コラム・特集

5.10 ステップ式手順の例

IEハンドブック

4部 作業の成果測定と管理


第5章 ワ-ク・サンプリング

5.10 ステップ式手順の例

ワーク・サンプリングは,非常に単純な調査,非常に複雑な調査の両方に対して適用できる柔軟性のある道具であるから,あらゆるワーク・サンプリングによる応用に適合した調査を計画し実施するための単一の実施手順を作ることは不可能である。手Л順が大規模調査に有用であるようにすれば,小規模で急な調査に対して,その手続きはあまりにも複雑かつ面倒になりすぎる。したがって,以下の手順は,包括的な手引きというよりもむしろ1つの例として与えられている.以下のステップに関してより詳細な説明については,本章の他の諸節を参照されたい.

1 目的の設定――技師に頭の中にある目的構造の定義を書いてもらい,あいまいさを少なくする。調査期間,調査対象となる作業場に関して調査の概要をはじめにIEl握しておくことが必要である。ステップ9まで進んだとき,決められた日数を変更する必要があるかもしれない.

2.産出量の測定単位の決定― もし調査の目的が産出量に関するなんらかの標準を設定すること,ないしは監査することを含むものであるならば,産出量の測定方法を決めなければならない。

3.データ収集者の決定―― この時点で誰がデータを集めるかを明らかにしておくことは必ずしも必要でないが,ステップ4へ進むまえに外部の技手が使われるのか,監督者に観測を依頼するのかを知っておくことは役にた

4 監督者による承認と調査の告知一このステップで払われる努力は,調査勧告の受諾の一助となり,また調査結果を偏らせるような緊張を柔らげることができる調査に対する恐怖心や懐疑′らヽを起こさせないようにするために,調査の告知方法を決めるのに十分配慮しなければならない.経験を積んだ担当者の大部分は,すべての関係者に包み隠しなく正直に告知することに努める.秘密裏に調査を行うことは,深刻な人間関係上の問題を生む原因となる.一般的にはワーク・サンプリングの初心者のみが,調査対象となっているすべての従業員について,なにも知らないままにデータを収集しようと努めているようである.

5 データの記録方法の決定一一一般に,これは利用できる設備から容易に決められる.たとえば,特定の調査のために新しいコンピュータ・システムを購入することは不合理な遅れを生む原因となる.

6 観測者の訓練一―観測者に,客観性の必要性,サンプリングの一般原理,時間スケジュールの厳守の重要性を十分理解させる。もし遂行度レーティングがなされるのであれば,訓練を受けていない観測者は特男Jな訓練を受ける必要があり,経験を積んだ観測者は,遂行度レーティングについて再訓練を受けなければならない.

7 カテゴリーの選定一― カテゴリーの選定には,実際に観測を行う個人の援助を受けて行うのが最もよい.このカテゴリーの選定は訓練過程の一部となる。

8.データ収集器具の準備一一記録に用いる用紙の設計,あるいは観測される作業者(機械)の数およびカテゴリーの数に見合うコンピュータのプログラムを作る.

9.必要な観測回数の決定―一ステップ7で得た主要カテゴリーに対する′′の仮の推定値とステップ1の目的にあった望ましい精度とを用いて,必要なおおよその観測回数を決める.この値を調査日数(あるいはより良いのは予備調査のために調査日数から3を引いた値)で割り,さらに1巡回当りの観測回数で割って,必要な1日当りの観測巡回数が決められる。もしこの値が極端に大きい場合,調査日数か所望精度のいずれかを再検討しなければならない.

10 サンプリング方法の決定―1日当りの観測巡回数と調査される作業場や作業者についての情報に基づいて(偏りの発生の可能性を考慮して),サンプリング方法,すなわち,系統,層別,ランダム,を決める.

11 必要なランダムな時刻の選定― 表,計算器,コンピュータを用いて,ステップ10で選ばれた方法に従って必要なランダムな時刻を求める.はじめから全調査期間について,ランダムな時刻を決めておくことは必要でないけれども,最初の2,3日の時刻はサンプリング方法を観測者に明確にしておくために決めておかなければならない.

12.観測結果を処理するために必要な事務処理呼続(プログラミング)の準備―― たやすく理解でき,できるかぎり誤りが混入しない処理手続が大切である.

13.短期間の予備調査の実施― 第1日目のデータ,ひょっとしてもし偏りがあることが認められれば第2日目および第3日目のデータも捨てる必要があるだろう.ワーク・サンプリングに対する調査班の精通とか,データ収集にかかる費用とかの,個々の状況によって予備調査の期間が決められる.

14.管理図の準備―調査の進行とともに,第8部第3章に述べられている管理図を用いて日々の,p′ (第8部第3章の用語では,P)の推定値を打点し,主要カテゴリーに対する1つまたはそれ以上の,値を監視する.調査が続けられるに従って,万すなわち,′P (第8部第3章の用語)は,おそらく週ごとに修正されるだろう.もし多くのタ値が管理限界の近くに打点されるならば,日による変動効果が有意であることを示しており,信頼区間の設定にはVcを用いるのが望ましい。

15.推定精度の再評価― 調査が進行するに従って,信頼区間を周期的に計算することができる。もし別の分散の推定量を用いれば,調査がはじめより早く終わるかもしれないし,また,もしこれらの分散の推定値が二項仮定に基づくものより,かなり大きいかまたは小さいものであれば,最初の計画期間よりもさらに延長して調査を行わなければならないかもしれない。

16.結果の記録と保管一もちろん報告書の形式は,調査の目的によるが,そこには,それぞれのカテゴリーの時間比率の推定値,これらの推定値の精度,および,場合によっては標準時間が含まれていなければならない。報告書は,将来同じようなあるいはフォローアップのための調査の参考にするために保管されなければならない。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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