コラム・特集

6.2 雇用者側の関心

IEハンドブック

第6部 人間工学

第6章 障害者と就労

6.2 雇用者側の関心

潜在的に障害状態にある就業希望者に雇用者がなぜ関心を持つべきかについては,4つの主な理由がある。

第1に,雇用者は,雇用される資格のある障害者に対して,仕事を提供するという道徳上の義務があり,また,労働,雇用,経済的独立,自己実現,健康,これらすべては社会生活の営みと切っても切れない関係にある。

第2は,潜在的に障害状態にある就業希望者のことを考慮しない雇用者は,膨大な労働資源を見落としてしまうことになる。合衆国人口の約30%の人たちが,何らかの形の潜在的な障害状態で苦しんでいると推定されている。ちょっとした配慮を払うことによって,これらの人々の多くは,信頼でき,生産的な労働者となり,雇用者にとって貴重な人材となる。

第3に,職業上のリハビリテーション条例(1973)の503条によると雇用者は就業資格のある障害者の雇用とその促進を図るという連邦政府との取決めで,2,500ドル以上の助成を受けている。この就業資格のある障害者とは,適切な配慮がなされることによって,特定の職務の遂行が可能な人であるが,労働を含む主な日常生活において若千の実質的限界を伴う障害を持った人と定義されている。障害者に対する「適切な配慮」とは次のように定義されている。

すなわち,雇用者は,その障害者に対する配置が,仕事の遂行上,不当な困苦を負うことが明白な場合以外は,就業希望者の身体的,精神的限界に対する適切な配慮を図らなければならない。雇用者がすべき配慮の責任範囲は次の要因を考慮して決定される。すなわち,(1)仕事上の必要性,(2)財政上の費用。

これらの条例に従わない不履行者に対する罰則には,助成の差し控え,契約の破棄および将来的な契約の締め出しをも含んでいる。さらに雇用不履行に対しては金銭上の罰則が与えられ,障害者の雇用に対しては奨励金が支給される。

第4の理由は,労働による疾病や負傷した人に対する雇用者の責任に関するものである。

国立安全協会(National Safety Council) によれば,1977年の労働災害件数は230万件と推定され,その内8万件が永久損傷となっている。1975年の労働者総数との比較では,この数は100人。年当り約2件に相当する.労働者の安全と健康の改善に多大な努力を払っているにもかかわらず,労働災害はおそらく,今後も続く一つの大きな問題である。また,障害を受けた労働者に対する雇用者の態度や取り扱い方が,障害の回復や仕事ヘの復帰のための費用や時間に多大な影響を与える。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

関連記事一覧

2019ものづくり公開セミナーガイド

B2Bデジタルマーケティングセミナー

ものづくり人材育成ソリューション

マーケティング分野オンラインセミナー