コラム・特集

4.3 PMTSの定義

IEハンドブック

4部 作業の成果測定と管理


第4章 既定動作時間システム

4.3 PMTSの定義

今日,IE技師が利用できる特定のPMTSを説明する前に,共通して用いられる用語を定義し,一般的なシス
テム特性を説明しておかなければならない。この点に関して次のような事項が読者の注意をひくだろう。

1.PMTSの言語
2.ペースの平準化
3.PMTSの分類
4 共通的諸特徴

a 精度
b 適用の速さ
c 方法の記述
d 指導要件

PMTSの言語
PMTSの言語は,「行動」用語に関する言語である。
すなわちこれらの用語は,特定の基本的な手の運動(サーブリッグ)を簡明に記述したものである。もし任意のPMTSについて共通の理解に達したいのであれば,各PMTSがそれ自体の行動用語集をもち,用語は詳細に定義されなければならない。
いくつかの有名なPMTSの中に現れる,特定の基本動作を記述するために用いられる行動用語が,図表4.4.1に示されている。

作業ペースの設定
PMTSを使用する場合,遂行度レーティングはもはや必要でない。なぜならば,現在使用されているPMT
Sのデータは,その開発時に1つの共通基準に対してペースの平準化がなされているからである。「ワーク・ファクター」時間値表で設定されている動作時間は,経験ある作業者の平均として要する時間を表しており,それらの時間値は経験ある技師の平均によって刺激ペースヘ平準化されたものである。最終データは曲線へ当てはめられ,いろいろな身体部位について計算式が導き出された。「動作時間測定法(MTM)のデータは,その開発時に100%(正常)遂行度を表すよう平準化された。

PMTSの分類

 

作業タイプによる分類
既定動作時間システム(PMTS)は,包括的なもの,機能的なもの,特殊的なものに分類されよう。包括システムは,作業測定ユーザーのすべてによって理解されることを狙ったものであり,また適用に制約を受けないものである。「包括的」という用語の代わりに,「一般的」とか「普遍的」とかがある.包括システムの行動用語は,それ自体包括的である すなわち,どんなタイプの作業が測定されつつあるかに関してなんらオ旨摘しない。包括的行動用語の例は,「手をのばす」「運ぶ」「つかむ」および「選ぶ」である。今日使用されている包括システムの中には,MOST,VTM,ワーク・ファクター・システムおよびMSD(マスター・スタンダード・データ)がある。

機育旨システムは,たとえば事務作業,道具の取り扱いとか微小部品組立のような特定のタイプの活動に適用されるものである。 機育旨システムの要素名はしばしば,そのシステムが意味している。その機能を表している。たとえば,「測定する」は,機械職場測定を予定した機能システムの1つの要素である。「掃除する」は,ある保管作業測定システムの1つの行動用語である。「ファイルする」は,事務作業測定システムの1つの共通要素名である。

特殊システムは,おおいに専有的なものであり,おそらく特定の産業や組織体のために開発されたものであるまた特殊システムは,他の包括システムとか機能システムを基にして開発された専有的な標準資料システムも含む

要素レベルによる分類
技術的観点からみると,PMTSは要素の複雑さのレベルによっても分類されよう。実際条件のもとでは.単一つのシステムがその要素の全部を同じ内包水準で定義しているものはなかろうが,しかし要素の大部分についてはそうあるべきである要素の複雑さによる分類は,それぞれのレベルが最も有効に使用される諸状況を決定するうえで非常に役立つものである。

 

基礎レベルシステム
基礎レベル・システムは,その要素が大部分,それ以上分割することのできないような単一動作から構成されているものである。このことから,1つの作業を基礎レベル・システムを用いて分析することは,とくにその作業が比較的長い場合,全く多くの時間を必要とすると予想できる。これは,その作業を完全に記述するためには多数の要素を使用しなければならないからである。現在使用されているほとんどのPMTSの要素は,たとえば距離,対象物の重量,動作の終末点で必要とする正確さの程度など,いくつかの変数をもっているから,意思決定は全く複雑となる可能性があり,したがって分析に必要な時間がさらに追加される。

高レベル・システム 基礎レベル・システムの単一要素を2つまたはそれ以上結合して1つの複合動作要素を作ることによって,第2レベルのシステムが作られる。第2レベル・システムは,使用上迅速かつ容易である。というのは,変数の数が結合過程で減少されており,作業を分析するために, さほど多くの要素を用いる必要がないからである。このような結合過程を続けることによって,第3レベ
ルや第4レベルのシステムも作られるであろう。システムのレベルが高くなるにつれて要素の数は減少し,各要素の作業内容の大きさは増大してくる。

包括システムは,高レベルにおけると同様に,基礎レベルでも存在する。 基礎レベルの包括システムから作られた機能システムは,高レベル・データとしてのみ存在する。しかしながら,人間動作に関する基礎研究から作られた機能システムは,基礎レベル・システムとして分類されよう。

相互作用的特性
すべてのPMTSが,いくつかの相互作用的特性または属性をもっている。これらのうちでも重要なものとしては,3つの事項が検討してみるに値する。それらは,IE技師が与えられた1つの作業測定プロジェクトに対して,そのプロジェクトが課している要求に適合するような, 1つのPMTSを選定するのに役立つという重要性からである。これらの属性は,精度,適用の速さおよび作業方法の記述の程度である。

精度

1つのPMTSの精度を予測することは,容易なことではない。この精度を表す方法は多数ある。その1つの方法は,時間についてその「真の」値からの土偏差率で表すことである。先に述べたように,W.M.ハンコックは,PMTSの精度を決める1つの統計的方法を考え

た。彼の研究成果は「MTMジャーナル」に掲載された。 この方法でPMTSの精度を表す場合,信頼水準ならびに分析される作業の長さを示すことが必要である。「真の」値からの偏差は通常.作業の長さが増大するに従って減少するし,またその逆もいえる)。

基礎レベル・システムの精度は,与えられた1つの非繰返しサイクル長に対して,高レベル・システムのものよりも一般に大である。これは,より短い単一動作要素の時間値は.高レベル・システムのより長い要素の時間値よりも,その標準偏差がはるかに小さいことによる。図表4.4.2は,MTM-1に対する色々のMTMシステムの相対精度を特定するために,MTM関係者によって用いられている精度図である。

適用の速さ

適用の速さは, 1つのPMTSを構成している個々の動作や要素の大きさに直接に関係する。ある1つのシステムの平均要素時間が短いほど,分析に長い時間がかかる。このことから,基礎レベル・システムは最も長い時間がかかり,高レベル・システムではそのレベルに比例して速くできる。手作業で適用される諸システムでは,その適用の速さは精度に逆比例する。図表4.4.3は,MTMシステムの適用の速さを示している。

方法記述のレベル

本質的に測定システムの1つの特性である第3の決定基準は,方法記述のレベルである。精度ならびに適用の速さと同様に,この基準は,要素や動作の長さに直接関係がある。このことから,基礎レベルのPMTSでは最高度の方法記述を要求し,高レベル・システムでは方法記述の程度が低くなる。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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