コラム・特集

5.4 データ収集の方法

IEハンドブック

4部 作業の成果測定と管理


第5章 ワ-ク・サンプリング

5.4 データ収集の方法

ワーク・サンプリング・データの収集方法は,調査の規模ならびに目的およびデータ分析に用いられる特殊な設備,例えばコンピュータのようなものの利用可能性によって異なる。

自己観測
ワーク・サンプリングの目的が,調査の対象となっている作業者にその結果を気付かせるだけでもって達成できるならば,自己観測が効果的である.観測を行うための時刻が,作業場内のブザーあるいは作業場の中央から離れている作業者用携帯ブザーによって知らされる。その時,作業者は該当する観測番号のところに自分が何をしていたかを簡単なノートに記入する。

作業者はブザーが鳴った時刻に,どのようなカテゴリーの作業が遂行されていたかを(推定的または非推定的思考の程度にまで)正確に知っていることが必要であるけれども,このような方法によって生み出される判断はかなりの偏りを受けやすい。この方法は,自分自身の時間の無駄な使い方に気付いていなくて,かつ自分自身の効率を向上させることに関心のある準技手にとってたいへん効果のある方法である。自己観測法は,経営コンサルタントが新しいワード・プロセッサーや写真複写装置の妥当性を調べるために事務作業員に適用して成功を収めてきた。

訓練されたIE技師あるいは技手による観測
訓練されたIE技師がある期間1つの作業場で働いたならば,通常立派な観測者になる。IE技師は作業測定について訓練されていて,すばやく評価する習慣がついている。さらに, IE技師は客観性の必要性を認識していて,ワーク・サンプリングの目的を十分理解している。

特に生産工場においては,観測者としてIE技師が使われるのが普通である。 もしIE技師を作業場に派遣しなければならないならば, IE技師にとって,まず作業の種類を学び,作業者と知り合いになることが必要となる。もしワーク・サンプリング調査が広範囲に及び,いくつかの作業場を取り扱うものであるならば,訓練された観測者が必要であり,遂行度レーティングやレベリングが調査の一環として行われる場合,訓練された観測者が欠かせない。訓練された観測者をワーク・サンプリングに専任させることは,観測時刻間の時間を効果的に利用することが実際上困難であることから考えて,むしろより効率的である。

多数の作業者または機械について観測資料を集めようとする場合,データ収集システムについて注意が払われなければならない。すなわち,(1)表作成の容易さ,(2)誤りが起こる可能性,および(3)データの集計ならびに分析のために用いる方法,を考慮しなければならない。現在,種々のシステムが用いられているが,ここでは次の3つについて説明する。

記入方法
既定の観測時亥1(あるいは観測巡回の出発時刻)を確認するために,各種の時計が用いられる。観測結果は,図表4.5.1のような格子状の用紙に記録される。これには2つの隣り合った欄が作られていて, 1つはカテゴリー,もう1つはレーティングのためのもので,各々の作業者ごとに使われる。各行は1回の観測巡回に対するものである。


この用紙のデータから,それぞれのカテゴリーが生起する回数が求められて,カテゴリーごとに観測されたレーティング値の平均が求められる。カテゴリーの合計が各々の作業者について求められる.もし別の分散の推定値が用いられるならば,観測巡回ごとに各カテゴリーの生起回数を合計することも必要となる。
コンピュータは,このような用紙からデータを集計するために用いることができるが,もしこのような形式でデータが集められるならば,誰かがこの用紙からコンピュータに情報を入力することが必要であり,さらに誤りが混入することになろう。

パンチ・カードまたはマーク・カード
観測者は,既定の時刻を時計によって確認し,直接コンピュータに読ませることのできるカードに観測結果を記入する.もしコンピュータ・プログラムをデータ処理に用いることができるならば,明らかに時間の節約になる。コンピュータによって図表451と同じような用紙を印刷させることは賢明である。というのは,データを収集した観測者によって明らかな誤り,たとえば実在しないカテゴリー番号を調べることができるからである。

電子式クリップボード
コンピュータ選定観測時刻を知らせる時計を組み込んだクリップボードは,その調査(またはいくつかの同時調査)に対するデータ。ファイルを更新するためにそのボードをコンピュータに接続するまでの間,データを電子的に貯蔵するために用いられる。

監督者あるいは作業グループの他のメンバーによる観測
レーティングが行われなくて,調査の対象が単一の作業場に集中しているときは,作業グループの構成員の誰か,一般には監督者がワーク・サンプリング・データの収集に参加することができる。データ収集のために用いられる用紙は,図表4.5.2に見られるようなものであるが,パンチ・カードあるいはマーク・カードもIE技師と同様監督者によって用いることができる.データ収集方法の選択は,選ばれた観測者によって集められるデータの量に依存する。

監督者はもちろん,その作業場における作業ならびに作業者に関して必要な知識をもっている.もし監督者が観測者としての役割を演ずるならば,監督者がすでに平素,非公式な形で行っていることを,系統的な方法で行うことになる。それゆえ新人が作業場に投入されることはないだろうし,観測される作業者の作業習慣に観測者を訓練する時間も必要でないだろう。データがとられたならば,監督者は調査結果を難なく受け入れるはずである。その監督者がデータ収集に客観性を維持できるかどうかは,その調査を指導する技師の考慮すべき点である。

 

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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