コラム・特集

3.15 標準資料

IEハンドブック

4部 作業の成果測定と管理

第3章 時間研究

 

3.15 標準資料

満足的なものであることを承認された既定の時間標準を最大限に活用するためには,時間研究員は標準資料を展開し,分類し,コ ード 化し,ファイルしなければならない。標準資料は,時間研究から得られたか,それとも承認ずみの従来の時間研究結果から計算された要素作業時間値である。これらの要素作業時間値は分類・コード化し,ある1つ の作業を遂行するために必要な時間を測定することなく公正な時間標準を定めるために,容易に検索し蓄積することができるようにする「標準資料」という用語は,表にされた資料についてのみならず,代数式,曲線,ノモグラム,要素作業時間値を迅速に求めることのできる表をも含めていう。

標準資料を用いて作られた時間標準は,終始一貫性がある。なぜならば,作業遂行度レーティング手続を必要としないからである。その上,このようにして作られた時間標準は,労使双方にとって満足なものである。というのは,それが,満足なものであることを承認ずみの時間研究から得られたものであるからである。時間値が表にされていて,時間標準を作るのに必要とする要素作業時間を累積しさえすればよいから,会社内に色々時間研 究員がいても,与えられた一つの作業方法に対して同一の作業成果標準に到達するだろう。

一般に,新しい作業の時間標準は,ストップウォッチ時間研究法を用いた測定よりも,標準資料によるほうがはるかに迅速に作成することができる。したがって,標準資料要素作業の蓄積が適切な量に到達したのちには, 出荷,受入れ,保全といったような間接作業の時間標準をも作成することが可能となる。

標準資料の分類

標準資料が時間研究技師によって迅速に検索されるた めには,それを分類しコード化しなければならない。通常標準資料を分類するには,第1にボール盤,フライス 盤,タレット 艦,卓上組立などのように機械作業によって,第2に17インチ単軸,21インチ3軸,21インチ・ラジアルボール盤などのように機械型式によって,第3に単軸27インチ,単軸21インチ,単軸17インチ,単軸12インチなどのように機械寸法によって,第4にリーランド・ギフォード,シンシナチ,デルタなどのようにメーカーによって分類するのが便利である。

例えば,ワ ーナー・スエージーNo5タレット旋盤のように特定の機械について記録された標準資料は,段取要素作業群と生産加工要素作業群とに分割しなければならない。 図表4.3.15は ,アレン17インチ竪型単軸ボール盤に関して特定の工場に適用される標準資料要素作業を表にしたものである。

標準資料要素作業を組み合わせることによって,ある1つの時間標準をより迅速に計算することができる。例えば,図表4.3.16は ,特別な工場に適用できるワーナー・スエージNo5タレット旋盤に対して段取資料を組み合わせたものを示す。もしある作業が四角タレットでの面加工・旋削・溝切り工具を,六角タレットでのドリル,中ぐり工具,組立式金型を必要とするとすれば,許容段取時間は816分 +(2× 8.63)分 =9886分となる。このうち 81.6分 (10行日)は, 四角タレットでの面加工・旋削・ 溝切り工具に対するものと,六角タレットでの組立式金型に対するものとの許容段取時間である。ボックス・ツー ル中の最初の工具以外の各工具に対して合計863分が許容されている。六角タレット では穴あけ。中ぐり作業を必要とするから,8.63分 (13行 日)が許容時間となる。

可変標準資料は表形式または式形式で記録することができる。可変資料は通常,規定された送りと速度に関する情報から計算される。この種の資料を用いる場合,時間研究員は切削工具のリードとオーバーランを切削長部分として考えることが重要である。 例えば, 1インチ・ドリルのリードは0.30インチであり,総切削時間を計算するとき,この距離を穴あけされる。穴の長さに付加しなければなら ない。

フライス盤作業に関する切削時間を計算する場合にも同様な考慮を払わなければならない。例えば,図表4.3.17は,CBインチになるよう機械加工される品物のリードを示す。この距離は,総切削時間を計算する場合,機械による10インチの切削に付加されなければならない。もしそのカッターが直径4インチであるとすれば,距離BCは次のとおりである。

√(AC)2-(AB)2=√(2)2-(1.75)2=0,97インチ

可変時間を記録する場合,ノモグラフまたは線図が便利である。この種のノモグラフを図表4.3.18に 旋盤の旋削と面加工作業について示す。

標準資料の作成

標準資料を作成するに当たって,時間研究員は満足的なものとして承認された,過去に行われたすべての時間研究結果を調べる。種々の時間研究結果から類似の要素 作業を統計的に分析して,将来の使用のために平均値をコード化し,分類し,表にする。

ときには所望の要素作業時間値が存在しないことがある。もしあったとしても,その資料のサンプルの大きさとかバラツキが,時間研究員がその妥当性に疑間をもつ程度のものであることがある。このような場合,時間研究員は問題となっている。その特定の要素作業の作業測定に頼る。時間研究員はその作業サイクルのうちの1ない しおそらくは2つの要素作業しか時間研究しないだろうから,しばしば0.001分まで測られるストップウォッチを用いる。このような場合,スナップ・バック法が用い られる。観測が完了すれば(適切なサンプルがとられていなければならない),その要素作業時間値を要約して,その平均値を求める。公正な正常時間値を求めるために作業遂行度レーティング係数を適用する。しばしば余裕時間が付加されないことがある。これは,その標準資料が利用される時点で余裕時間値が適用されるとすれば,その標準資料はより融通性があるからである。例えば, 標準資料要素作業「小物の鋳物〔 4ポ ンド(約1.8kg) まで〕をつかんでジョー2個の14インチ・エアチャック にかませる」は作業環境によって異なる人的余裕値をとり,典型的な機械工場の作業環境では5%の人的遅れが適当であるのに対して,温度と湿度とからして10%の人的遅れ余裕が必要であるという具合である。

新規作業の時間標準を設定する場合,標準資料が緻密であればあるほど,より多くの融通性を提供できる。しかしながら,要素作業が緻密であればあるほど,それを測定することが困難である。緻密な標準資料の要素作業 グループを測定して,連立方程式を用いて個々の要素作業の時間値を計算することによって,要素作業のごく微小部分または短時間要素作業に対する標準資料を作成することができる。

例えば,ある1つの与えられた設備で連続して遂行される5つの微細要素作業に対して標準資料値を求めたいとしよう。これらの5つの要素作業は,(1)20インチ (約 50cm)手をのばし,4ポンド(約18kg)の鋳物を作業個所に運ぶ,(2)2つの位置決めピンのあるジグに鋳物をおく,(3)ドリル・ジグ・カバーをしめる,(4)ボ ール盤 を始動する,(5)スピンドルを進める,であるとしよう。これら5つの要素作業に対する時間は非常に短くて,グループでしか正確に時間測定できない。例えば,要素1,2,3を一緒にして時間測定し遂行度をレーティングすることは容易にできるが,それらを個別に測定することは非常にむずかしい。要素作業1,2,3の平均時間が0.078分 であり,これをグループ要素Aとしよう。要素作業2,3,4を一緒にしてその平均時間が0.064分であり,これをグループBとしよう。要素作業3,4,5を一緒にして,その平均時間が0.060分であり,これを グループCとしよう 要素作業4, 5, 1を一緒にしてその平均時間が0.076分であり,これをグループDとしよう。最後に要素作業5,1,2を一緒にしてその平均時間が0.082分であり,これをグループEとしよう。

そうするとA+B + C+D+E=(3) (要素作業1)+(3) (要素作業2)+(3) (要素作業3)+(3) (要素作業4)+(3) (要素作業5)=0.360要素作業1+要素作業2+要素作業3+要素作業 4+要素作業5=0.120

ゆえに,A+要 素作業4+要素作業5=0.120要素作業(4+5)=0120-A=0.120-0.078 =0.042分

要素作業3+要 素作業4+要素作業5=0.060であるから,要素作業3=0.060-0.042=0.018分 同様にして要素作業4+要素作業5+要素作業1=0.076であるから,要素作業1=0.076-0.042=0.034分。Aの式に代入すれば,0.78=0.034+要素作業2+0.018,ゆえに,要素作業2=0.026。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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