コラム・特集

2.3 エラーの特徴

IEハンドブック

第6部 人間工学

第2章 人間エラーの低減

2.3 エラーの特徴

40%は単純なエラーの結果であると分析している。多分,残りの60%は装置に使われている材料の通常の磨耗,作業に直接携わる従業員に関係の無い設計上の問題などが原因である。

様々な条件が適切である場合に,それではエラーをどの程度の水準にまで減少させることができるかについては未だよく知られていない. しかし,エラーというものは頻度だけが問題なのではなく, 1つ1つのエラーの持っている意味も問題なのである実際にルクは,核兵器の製造工程で発生した23,000件の欠陥のうち,82%は人間のエラーによるものであると驚くべき報告を行っている。

エラーの影響というものはいろいろと変化する。ある種のエラーの影響はすぐ現われるのに対し,ある種のものはずっとあとになってから現われたりする.影響がすぐ出るようなエラーは,そうでないものよりも目につきやすい。従業員の技能にかかわるエラーの多くは,検査工程でも発見するのは難しいものである。発見しやすいエラーかどうかは,そのエラーがもたらす結果を異なったものにしてしまう。

もし,あるエラーがそれをやった従業員に原因があるとはっきりしている場合には,それを正すことは必ずしも困難ではない。ということは,個々の従業員が遂行した作業の質をその従業員に知らせるようにすることが,エラーを減少させる上で最も重要であることを意味している。

ある種のエラーは発生する頻度は高いが,その影響という点ではさして重要ではない.これに対してある種のエラーは逆に頻度は低いがひとたび起きると大変危険な結果をもたらすのである。したがって,仮にエラーが起きたとしても,それが重大な結果にならないようにする必要がある。

多くの設備というものは,たとえ誤操作をしたとしても,同じ誤操作が過去にも起きたことが判っている場合は,もう一度正しく操作することによって正常に機能させることができるように設計されている。しかし残念なことに,生産過程におけるエラーというものはそういう特性を持ってはいないのである。

明らかなことは,何か重大な結果を招したようなエラーだけが,そうしたエラーの再発を防止できるように何らかの対策が立てられる,ということである。あまりにも多くのエラーが発生しているにもかかわらず,その発生防止の改善に寄与し得るIE技術者や人間工学の専門家はあまりにも少ない,という事実は大変な問題である。さらに,経営サイドはエラーを軽減させることによって得られる利益とそのために要するコストとを天秤にかけているようである。そしてコストが利益を超えると,彼等はその特定のエラー発生状況について知ろうとはしないものである。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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