コラム・特集

5.9 作業カテゴリーの選定における考慮事項

IEハンドブック

4部 作業の成果測定と管理


第5章 ワ-ク・サンプリング

5.9 作業カテゴリーの選定における考慮事項

カテゴリーは,調査の最終用途と矛盾しないものであり,最初に日で見て認識が可能なものであり,かつ相互に排他的(重なり合わない)になるように慎重に定義されたものでなければならない。もし調査が標準時間の設定のために行われるのであれば,カテゴリーと利用可能な産出量の測定尺度が対応するように配慮しなければならない。

基本的には,ヮーク・サンプリング調査の結果は,一連のカテゴリーに関して,それぞれに記録された総観測回数の比率の形で表される。調査の指導者は,カテゴリーを決める前に,経営者と共にどのような事実が求められなければならないかを決めなければならない.もし異なるワーク・サンプリング調査の結果を比較するのであれば,調査間中でカテゴリーに一貫性がなければならない。しかし特定の活動の定義ならびに観測者が活動を分類するときの精度が何よりもまして重要である。たとえば,ある調査が「作業中Jと「遊休中」の2つのカテゴリーについて行われたとするならば,多くの非生産的活動(たとえば掃除あるいは歩行など)を分類するのが大へん困難になる.というのは,観測される作業者は「遊休中」でないからである。同時に,歩行は生産的活動において必ず必要なものでもない。このようにカテゴリーの選定と定義には多大の注意を傾注することが推奨される。観測者間で一貫性が維持されるためにだけでなく,変化の比較ならびに測定のために将来行われるかもしれない調査が,同一のカテゴリーをもつべきであることからも,カテゴリーは文書の形で記録される。

実態調査をしてみて,カテゴリーのおよそ半分が「生産的」活動で,残りの半分が「非生産的」活動に属するはずであるとするのが経験上妥当であろう。ときには,カテゴリーの3分の1が「生産的」で,3分の1が「必要ではあるが望ましくない」で,3分の1が「非生産的」であるという目安をたてる。重要な点は,調査が単に従業員がその時間を何に消費しているかを見出すことだけでなく,作業活動のすべてのカテゴリーおよび必要であるが望ましくないカテゴリーにも焦点を合わせることである.作業時間は,標準の設定や標準データとの比較のための基礎資料として用いることができる.

たとえば,ある調査では,「作業」に関してただ1つのカテゴリーが与えられたのに対して,各種の「待ち」と「遊体」に関して15のカテゴリーがあげられた。その結果,すべてのマテリアル・ハンドリング,設備の段取,検査が「作業」カテゴリーの中に入れられたために,調慮されていない. 査の有効性がかなり減じられた

機械工の調査に対するカテゴリーの一例は次のとおりである.

1.計画―― 図面の検討など
2.段取および作業場の清掃
3.作業――工具扱いなど
4.待ち――材料,設備など
5.移動――歩行,乗物による移動
6 私的――遊休,会話など
7 無接触,不在.

事務員調査のためのカテゴリー・リストの一例を以下に示す。主要カテゴリーは観測によるものであり,補助カテゴリーは事務員からの聞き取りによるものである.

1.コンピュータ端末機の使用

a 取引先
b その他の外部
C 内部(事務所間,リプリント,その他)

2.タイプ,または筆記

a 取引先
b その他の外部
C 内部(事務所間,報告書,その他)

3.文書,ファイルの取り扱い

a 取引先
b その他の外部
C 内部(事務所間,報告書,その他)

4 歩行

5 電話

6 会話

7 人的遊休

8.無接触,不在

たとえば,観測者は最初に「タイプ」を観測したとする.そのタイプが「取引先」用かどうかを決めるために(もし用件が直接明らかでないならば),どんな様式を使っているかを事務員にたずねる。この場合,正直な答が期待でき,特男Jな立腹は起こらないだろう。というのは,事務員は生産的な活動を行っているところを観測されたことを知っているからである。

特殊な調査のためのカテゴリーを決めるときは,作業状況についてすでに分かっている事柄を利用すべきである。たとえば,機械の利用率調査の部分的チェックのために,機械記録計が作業場にすでに設置されているかもしれない.調査の目的がある職務評価方式に対して職務内容をチェックすること,あるいは原価計算もしくは原価センターの分類に対するサービス時間の配分実績をチェックするためならば,これらはカテゴリーを作るときに考慮すべきである.要約すれば,ワーク・サンプリングの最終結果は主としてカテゴリーの比率から構成されており,したがってカテゴリーは慎重に選定されなければならない.

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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