コラム・特集

3.16 計算式の作成

IEハンドブック

4部 作業の成果測定と管理

第3章 時間研究

3.16 計算式の作成

非常に多くの標準資料要素作業を合計するという,どちらかといえば骨折りな仕事を短縮するために,その標準資料に定められている作業の範囲で時間標準を設定するために,通常実用的な計算式を設計することができる 。時間研究用としての計算式は,生産の開始に先立って時間 標準を設定することのできるような代数式または線図を作成することによって得られる。

係員でも,計算式を使って終始一貫性のある。時間標準をきわめて迅速に設定することができる。その上,計算式によって設定された時間標準は誤差の影響を受けにくい。というのは,ストップウォッチ時間研究または標準資料要素作業の要約に比べて,解法上の計算が少ないからである。

信頼できる計算式を作成するためには,時間研究員はその計算式を適用しようとする全作業範囲からの適切なサンプルの資料をもっていなければならない。通常,満足的なものとして承認された10ないし15の時間研究が,良結果をもたらすサンプルの大きさである。計算式を作成するために用いられるいくつかの時間研究の結果のなかの類似要素作業は,その終末点が一致し ていることがきわめて重要である。要素作業の終末点が一致していないような時間研究結果は用いるべきでない。

時間研究員が終末点の一致した信頼のできる適当なサンプルの資料を選んだならば,その資料を定数と変数の分析のための計算用紙に転記しなければならない。定数は組み合わせて平均値を求めて計算式に組み入れる。次に,変数を調べて,どの変数がその作業の遂行時間に影響しているかを決める。多くの場合,ただ1つの変数がとられた時間に応答する。その資料は,その分布が独立変数Xに依存する従属確率変数である時間とともに図上に打点しなければならない。推定の対象となっている大部分の関係において,Xはランダムではないことを知らなければならない。それは実用上全く一定であり,時間研究員は与えられたXに対する時間Y(ストップウォッチ時間研究をとおして観測される相次ぐ要素作業の時間) の分布の平均値に関心がある。

図上に打点した資料は色々な形をとる一直線,放物 線,双曲線,楕円,指数形,さらには幾何学的形式で表せないもの一 ― もしその資料がどんな幾何学的形式にもならないならば, 2つ以上の独立変数が従属確率変数である時間に影響を及ぼしていることが大いに考えられる。しばしば,それがベキ関数 y=bmx で表されるかどうかを調べてみると,資料の検定に役立つこれには,半対数方眼紙に資料を打点して,打点がその変換尺上でほぼ直線になるかどうかを調べる。これらの対になったデータを半対数方眼紙上に打点したとき直線となるならば,x に対するyの曲線は指数曲線である。

ときには,両対数方眼紙上に打点したデータが直線関係となることがある。この場合,y=αxmで,logy は logxに対して線形関係にある。

2つ以上の独立変数が存在するときの解法

仮定された独立変数に対して時間データを打点した結果バラバラの状態になった場合,第2の独立変数が影響していることはきわめてありそうなことである。もし2 つの独立変数が1つの線形関係に含まれているならば,重回帰を用いることができる。この場合,各点からある1つの平面までの垂直距離の二乗和が最小になるように,その平面をη点からなる1つの集合にあてはめる。すなわち,次式を最小化する。

グラフによる方法

重回帰を用いる場合,選ばれた方程式の形と,交互作用が現れるときには,方程式中に変数のクロス積が含まれることが解析を複雑にする。ときには,グラフによる解法がより簡単でしかも 信頼できることがある。この方法は,従属変数の時間に影響を及ぼしている独立変数を見出すことにある。各独立変数に対してグラフを描く1つの独立変数がまず選ばれる。そして,第2の独立変数が比較的一定であるとき ,多くの時間研究結果を同一視することができるかどうかをデータを用いて調べる。次に,第2の独立変数のバラ ツ キがあっ たとしても ,ほとんどない場合の点に関し てのみ,第1の独立変数に対して時間を打点する。

この打点が完了したなら ば,ノ 軸上に1つの新しい時間尺を作らなければならない。この尺度は,「時間修正尺Jとして考えることができる。打点の底の点をこの時間修正尺に延ばして,この尺度に対する単位目盛り1を定める。この尺度に対応する距離を目盛る。

次の段階は,この図を利用して,すべてのデータ点に対して時間修正値を求める。次にこの値を割って各デー夕点の時間値とし,修正時間を求める。次に,求められた修正時間を第2の独立変数に対して打点する。 新規作業に対する可変要素作業時間を予測するために, これら2つの曲線を用いるのであるが,時間研究員は第1の曲線を時間修正値を選ぶために,第2の図を修正時間値を求めるために用いる。この修正時間値と時間修正値との積は,求めようとしている可変要素作業の正常時間に等しい。

図表4.3.19は ,グラフによる解法を例示したものであり,この場合,折りたたみ式心棒に銅製のコイルを巻き付ける時間が,心棒に巻き付けたワイヤの径とワイ の直線長との両方に依存することが分かった。 図表4.3.19.aは,ワイヤの径と一定長さ(約1,500フィート)に対する時間との関係を示す 図表4.3.19.bは,修正時間と巻き付けたワイヤの長さとの間の関係を示すこの曲線を用いるには,まず用いられているワイヤの径に対する修正係数を図表4.3.19.aから求め,次いで用いられているワイヤの長さに対する修正時間を図表4.3.19.b.から求める。この修正係数と修正時間との積は,時間研究中の作業に対する正常時間に等しい。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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