コラム・特集

4.5 作業測定手法の展望

IEハンドブック

4部 作業の成果測定と管理


第4章 既定動作時間システム

4.5 作業測定手法の展望

各10年間の初めには,常に将来を展望し,未来の努力の可能性を予測しようと努めることがある。すべての予測は,根拠となる過去および現在の状況に基づくものであり,われわれはそれによって未来の傾向を外挿する。したがって,良好な予測の定式化は,徹底的な傾向分析に依存する。われわれが未来を予測できるただ1つの方法は,その未来を想像する力をもつことである。

われわれは未来についての正しい答を求めている。われわれはそうするための間違えようのない方法を好むであろうが,その1つの案は,われわれの考えと比較してみた多くの権威者の見解に基づいて予測を行うことである。

1979年3月12日,ミシガン州デトロイトで開催されたAIIEの最初の「IE管理者セミナー」で,権威者の一人で基調講演者であるGM副社長F.J.マクドナルドは,作業測定を含むIEの分野で何が起こりつつあるかについての最高執行部の考え方を指摘した。

彼は,ストップウォッチと観測板をもった時間標準男といようなIE技師のイメージは陳腐化していると指摘した「男」という言葉はもう当てはまらないというのは,多くの女性がその分野に参入しているからである。同様に,ストップウォッチも電子式データ収集機に代わってくるであろう。これは,大きい記憶容量をもち,その後のデータ処理に対して大型コンピュータと連結する
ことができる。

彼は, IE技師は品質と生産性の向上に興味をもち,したがってロボットに魅力をもっていると強調した。繰返し性の大きい,かつ魅力のない手作業を遂行するために,ロボットやプログラム組込み式機械の使用が増大し,作業測定分析者の役割に大きく影響を与えるであろう。

マクドナルドは,エネルギー問題が一層緊急を要することになると強調した 彼は,エネルギー問題は製品,工程および生産設備と密接な関係をもつことを力説した。他方で彼は, IE技師の最大の挑戦は,要求される生産の変遷を促進するために,その変遷計画に最大限の弾力性をもたせることであると強調した。

MIL― STD 1567の影響
1975年6月30日にMIL― S TD 1567(USAF)『作業測定』が刊行された。 この軍用規格は,アメリカ空軍によって考案されたものであるが,発刊以来「アメリカ国防省」によって採用され,年間1億ドル以上のすべての主要なシステム生産契約に適用されてきている。これが推進力となって,多くの産業やサービス組織体は,作業測定システムの統計的精度を一層厳密に考えるであろう。

そのようなことから,PMTS,時間研究,ワーク・サンプリングおよび標準資料は,規定された統計的精度を維持することを要求されるであろう。

事務作業測定
銀行,病院,公益機関,金融・保険会社および政府機関は急速に成長している.事務労働力の規模は,アメリカの国家資源の大きな部分を要求しつつある。ワード・プロセッシング機器は事務作業の止まらないなだれをつくりだしつつある。

S.ハス10によれば,将来の企業はその処理に要する時間をたくわえ,濃縮し,そして減少させることによって,殺到する事務作業を解決しなければならない。事務作業測定に関する現在のPMTSは,その使用を大きく増大していくであろう。

ビデオテープ装置
多くの会社が,作業測定データの収集や作業方法の記録のためにビデオテープ装置を使用している。コンピュータによる直接データ収集法が,ビデオテープ言己録と連結したかたちでノートルダム大学によって研究されている。組込み式のデジタル・タイマーは,時間単位または100分の1分単位で時間を供給できる。したがって,任意の作業要素についていくらの時間がかかったかを繰り返し調べることが可能である。

写真によるデータ収集
データ収集の他の1つの方法は,コマ抜き式のビデオテープ言己録と写真撮影によるものである。コマ抜きは,間隔をおいてフィルムを露出するためにカメラを使用する技術である.コマ抜きを使うと,8時間の作業をおよそ15分で調べることができる.これらのコマ抜きフィルムは,作業改善のために任意のタイプの活動を記録したり監視したりするために使うことができる。

カリフォルニア州マウンテンビューにあるタイムラプス社の社長G.A.ハウエルは,ァメリカ中の建築作業についてコマ抜き式フィルムを使用している。彼は,コマ抜き式写真を使い,一定間隔のワーク・サンプリングを用いて,さまざまの建築作業の非生産的時間と生産的時間の量を確認することができると述べている。巨大な保守作業用ハンガーの構築にコマ抜き技術を使用して,見積り値の3倍から見積り値の30%減の工数の低減を,契約者にさせることができるような問題点が識別されたとハウエル氏は述べている。

ビデオテープや写真資料をその後の文書化や分析のためにコンピュータに直接伝達することのできる技術は,すでに利用可能である。作業測定システムの将来は,まさに挑戦に値するようである。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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