コラム・特集

2.5 職務評価の職務構成要素法

IEハンドブック

第5部 人的資源の評価と管理


第2章 職務評価

2.5 職務評価の職務構成要素法

前に指摘したように,職務評価の伝統的な方法は,職務あるいは職務の1要素」について判定することである.このような判定は,通常職務言己述書の情報と評価者がすでに職務について持っている知識に基づいている。近年にはしかしながら,体系的な職務分析の質問紙法のデータから直接「職務評価Jを論理的に導けるようなある手続きが実験的にあるいは操作的に用いられてきており,それにより判定に基づく評価の必要性は全く低下している。このような手続きは「職務評価の職務構成要素法(job component method of job evaluation)」といわれている。これは「評価」が必要とされていないので,若千誤った名称であるが,賃金。給料の賃率を確立する過程そのものが典型的に職務評価と呼称されるので,既述の用語をここでは用いる。

基本の計画は,次の過程を含んでいる。

1 職務に関係した情報の1単位」(すなわち,構成要素)によって,職務を分析するため適切に構成された職務分析の質問紙法の開発または選択。このような質問紙法は,課業一覧表(task inventory)のような職務へ適合させた作業要素,あるいは作業者へ適合させた要素からできている。

2 職務の全価値の判断基準に貢献するものとしての個々の構成要素の価値を反映するいろいろな構成要素の,数字で表わした重要度をひき出すこと いくつかの例では,このような重要度は,個々の職務の構成要素の評価から誘導されており,ある例では全体の職務の価値の基準を推測するものとして,その重要性は統計的分析に負ている。

3 問題となっている構成された職務分析の質問紙法を用いて,問題の職務を分析する このような分析結果は,特徴として各構成要素ごとに各職務の評点が求められるか,あるいは少なくとも職務の中に評点の有無が示される。

4.個々の職務の各構成要素の重要度と,その得点との結合から全体の職務の価値の指数を作るための適切な統計学的手続きの使用。

この重要なテーマについては諸説があるが,この手続きは体系的な職務分析の質問紙法に基づいた数量による職務のデータから,統計的に全体の職務の価値の指数を導き出すことになる。このようにして,職務を「評価する」伝統的な手続きは全く除去される この方法のある例が,適用の可能性を例証する。

事務員課業一覧表
マイルス(Miles)“ によって報告されたこのアプローチの初期の例は,オフィスでの動作のチェックリストの使用であった。これは,事務員課業一覧表(Clerical Task Inventory,CTI*)と現在呼称されている.CTIは,事務員や他のオフィスタイプの職務で行われる139の課業一覧表である。これを用いるとき,分析者は問題の職務に対する課業の個々の重要性を評価する.これらの課業は,心理学者により相対的な金銭的価値によって評価されてきた 各課業に対する評価の平均は,その「価値」の指数として用いられている。

職務評価の目的のためのCTIの場合,問題の各職務は各CTIの課業の重要さによって分析をされている各職務に対して,課業をそれぞれ評価する重要さに,課業の価値に相当する指数を乗じる 種々の課判こついて,乗じた結果は共に加算され,各職務の「加重された」全体の価値となる 実施上, 5つの最も重要な課業の価値の合計の結果は,職務の現行賃率の基準と強い相関をもたらすということが判明した。

職位分析質問紙法
職務構成要素法の最も一般的な適用で,マッコーミック(McCormick), ジノーレット (Jeanneret),メカーム(MeChaln)1%ま,国の種々な場所で種々な産業における多様な種類の340職務のサンプルに,PAQIを用いた PAQは,作業者へ適合させた187の職務要素により,職務を分析するための体系的な職務分析質問紙法である。この特別な研究において,職務の重要さの得点は,統計学的にPAQに先立って行われた因子分析から結果として算出された32の因子に対して導き出されてきた。

これらの職務の重要さのうち9つのものについての得点が統計学的に加重された組み合わせは, 340の全部のサンプルの場合と同じように,職務のうち165と175の2つのサンプルでの実際の賃率とは, .80を超える相関があった 800以上の様々な職務の大きなサンプルを用いると,実際の賃率との相関はメカーム17の報告のように 85であった.保険会社の79の職務のサンプルでは,テイラー(Taylor)はPAQの職務評価得点の加重された経合わせと,問題の職務の実際の賃率との間の相関は,93であったと報告している。

職務評価の目的のために,PAQを使用する際には,いろいろな職務の重要性での得点は,個々の職務の重要さに対して統計学的に定められた「重み」と共に,個々の職務への「職務評価得点」の合計を導き出すときに用いられる。個々の職務の重要さの重みを,導き出すときに用いることのできる2つの代替のアプローチがある。

第1のそれは,前述したように多数の種々の職務のデータに基づいている.すなわち,統計学的分析(技術的には,回帰分析)の結果は,多数の種々なサンプルの中の職務のための現行賃率の基準をひとまとめにして一番よく予測できる重要さに対する重みを,組み込んだ方程式である。

第2のアプローチは,広範囲で種々な職務の現行賃率よりも,むしろ組織内部の職務のサンプルの賃率を基準として使用するものである.この場合,統計学的な分析の結果,組織内部の職務のサンプル用の賃率を収集して,最善を尽くして予測する重要性の童みづけを組み込んだ方程式を導き出す。

このアプローチの僅かの変動を,ロヒンソン(Robinson)ら19の研究は表わしている.この研究は,中都市における19の職務のサンプルを取り扱っている。その変化は類似した大きさの21都市から,それら19の職務の現行賃率のデータを得ることと,統計的分析で把握されるべき賃率として各職務の賃率の中央値を用いるということから成り立っている。

PAQ職務重要性に基づいて予告された得点値と(他の21都市の)職務の賃率の中央値との間の相関係数は.945であった 加えて19のサンプルの職務は,報酬賃率を導き出す他の4つの方法により評価された。 いろいろな方法の内部相関係数は82から95まで並んでいる。

この場合の職務評価の職務構成要素法は,職務評価の伝統的な方法のいずれかによっても導き出される価値と同じくらいに現行賃率と高い相関であり,そしていくつかの方法よりも高い相関を示す種々な職務に対して効果をもたらした.PAQは,公益企業,金融・保険業,サービス産業,製造業,運輸業などいろいろな個々の組織の職務評価のために,機能的に利用されてきた それはまた公共分野,特に州と地方行政単位の組織において,用いられてきている。

検 討
職務への賃率を決める職務構成要素法は,根本的には課業や職務の重要性のような職務のいろいろな個々の構成要素の価値の指数を求め,それで職務の個々の構成の価値を組み合わせて職務評価の価値全体を引き出すことをする。換言するならば,体系化された職務分析の手続きから得た量的な職務分析のデータを直接統計的に利用することに基づいている 職務分析のデータと職務の価値との間のなかだちは,厳密に統計値であり,それによって伝統的な職務評価の方法で規定されたような職務についての判定をする必要がりF除されるのである。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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