コラム・特集

5.6 信頼区間の計算法

IEハンドブック

4部 作業の成果測定と管理

第5章 ワ-ク・サンプリング

5.6 信頼区間の計算法
調査の終了時に,あるいは調査の途中でも,所望の時間比率を推定することができる。すなわち,P1,p2,・・・P’nを各作業者あるいは作業者グループに対して求めることができる。

これらの推定値が望ましい比率と正確には一致しないという認識に基づいて,P,のそれぞれに対して正規分布を仮定し,95%の信頼率を設定して,これらの推定量の精度を推定するのが通例である。
     p-〔1.96× (SD)〕<P<P′ +〔1.96× (SD)〕     (1)
すなわち
     P-〔Z α /2× (SD)〕<P'<P,十〔Zα /2× (SD)〕
SDは変数Pの標準偏差(すなわち分散の平方根)である。Pの真の分散は,観測が行われる方法および日々変動がpの中に含まれているかそれともP’から除かれているかに依存する。すなわち,その調査期間のその時間割合として求めようとしている,P′ が,日々変動に従うのか,それとも日々変化する値のなんらかの平均値に従う力)に依存している。

Z α /2は正規分布に関係した定数であって,正規分布に従うある任意の値が,その真の値よりZ α /2SD以上離れる確率がαより小さいことを表す。

(1-α )とZ α /2のいくつかの値が図表4.5.5に与えられているが,1.96,およそ2という値を用いて得られる95%の信頼率が最も多く実用されている。

量〔Z α /2× (SD)〕は、ここでは,′ の推定量としてのPの「推定精度」を表す。もし,が,P′ の不偏推定値であるならば,またそうでなければならないが,この値は,推定値Pの「正確さ」を表すものとなる。作業者もしくは観測者の偏りが,生産的時間の測定比率を増大させていると期待されるようなやり方で,ある1つの調査が行われたとしよう。もし作業者が実際には70%の時間割合で生産していたが,巡回観測の結果からは80%の時間割合で生産していたとするならば,Pは08と推定され,0.7ではない。したがって,〔Zc/2× (SD)〕は,Pが0.7でなく0.8にどれだけ近いかを表すものである。うまく行われたワーク・サンプリング調査では,精度と正確さは等しい。

それぞれのpの値のSDをどのように推定するかという問題が残っている。 この問題は3つの方法でもって答えられる。その1つは以下に説明する方法であり,他の2つはこの章の付録に説明されている。

二項仮定
ある特定のカテゴリーが調査期間中に占める時間比率P′を推定することで満足し,かつ観測が独立であると仮定できるならば,二項確率変数の分散が1つの合理的なモデルとなり,SD=√P(1-p,)/N ,より正確には,第k番目のカテゴリーに関してSD4=√VA,ここにVA=Pn(1-Pn)/(N-1)である。添字Aは,PのSDおよび分散Vのこの第1の方法による推定値であることを表す。添字BとCは付録で使われる。

ある機械について350回のランダム観測を行った結果,210回が稼働中,68回が段取中,72回が遊休中であることが分かったとすれば,この機械は,調査の行われた総時間の(72/350)× 100=2057%が遊体であったと推定できる。すなわち,=0.2057は未知のP′に対する推定値である。

このとき,信頼率95%で,.は次のように推定される。
0.2.57-1.960√(0.2057)(0.7943)/349<P’<0.2057+1.960√(0.2057)(0.7943)/349

すなわち0.163<P′<0.248である。

上の不等式での07943は(1-P)の値であり,1960は信頼率95%におけるZα/2の値である。
これが,40年以上にわたってIE技師によって好結果をもって用いられてきた標準偏差の推定量(SDA)である。この好結果が得られたのは,二項モデルが用いられるサンプリング手続に適合しているからではなくて,むしろ高・低の偏りが釣り合ってくるからである。

PkのSDの推定値は,技術用計算尺時代には簡単に計算できたが,低価格のポケット計算器でもルート・キーを持っていれば1日で簡単に計算できる。

分散の推定値ⅤAは,データ用紙からXκ の値だけを合計することによって作られるから,多くのデータ処理の必要がない。

コンピュータによるデータ解析を用いない場合,ここに述べた二項法による計算は,直接の目的が,Px値であって,その精度でないことを知るとき,付録に示された方法の理論的長所を相殺して余りがある。しかしながら,コンピュータによるデータ解析が行われれば,この章の付録にあるVS,とVCのようなよりよい分散の推定値が,二項仮定を用いないで計算できる。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

関連記事一覧

2019ものづくり公開セミナーガイド

B2Bデジタルマーケティングセミナー

ものづくり人材育成ソリューション

マーケティング分野オンラインセミナー