(cavity)の幾何学的形状を持つかたまりになる素材が熱可塑性的ならば,金型を冷却することによって素材は硬化する 素材が熱硬化的ならば,さらに加熱することによって素材は硬化する。圧縮成形法では以下のような特徴がある。

1.薄い壁状の部分(1.5mm以下)は,この過程ではとんどそりを生じずに成形される ほとんど寸法の狂いもない.
2.小さな部品で特に重要となる湯□のマークがなくなる.
3.この成形法は,均質で縮みが少ない.
4.この圧縮成形法は,大きな部品(1kg以上の重量のもの)に対してはとくに経済的である.
5.この過程のイニシァルコストは少ない ぶつうは,トランスファー用の金型または射出用の金型を設計・製造するよりも圧縮用の金型を設計・製造するほうが費用がかからないからである.
6.補強ファイバーは破壊されない.これらはトランスファーや射出などと同様で密閉成形法(closed―mold method)であるからである すなわち圧縮成形法で製作された部品は強くて固い.

トランスファー成形法
トランスファー成形法では,密閉金型が用いられる.プラスチックの素材は補助室(auxiliary Chamber)から圧力を受けて金型へ運ばれる 成形充填材は加熱された補助室に入れられ,その後にオリフィスを通して圧力をかけられて金型へ押しやられる。成形された部分は硬化した後に金型を開いて取り出される.トランスファー成形法では除去するばりはない。湯道だけを除去すればよい.

射出成形法
射出成形法では,原材料(ペレット,粗粒)は加熱されたシリンダーの上の”バレル″と呼ばれるホッパーに入れられる。金型に押しやられた素材を補給するために,周期的に素材がバレルに送り込まれる。 1,750kg/cm2までの圧力によって,プラスチックの成形充填物は,強制的に加熱されているシリンダーを通過して金型に押しやられる。この過程は主として熱可塑性的な素材の成形で用いられるが,熱硬化的なポリマーに対しても用いられる フェノール樹脂のような熱硬化的な素材を成形する場合には,バレルの温度を低くすべきである(5°Cから120°C)。熱可塑性的バレルの温度はかなり高く,普通は175°Cから315°Cの範囲である。

押出し成形法
金属の押出しと同様に,プラスチックの押出しは軟化されたプラスチック素材を強制的にほぼ幾何学的な加工物の断面をもつダイス型オリフィスに通すことによって連続的に形を製作する。押し出された形は直後の冷却によって硬化される。連続的な押出し過程では,棒・管・一様な断面をもつ形などの製品を経済的につくることができる。正しい形をもつスリーブを得るための押出しは,ほとんどの場合,吹込み成形法よりもすぐれている。

鋳 造
金属の鋳造と同様に,プラスチックの鋳造ではプラスチック素材が液体状で製品の輪郭どおりに形づけられた金型に送られる.金型製作用の素材は,ゴムラテックスのような柔軟なものである 金型はまた石膏のような柔軟性のない素材からつくられる。エポキシ・フェノール・ポリエステルは,鋳造過程でよくつくられるプラステックである。

冷間成形法
冷間成形法では,まず熱硬化的な化合物が圧力を加えられて密閉されている室温のスチール金型に入れられる。その後に金型が開かれ,成形された品物は加熱されたかまどに移されて硬くなるまで焼かれる。

加熱成形
加熱成形は,熱可塑性的な素材に対して行われる。この過程では,加工物が金型の形になるように,プラスチック素材の板が加熱され,金型の輪郭になるように引き抜かれる.加熱成形は一連のロールの間を材料が通過することによっても行われる。ほとんどの熱可塑性的な素材は, 135°Cから220°Cの間の加熱成形で十分柔らかくなる。真空成形(カレンダリング:calendering)または押出しによって得られたプラスチックの板を,赤外線輻射熱,電気抵抗熱,ガスまたは燃料オイルを用いるかまどによって正しい加熱成形温度にすることができる。

真空成形法(calendering)
真空成形法では,加熱された一連のロールの間に熱可塑性的なプラスチックを通すことによって,薄い板が連続的につくりだされる。板の厚さはロール間の距離を調整することによって決定される。薄いプラスチックの板は,ロールの最終組の間を通過したあとで,保管のために大きなロールに巻かれる前に冷却される。

吹込み成形法
吹込み成形法では,溶隔プラスチック素材の管すなわち”パリソン(parison)″ が”ブローパイプ″と呼ばれる器具の上に押し出されて,それから別々の金型の中に入れられる。押し出された材料の加熱された断面に吹込みパイプを通して空気が射出される。そこで,材料は外側に向かって吹き込みされ外側で金型の形ができる それからその部分が冷却され,金型が開かれ,成形された部分が除去される 非常に重い断面の場合には,冷却を促進するために炭酸ガスまたは液体窒素が用いられる。

この過程は,高密度と低密度のポリエチレン,ナイロン,ポリビニール塩化物,ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリ炭酸エステルを成形する場合に幅広く用いられる。

工程の選択に影響を及ぼすパラメータ所与のプラスチックの生産設計における最適工程の選択は重要である 選択で考慮すべき主要なパラメータは,使用されているプラスチック素材,部品の幾何学的形状,生産量,費用である。機能設計者は,熱可塑性的な樹脂かそれとも熱硬化的な樹脂かを示すようにしなければならない。加熱成形と吹込み成形は主として熱可塑性的なものに制限されている。

圧縮成形とトランスファー成形は普通は熱硬化的な樹脂に制限されている。射出成形は主として容量が大きく熱可塑性的なプラスチックの生産に用いられ,押出しは容量の大きく熱可塑性的かつ連続的な形に用いられる。幾何学的形状は工程の選択に重要な影響を及ぼす 連続的な断面をもたない部品は押出しを用いることができない。相対的に薄い壁のびんの形をしてない部品は,吹込み成形されないだろう。また,真空成形は平らな板か帯状のものに制限されており,インサートができるのは成形過程だけである。

生産量もこれらの決定には重要である 単純な圧縮成形によってほとんどの部品を製作することができる。しかし生産量が多くて形状と素材が射出成形に適しているならば,圧縮成形は経済的ではないだろう。プラスチックの加工処理では以下のような生産設計上の注意がある。

1.直径1.5mm以下の穴は成形すべきでない。成形の後に穴あけする.
2.めくら穴の深さは穴の直径の2倍に制限される.
3.金型から容易に除去できるように,穴は分割線に垂直にあける.
4.成形された部品ではアンダーカットを避けるべきである なぜならば,アンダーカットは分割した金型または除去可能な中子を必要とするからである.
5.2つの穴の間の断面の厚さは3mm以上でなければならない.
6.ボスの高さはその直径の2倍以上あってはならない.
7.金型から容易に取り出せるように,両狽1に少なくとも5° のテーパーをつけてボスを設計すべきである.
8.最上面と底面に丸み(面とり)をもたせてボスを設計すべきである.
9.両側に少なくとも2°から5°のテーパーをもたせてリブを設計すべきである.
10.最上面と底面に丸み(面とり)をもたせてリブを設計すべきである.
11.壁の厚さの15倍の高さをもつようにリブを設計すべきである ベースのリブの幅は壁の厚さの半分にすべきである.
12.分割線の外側のエッジは丸みをもたさないで設計すべきである。フィレット(fillet)はリブとボスの底面およびコーナーに指定すべきであり,少なくとも0.8mm必要である.
13.インサートは分割線に対して直角にし,成形するとき両端が合うように設計をすべきである.
14.1%から2°までの抜き勾配またはテーパーは,垂直面上もしくは金型にかけられる圧力の方向に平行な壁の上に指定すべきである.
15.金型の中にくばんだ数字を刻み込むべきである.
16.直径8mm以下のねじ切りは成形した後に切削すべきである.

図表7.2.6は,熱可塑性的な樹脂と熱硬化的な樹脂をつくるための基礎工程とこれに関連した主要なパラメータを示している。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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