コラム・特集

5.1 はじめに

IEハンドブック

4部 作業の成果測定と管理


第5章 ワ-ク・サンプリング

5.1 はじめに

その最も基本的な形では,ワーク・サンプリングは,IE技師に利用可能な最も簡単な作業測定手法の1つであって,複雑に変化する作業パターンを分析するために適用できる。監督者が10回工場を回ってみて,ある特定の機械についてそのうちの6回が遊休であることが分かったとしよう。この場合,監督者は,簡単なワーク・サンプリング分析を行っている時間の60%がその機械が遊休であると推定する 監督者は,正確には,その機械が60%遊体でないことを知ってはいるが,しかしながらこの値が利用できる最良の推定値であり,もし迅速な処置が必要ならば,おそらくこの推定値に基づいて行われるだろう。

この章では,このような推定値を見出すための瞬間観測の方法を取り扱っており,推定されるべき真の百分率(あるいは割合)に対して,その推定値がどれだけ近いかを決めるための手続きを与える.明らかに推定値はより多くの観測を行うほど改善される。したがって,同じ手続きが,要求されている真の百分率にできるだけ近い(確率的に)推定値を生み出すために必要な観測回数を計算するのに用いることができる。

ワーク・サンプリングは,完全な方法または頻度に関する記述を利用できないような,非繰返し作業または不規則に発生する作業の分析に対して特に有効である。ワーク・サンプリング調査は,通常長期間(2から4週間)にわたって行われるために,時たま起こる不規則性は,結果に対して過度な影響を与えない。

ワーク・サンプリングの始まりは,一般にL.H.C.チペットによるものとされている。彼は1930年代の初期に英国の繊維工場で働いていた。チペットによって考え出された方法は,1941年にR.L.モロウによって米国に導入された.彼はこの方法を「遅れ比率」と呼んだ。

はじめこの方法は幅広い支持が得られなかった。「ワーク・サンプリング」という呼び方は,1952年に,C.L.ブリスレー3とH.L.ワデル4による論文の中で用いられた。このより記述的な呼び方は,この方法を注目させるのに役立っただけでなく,論文は時機を得たものであった。というのは,ワーク・サンプリングが特に有効である1つの分野,すなわち間接労働に対して当時ますます関心が高まっていたからである。また, IEの分野における多くの有能な従事者が輩出したことは,多くの人々がブリスレーの論文のなかで提案された手法を理解して使うことができるようになったことを意味した。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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