コラム・特集

2.6 素形材加工工程の設計――金属

IEハンドブック

第7部 製造工学

第2章 製造のための計画 (製造工程の設計)

2.6 素形材加工工程の設計――金属

液体状態
最初の機能設計の計画では,まず第一に以下のいずれかの基本工程を決定しなければならない。それは鋳造のような液体状態の素材を用いる工程か,鍛造のような固体状態の素材を用いる工程かである。もし技術者が鋳造すべき部分を決定すれば,最小費用で必要な寸法公差,機械的性質,生産速度を得るように鋳造材料や工程を決定しなければならない。

鋳造はいくつかの独特な利点を持つ。すなわち複雑な形に応じる可能性,多くの似たものを求められる場合の経済性,軽量が重要であるとか,腐食が問題になるかもしれない場合において,高い応力を加えられた部品の使用に対して適切な合金を広く選択できることなどである。固有の問題として,内部に有孔性があり,収縮により生じる寸法のばらつき,鋳造操作からの固体,気体含有物の発生がある しかしこれらの問題の多くは工程設計の配慮により最小にできる。鋳造工程は形を造る場合,液体または高粘性状態のものを,求める型にそそぎこんだり注入したりするという点で基本的に類似している。

以下に述べる設計ガイドラインは鋳造の欠点の減少,信頼性の改善,それらの生産しやすさを助長するのに有効である。

1.断面の変更が要求されるときには,応力集中を少なくするためにスムーズに断面を漸減させるようにする 隅の部分は十分なフィレット(fillets)と丸みを持たせる.

2.機械加工のときのとり代は部品図面上で詳細に示すべきである。それは適切な材料であることへの保証や,鋳造のときの厚さの大きな変化を避けるためである.

3.金属の鋳型(mold)や型(die)を用いて製作する鋳造物の設計のときには,凸形の型はフライス加工をするのに簡単だが,凹形のものと切欠き(notch)は共に難しく不経済である.

4.浮き彫り文字は金属の鋳型や型の中を切削することで簡単にできるが,くばませた文字は費用がかかる.

5 薄い部分は材料を満たすのが難しいので避ける.

6.穴あけ,タッピング,貫通穴をつくるといつた二次操作を助けるために,ねじの取付け部に座を設ける.

7.大きな,平らな表面は避ける.もし避けることができないなら,そり,ゆがみを避けるため,リブ(rやS)やセレーション(serrations)を備える.

8.最大強度にするために,素材を中立軸(the neutral axis)から離す。平板は張力を受けるときに,リブは圧縮を受けるときに用いるようにする.

図表7.2.2は,各種鋳造工程に関連した重要な設計パラメータを示し,生産しやすさを確保するため,機能設計者が考えねばならない事柄を示している。

固体状態
鋳造に対するものとして,鍛造(forging)は普通,機械的性質を改善させるものとして用いられる それは求める形にするために衝撃力や圧力を加える金属加工である。

結晶組織の微細化は鍛造のもう一つの特徴である 熱間鍛造(hot forging)は鋳造の特徴である樹枝状組織を微細化する そしてすべての含有物が塑性流れ(flow line)を生じ伸ばされる.金属の対荷重能力は塑性流れを横切るよりも塑性流れに沿ったほうがより高い すなわち熱間鍛造によりつくられた部品は,使用する間,最大荷重方向に塑性流れが流れるように設計されるべきである。

精密鍛造(precision forging)として知られる型鍛造(conventional forging)による成形物は,最終的に求められる形にたいへんよく似ている幾何学的な形を得るために用いられる。

したがって次の工作作業が楽になる鍛造作業の簡素化やその信頼性の確保を助長するために,鍛造設計で述べられるべきガイドラインは以下の通りである。

1.1回の打撃ですえ込みできる棒の最大の長さは,支えられていない部分のはね上がりの可能性によって制限される 支えられていない棒の長さは棒の直径または平面部分の3倍以上にすべきでない.
2.片側もしくは両側に直径までの深さにくばますことは簡単にできる 残りのバリをとるような作業は通し穴のとき行う
3.抜け勾配(raiangle)は鍛造を簡単にするように鍛造面に対してすべて垂直面にするべきである.
4.深い型穴は浅い穴より抜き勾配(draft)を要する。チタニウムやニッケルをベースとする合金のような鍛造が難しい金属に対する抜き勾配は,鍛造が簡単な金属より大きくすべきである.
5.低費用の型というのは,均一な抜き勾配を持ち,外面は小さな抜き勾配で内面は大きな抜き勾配を持つものである
6.角や丸み半径は,金属流が流れる限界や,だれ(diewear)を最小にするため,できるだけ大きくすべきで,ステンレス,チタニウム合金のような高温で鍛造する部品の最小半径は普通6mmである.
7.より簡単な低費用の型は分割線(the parting line)を持っている.

図表7.2.3に主な鍛造加工に対する製造情報を示した。


他の素形材加工
鋳造や鍛造の他にもいくつかの加工がある すなわち,粉末冶金(powder metaliurgy),冷間ヘッダ加工(coldhetting),押し出し加工(extrusion),圧延(roll formingロール成形),プレス加工(press formingプレス成形),スピニング加工(spinning へら絞り),電鋳加工(electorforming),自動ねじ切り加工(automatic screw moc hine work)である。

粉末冶金では金属粉末が型の中に置かれ,高い圧力で圧縮される。この冷間で成形された部品は,その後その主な成分の融点に達しない温度で,炉中で焼結される。冷間ヘッダ加工は,ボルトやリベットの頭をつくる造頭加工のように,素材が型の形状になるように型内で直径25mmまでの素材を冷間でたたく すなわち,ダイ形状に塑成変形される。

押し出し加工は加熱された金属に力を加え,要求された形状のダイス穴から押し出して行われる 押し出された長さは,その後,要求された長さに切断される。圧延(ロール成形)では,薄い板は降伏点を超えて延ばされ,永久変形される。ロールの列が漸進的に金属の形状を要求するときにはスプリングバックがあって,製品の精度を損う。

プレス加工(プレス成形)では,板は圧延と同様に降伏点を超えて引き延ばされる 成形は2つの主なことを基礎としている。

1.曲がりの外部および内部で弾性限を超えて素材を引き延ばし,圧縮すること.
2.圧縮なしに弾性限を超えて素材を引き延ばすか,あるいは延ばすことなしに弾性限を超えて素材を圧縮すること.

スピニング加工(へら絞り)は,型に素板を押しつけて型に沿わせ,成形する金属加工法であり,型はしばしば堅い木や金属で作られる。型や素材が回転されるので,工具(一定の受けの上に置いてあるもの)は素材が型と接触するまで素材をしごく 形状は回転体が原則である。

電鋳加工では,要求された部品と凹凸の関係が反対になった母型が電気めっき槽に入れられている。部品の要求された厚さが得られた後,母型の形状は取り去られ,成形された部分を用いて複製される。

自動ねじ切り盤は棒状素材を用いる。この棒状素材は送られ,要求された形状に切断される。

図表7.2.4.はこれらの素形材加工の生産情報について示す。

 

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

関連記事一覧

2019ものづくり公開セミナーガイド

B2Bデジタルマーケティングセミナー

ものづくり人材育成ソリューション

マーケティング分野オンラインセミナー