コラム・特集

4.4 PMTSの諸手法

IEハンドブック

4部 作業の成果測定と管理


第4章 既定動作時間システム

4.4 PMTSの諸手法

この章では以降,今日一般に使用されている色々なPMTSを紹介する。

ベーシック・モーション・タイムスタディ(BMT)

 

「基本動作時間研究」(BMT)は,カナダのトロントに本社をもっているカナダの経営コンサルタント会社である「ウーズ・ゴールドン会社」のコンサルタント仲間,G.B.ベーレーとR.プレスグレープとによって,1950年代に開発された包括的基礎レベル・システムである。そのシステムと適用ルールは,ベーレーおよびプレスグレーブの共著,Basic Motion Timestudy の中に詳しく述べられている。

このシステムを開発するに当たって,著者は「基本動作」という用語を,任意の身体部位が動き始めて静止して終わるまでの運動として定義した.これが動作の基本単位として選定された。なぜならば,この基本単位はあらゆる身体部位に当てはまり,身体部位の動き方を実際に言己述するからである。基本動作「手をのばす」は,ギルブレスのサーブリッグである「空手の移動」と停止することなく「空手の移動」の終わりで発生する「つかむ」を含んでいる。もしつかむを行う前に手が停止するならば,「手をのばす」はサーブリッグ「空手の移動」のみを含み,つかむは別に分析される。

基本動作「運ぶ」は,運動に中断がないならば,対象物をある位置に置くことを含む。したがって,「運ぶ」は,サープリッグの「物を運ぶ」と「前置するおよび定置する」に相当し,もし対象物を実際に置く前に手が停止する場合には,「物を運ぶ」だけに相当する。

もしつかむを行う前に手が停止する場合には,追加動作が存在し,別個の運ぶまたは手をのばすとして処理する。

1つの例として,同じ対象物がいっぱいに入っている運搬箱へ手をのばすことを考えてみよう。最初の接触(手をのばすが終わる)は,開いた指で対象物を供給することに先んじてなされる。次の動作は, 1つまたはそれ以上の対象物をつかむまで,指を引きつけることである。これで第2の動作が終わる.もし1つ以上の対象物を握っていたら,余分の対象物を除くために追加動作が必要となるかもしれない。

実際には,「手をのばす」と「運ぶ」との間には(記述のため以外には)区別がなされない。その考え方は,手が目的に関係なく空間を移動するというものである。一定の距離を運ぶために要する時間は,いくつかの影響を受けて変化する。その重要な変数は,運動の長さである。

筋肉制御 筋肉制御の程度は,運ぶを3つの基本タイプに区分することによって扱われる。

<Aクラスの動作> 最も単純なタイプで,時間値も最小である。これらは,筋肉的努力を必要としないで停止する動作であり,衝突によって止まり,したがって減速要素を含まない。このようなわけで,すべての筋肉的努力は,腕を前方へ運ぶことに向けられる。速度を落とすとか停止するとかには努力が向けられない。そのような動作の典形的なものは,ハンマーでたたく,手を戸に接触させながら戸をぴしゃっと閉める,握りこぶしでなぐるとかである。

<Bクラスの動作> 完全に筋肉制御によって停止し,通常限られた空間内で行われる.一般的な例は,ハンマーを振り上げる,物をわきへ投げる, ドアまたは引出しを開けるなどがある.あるいは,その動作が手を用いないで終わり(または対象物が運ばれていて),他の1つの対象物と接触するにいたるその他のすべての状況も含まれる.Bクラスの動作は,減速要素を伴い,Aクラスの動作よりも時間がかかる。

<Cクラスの動作> その終末点で対象物または表面に触れて終わるといった場合で,最も時間がかかる。これは通常,つかむとか置く行為である。Bクラスの動作よりも大きい制御を必要とする。手作業においては,Cクラスの動作は他のタイプの動作よりもしばしば現れる.簡単な例は,机の上のペンや電話へ手をのばすとか,文鎮を置くとかである。

BおよびCクラスのものは,それぞれBVおよびCVのサブクラスをもっている。

目視指示 いくつかの動作では,日の機能が第2の変数となる.
目の注意力を必要とする動作が行われているとき,その目が動いているかどうかという差異がもっぱら問題となる。もし目が動作中に動く必要はないが,しかし前もって動作の終末点に焦点を合わせることができるなら,その動作を完成する時間はその目の注意力によって影響されない。 もしその動作を始める前に動作の終末点に目の焦点を合せることができないならば,その動作自体遅れることになり,その動作を完成する時間はより長くなる.定義によって,それは目視指示動作となる。

「精度」余裕と「力適用」余裕
置く,またはつかむの行為の動作終末点で特男りな注意またはより正確な筋肉制御が要求される場合,追加時間が許容される。これは,「精度」余裕によって補償されるが,動作の長さおよび指先を動作の終末点に位置決めしなければならない公差または限界とともに増大する 時間資料は, 1/2から1/32インチ(約127~ 08 mm)の範囲で5段階の精度で与えられている。さらに,重量物を運ぶとか締めつける,またはゆるめるなどの行為のような,力の適用を必要とする状況に対しても,追加時間値が与えられる。

同時動作 ある状況のもとでは,片方の腕がその動作を遂行するために必要な同時行為を同じ時間内に遂行することができることをもこのシステムは認めている。

すなわち,両手の動作が同一の場合,および両手とも目視指示を必要としないか,または片方の手のみが目視指示を必要とする場合,片方の腕が動くときに比べて両方の腕が動くときのほうが時間が長くかかる。しかしながら,両方の腕や手がその動作を完成するために目視指示を必要とするときには,2つの動作の終末点が相互に離れている場合に,追加時間が必要となる.

これは,片方の腕および手がその動作を完成させる前に,1つの終末点から他の終末点ヘロを移動しなければならないからである。したがって,腕の同時動作に対する余裕時間には,離れている距離または2つの動作の終末点の間の距離を考慮に入れる。さらに終末時の行為に必要とする精度も考慮に入れる。

身体動作が腕の動作とともに発生するときは,いつも通常その腕の動作と相互に補完的であり,したがって別々に識別する必要はない.一般的な例は,腕をのばして行う動作をするために胴を曲げることである.横に寄るとか身体を回すとかもこれと同じように用いられる。

時間値 すべてのBMT資料表では,その時間値は1/10,000分(00001分)で表示されている。その表には,人的余裕,疲労余裕および遅れ余裕の係数を含んでいない。

簡易システム BMTは,簡易な第2レベルのシステムを適用したものであり,精度は少し低いが,すばやく適用できる。また,特別な事務用資料が開発されており,非常に読み取りやすい時間値ならびにキーを使用する事務機用の資料を備えている。

標準資料 特殊なBMT標準資料が,特定の適用のために開発されており,とくに生産量の多い作業台上の組立作業における小物部品の締めつけや方向合せに役立つ。

詳細ワーク・ファクター・システム(Detailed Work― Factor,DWF)

この包括的基礎レベル・システムは,ストップウォッチ,フォトタイマー,フィルム,早送り瞬間撮影を使用した生の動作時間研究に基づいて開発された。その詳細時間単位は00001分である(図表4.4.4参照).このシシテムおよびびその他の「ワーク・ファクター・システム」に関する情報はScience Management Corporation社から入手できる。

このシステムは,J.H.クウイックの指導のもとに開発された。レーティングは,作業中の作業者の熟練ならびに努力の評価に基づいて行われた.図表4.4.5は,DWFを用いたある1つの作業の分析例である。

メント・ファクター・システム(Mento―Factor)
「メント・ファクター・システム」は,意思決定に含まれるもののような精神的過程を測定する場合の,所要時間を設定するために開発された1つの基礎レベル・システムである。

レディワーク・ファクター・システム(Ready Work‐Factor;RWF)
この包括的第2レベル・システムは,DWF時間値を単純化することによって開発された。RWF時間単位は0.001分である.要素動作とその時間値の範囲は図表4.4.6に示されている。

このシステムは,0.15分以上のサイクルの,中期間ないし長期間継続して行われる作業を測定するのに特に適している。このシステムは,監督者や従業員に対して比較的迅速に教えることができる。
図表4.4.7は,RWFを使った分析例である。

簡略ワーク・ファクター・システム(Brief Work‐Factor BWF)
包括的第3レベル・システムであるBWFは,非繰返し作業を測定するために開発されたものである.「ワーク・ファクター」財団は,次のような特徴をあげている。

1.これは,個々の作業動作というよりも,むしろ部分作業に適用される時間値を用いる。
2.6種類の時間値と27の分類がある。
3.このシステムは,4種類の時間値だけを用いる,さらに簡単な形式のものも備えている。
4.作業の難易度を分類するために比較用語を用いない。すべての分類は,数値で表され,判断を排除し,適用に高度の一貫性を備えている。
5.これは非繰返し作業に適用される。
6.このシステムは,DWFから編成された。
7.これは,他のWFシステムと両立できる第3レベル・システムである。
8.BWFの訓練には,時間研究の経験によって,5~15時間を必要とする。

MTM(Methods Time Measurement)

MTM-1 MTM-1システムは,包括的基礎レベル・システムである。MTM-1およびその他のMTMシステムに関する情報は,「MTM協会」から入手できる。

1940年に大集団の時間研究分析者が,「方法工学会議」の指揮のもとに1つの方法改善計画を完成した。MTMシステムに訓練された分析者たちは,MTMを生産システムに適用して相当な原価低減を達成した。しかしながら,MTMの創案者たちは,これらの結果を分析していて,その原価低減が本来の方法工学の産物というよりも,実際にはむしろ方法修正の結果であったと確信するようになった。

そこで,メーナード,ステジマーテンおよびシュワブは,生産に先んじて良方法を設定できるような手段を追求した。彼らは,作業者が新規の課業を始めるに際して最善の方法を修得していれば,あとでの著しい改善の必要は少なくなるであろうと推論した。訓練費用もまた少なくなるであろう。このことは,生産上の諸問題,労働争議,訓練指針の欠如および生産開始前に正しい方法を設定するために利用可能な知識がほとんどないこと,などに悩まされていた管理者にとって1つの恵みであった。

彼らは,一般的な工場作業を研究することを決心し,「動作時間計算式」を開発することに努力した 彼らが最初に選んだのは,手加減ボール盤作業であった。もし最初の努力で適当な公式を立てることに成功したならば,彼らはその他の領域へも同様な方法を拡大していき,それによって作業分析者が望んでいる情報体系を事実上樹立しようとした。その後,一般の受容と使用が得られるような最初の既定時間システムの1つへと研究結果を拡張するよう研究が指揮された。

MTMの創案者たちは,遂行度レーティングを用いて,標準時間測定の障害物に対して実践的に接近した.第1に,ボール盤作業者の実際の工場作業が撮影されている間に,数人の熟達したレーティング担当者が,ローリー,メーナードおよびステジマーテンによって開発された1つのシステムを使って,その作業の部分およびその全体を個男1にレーティングした。第2に,問題としている作業の動作内容についてフィルム分析された.第3に,正常動作時間を得るために,フィルムのコマ数に対して合意に達したレーティング値を適用した。その後本質上,MTMシステムによって設定された定義明確なカテゴリーに相当する諸動作に対して,MTM資料時間値を適用した人たちはすべて,最初の観測者たちのレーティングが標準値または正常値を与えていることを暗黙裏に合意した。このこは,MTMを適正に使用しているすべての人々が,同じ物差しを使っていることを意味している。

映画フィルムのコマ間の時間は,当然そのフィルムが撮影され映写される速さに依存した。コマごとに均一な時間増分を確保するよう定速装置が用いられた。遂行度レーティング値を百分率で適用することによって,問題としているフィルムのコマの平均的作業者によって消費された平均時間を求めることができた。

しかしながら,平易に使用することができ,かつ原価計算システムヘインプットするのに,容易に適用できる数値を与えるような単位で,時間値を割り付けることが実務上必要であった。ほとんどの企業は,測定やその後の労務費の原価計算のために,十進法分または十進法時間に依存している。しかしながら,これらの時間単位は使用上困難であった.なぜならば,基本動作の多くはその遂行所要時間が非常に短く,小数点と最初の有効数字との間に多くのゼロが必要であったからである。

このことは,フィルム・スピードの時間が通常使用されている時間単位で表されていることから直接例示される。初期の研究で使用されたフィルム・スピードは1秒当り16コマであったから,レーティングしていない各コマの経過時間は0.625秒,00010417分または0.00001737時間である。

このような非実際的な時間単位を避ける明白な方潤ま,単位はもともと任意的なものであり,唯一の現実的な制約である他の所望単位に変換する必要性を認識することであった。
そこでメーナード,ステジマーテンおよびシュヮブは,時間測定単位(TMU)と称される新しい時間単位を考案し, lTMUの値として0.00001時間を割り付けた.ほとんどの賃金は時間当リドルであるから,TMU値に時間賃率を乗じて小数点を5ケタほど左へ移せば,労務費を直接求めることができる。また, 100回の動作(または100個)を生産するために必要な時間は,小数点を2ケタだけ左へ移動すれば求められる。

この時間単位が選ばれた結果,次の時間変換が当てはまる。
1TMU=0.00001時間  1時間=100,000 TMU
=0.006分    1分=1667 TMU
=0.0361秒    1秒=27.8 TMU

研究結果が,メーナード,ステジマーテンおよびシュワブによって検証された.しかしながら,確認は独立した偏りのない出所によってのみ可能であった このような確認は,創案者によるMTMテキストの出版によって迅速に行われた。コ-ネル大学が独立した調査を実行し,それを1950年11月26日~12月日ニューヨーク市で開催された「アメリカ機械学会」(ASME)の「管理部会」の年次総会で報告した.この報告のコピー(論文No50-A-88)は,ASMEから入手できる。図表4.4.8は,単純な作業をMTM-1で分析した例である。

MTM-2 包括的なMTM-2システムは,12カ国のMTM協会による組織である「国際MTM理事会(IMD)」によって開発された。 このシステムは,MTM-1に基礎を置いたもので,MTM族の第2レベル構成し,39の時間値をもっている。このシステムは,分析の速さがMTM-1の2倍であるが,時間予測の面でいくらか精度が落ちる。

MTM-2の開発に当たって,アメリカ,スウェーデンおよびイギリスにおける,MTMを使っている会社から集めた22,000を超えMTM-1の動作について度数分布が作られた。その分布は3国間で本質的に同じであることが判明した。その後開発者たちは,この情報をMTM-2の開発に使用した。

 

図表4.4.9は,図表448に示すMTM-1を用いて 分析したものと同じ作業を,MTM-2で分析したものでである。
MTM-3 包括的なMTM-3システムも,MTM―2の開発に使用されたものと同じ22,000個のMTM-1動作から「国際MTM理事会(IMD)」によって開発された。このシステムは,10個の時間値をもつもので,MTMシステム族の第3レベルのシステムであり,MTM
-1に比べて6倍の速さで分析できる。これは,さほど 詳しい方法記述が必要でなく,精度も低くてよいような状況で使用できる。

図表4.4.10は,前述のMTM-1およびMTM-2を用いて分析された作業をMTM-3で分析したものである。

 MTM― GPD「MTM協会Jの援助のもとに開発された最初の高レベル・システムが,「MTM汎用資料」(MTM―GPD)である。このシステムは,性質上では包括的かつ機能的なものであり,2つのレベルでの資料を備えている。

包括的な第2レベルの資料は,1,6,12,18および24インチに中心点をもつ平均距離を用いたMTM-1の特定の動作パターンから導き出したものである。MTM―1のすべての動作が,これらの資料の要素の中に含まれている。

第2レベルの機能的資料は,第2の資料票に含まれており,基本的には手工具類の使用に適している。その要素は,MTM-1の特定の動作パターンからも設定された。

第3レベルのものは,多目的資料と呼ばれるもので, 包括的なものと機能的な資料との両方を備えている.そ
の包括的要素は,第2レベルの「取る」と「置く」の2 つの要素を結合したものである.機能的要素は,締め付けるとか万力でつかむといった行動を含んでいる.

図表4.4.11はMTM― GPDの使用例である.
MTM― C この機能的事務資料システムは,職務記述,精度および分析の速さについて,2つのレベルでの事務作業測定システムである。このシステムは,ある銀 行・サービス産業協会によって開発された。

そのレベル1(第2レベル)の資料は広範囲にわたるもので,9つの領域における次のような行動を含んでいる―取ると置く,開けると閉める,締めるとゆるめる,ファイルする,読むと書く,タイプする,色々な手扱い,身体動作および機械操作―。要素コードは6ケタの数であって,それぞれは特定のMTM-1の動作パターンを表す。

このレベル1はまた,レベル2のための参考資料としても役立つ.レベル2はより高いレベル(第3レベル)での同様な活動を含んでいる.距離の範囲は一つになっていて,コードは単純化された文字数字式と簡略記憶式
である。

レベル1およびレベル2の作業の分析例が図表4.4.12および図表4.4.13に示されている。

MTM一V MTM-1に基づいたこの機能的作業測定標準資料システムは,工作機械の使用者のために開発さ
れた。MTM― Vシステムは,第4レベルのものであり,任意の重量と大きさの加工品を操作し,調整するための時間値を備えており,工作機械の段取,クレーンのフック掛けおよびその他機械的な搬送装置を含んでいる。

工程支配活動は含まれていない. このシステムの12の要素には,2つのタイプがあり,手および指だけで達成されるものと,目的を達成するために手工具の使用を必要とするものとである.この手法は,MTM-1を用いる
場合の20倍以上の速さで適用できると言われている.図表4.4.14は,MTM― V作業の典型的な分析例である。

MTM一M 機能的基礎レベルのMTM一Mシステムは,組み立てが立体顕微鏡を用いて行われる(微小組立
の)場合の使用のために特に設計されている。これは,時間設定だけでなく,この種の作業の方法改善のためにも大きな利点をもっていることが立証されている。このシステムは,ミシガン大学との協力のもとにある産業協会によって開発された。

その資料は,生の調査に基づいて開発されたものであり,組立作業の中でも立体顕微鏡を使用するものに独特のものである。この資料は4つの表に含まれており,それらの表は,顕微鏡の視野に入れたり,視野から出したりするのに適するように,動作の方向を規定している。この資料表の一部分が,図表4.4.15に示されている。

MODAPTS(モダプツ)
MTMシステムは,いろいろなコンサルタントや協会などによって開発されたその他の機能的システムや特殊システムを作り上げてきている。1964年に「オーストラリア既定時間標準・研究協会」(AAPTSR)が,当時オーストラリアで採用されていた2つの代表的なPMTS,すなわちMSDとMTMとを基礎とした高レベル資料を開発するために設立された。C・ヘイドがこのAAPTSRの総括責任者として活躍した。

1965年に「国際MTM理事会」がMTM-2を発行した。AAPTSRは,高レベル資料を開発するための基礎システムとしてどちらが優れているかを決めるために,MTM-2とMSDを比較する実証テストを指揮した。MTM-2はいくつかのテストではわずかによいと思われ,他方,MSDは他のテストではよいものであったことから,明確な結論には達しなかった。そこでAAPTSRは新しいシステムを開発することを決めた。

距離一時間マトリックスおよび空間配置を開発する基礎的研究を通じて,MODAPTS(Modular Arrangement of Predetermined Time Standards)が開発されたが,これは包括的で機能的な第2レベルのシステムである。基礎となったMODAPTS研究資料は,原
作未千1のままで,AAPTSRのシドニー事務所にファイルしてある。このシステムは,AA PTSRのメンバーによって彼らの工場環境の中でテストされ,MTM―1,MSDおよびMTM-2と比較して満足なものであった。

それが1966年に公表された。MODAPTSの基本単位は,1つの単純な指の運動である.すべての他の活動は,この指の運動すなわちモ
ジュールで表現される.わずか8種類の異なった値があり,1,2,3,4,5,17および30モジュール(mod)である。基本mod値は0129秒である。これら8種類のmod値が,指,手足,月同および目の運動から導き出された21のタイプの活動に適用される。

MODAPTSでは,第1の同定は運動のクラスであり,第2の符丁はその運動の終わりで生じる「終末動作」である.終末動作には2つのカテゴリー,「手をのばしてつかむ」(obtaining control)と「目的位置におく」(thingS to destination)とがある.それぞれのカテゴリーは3つの異なったmod値を持っており,それらは終末動作のタイプに基づいて選定される。図表4.4.16は,簡単なUボルト組立作業の標準を設定する場合のMODA PTSの使用例を示す。MODA PTS分析用紙には,作業ステップとそれぞれの運動または動作に許容されるmod時間値が言己述される。

事務MODA PTSと運搬MODAPTSの2つは,MODAPTSのサブシステムである。後者は,倉庫作業および運搬作業標準資料の分野において最近開発されたものである。

マスター・スタンダード・データ(MSD)
サージ・A.バーン社は,1950年代の後期に包括的第2レベルのMSD(Master Standard Data)システムを開発した。これは,生産量が年間100,000単位以下,または週当り数千単位以下の手作業についてMTMベースの標準資料を作成するために開発された。2つの生産ラン(run:一続きの生産)間に,作業者はランの変更がなかったならば発揮したであろう熟練の大部分を失ってしまう。統計的には,産業での非常に高い割合の作業がこのような限定された実態の範疇に入る。MSDは,すべての動作を統計的に研究することによって開発された。したがって,調査された多くの動作はまれにしか発生しないことから,それらは確率変数として取り入れることができる。

MSDは,最も普通のMTM-1動作から成り立っている.すなわち,ケースB,C,Dの手をのばす;GlCと非対称の合わせるを除いたすべてのつかむ;ケースA,B,Cの運ぶ;P1,P2の合せる;TSの回す;離すと「圧す」。また,同時動作は実行がほとんどないことから必要としないと思われる。それゆえ,I実行機会なし」と仮定して,簡略化された同時動作チャートが作られたまた(動作のカテゴリーを決めるための)決定図表と次のような6種類の簡略表が作成された。

獲得する一O,置く一P,回転する,使う,指の移動,身体動作.

MSDは,最初の高レベルの平面運動資料システムとなった.S・A・バーン社によってなされた業績の大部分は,MTM― GPDの開発に貢献した またMSDはMTM-2に類似している。図表4.4.17はMSD分析の一例である。

MTMを基礎として開発された一つの標準資料に,図表4.4.18に示す「マスター事務資料」(MCD)と呼ばれ
るものがある。これは,性質上機能的なものであり,もっぱら事務作業機能を扱うものである。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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