コラム・特集

3.8 時間研究の実施

IEハンドブック

4部 作業の成果測定と管理


第3章 時間研究

3.8 時間研究の実施

要素作業時間値の記録

時間研究を実行中に要素作業時間値を記録する方法には,「連続観測法」と「スナップバック観測法」 (反復法,早戻し法)との2種類がある。それぞれ,長所と短所とをもっている。

連続観測法を用いる場合,ストップウォッチは時間研究の全期間中動かし続けていてよい。ストップウォッチは各要素作業の分割点で読まれるが,その間ストップウォッチの両針は動き続けている。スナップバック法では,ストップウォッチは各要素作業の終末点で読まれ,その後両針をゼロにスナップバックさせる。次の要素作業が始まるとき,両針をゼロから始動させる。要素作業の経過時間値は各要素作業の終末点でストップウォッチから読み取られるから,連続観測法に必要とするような逐次引き算をしていくという事務作業は必要でない。またスナップバック法によるときは,作業者が調子はずれの作業をしたときの要素作業時間を記録するのが簡単である。この方法の第3の長所は,何回かの繰返しサイク ル間の要素作業の経過時間の終始一貫性を容易に比較することができることである。このようなわけで,適切な大きさのサンプルがとられたかどうかを時間研究員はよりよく,速かに推定することができる 。スナップバック法には,2つの短所がある。

第1の短所は,時間研究を遂行する。期間中全般にわたる記録がないことである。このような情報が望ましいのは,時間記録の精度を全般的にチェックするために利用することができるからであり,また設定された標準時間と時間研究期間中の生産個数との積とこの値とを比較してみて,作業者に時間研究が公正であるという感じを与えるような値 であるからである。

第2に,スナップバック法では,針がゼロにスナップバックされる間いくらかの時間が失われる。ストップウォッチの針は,ほぼ00 。4秒間静止しているものと推定されている。これは,0.08分の要素作業の5%の誤差となる。新しい電子ストップウォッチは,このような時間の損失を伴わないというのは,電子ストップウォッチは連続的に動かすことができ,要素作業ごとに次々とそれが発生する都度,正確な経過時間を表示するからである。

スナップバック法に比べて連続観測法が優れている主要点は,それが観測期間全体にわたって完全に記録することにある。したがっ て,連続観測法による時間研究は,組合と作業者によりよくアピールする。というのは,時間研究の調査洩れとなっている時間はなく,すべての遅れや不規則要素作業が記録されていることは明らかであるからである。連続観測法はまた,短時間(0.06分以下) の要素作業を測定するのにより適切である。針をゼロにスナップバックさせるという時間がかからないから,0.04分程度の相次ぐ短時間要素作業について,また比較的長 時間の要素作業に続く0.02分ほどの要素作業について正確な時間値を求めることができる。

連続観測法を用いる場合,時間研究結果を計算するのにより多くの事務的作業を必要とする。ストップウォッチの針が動き続けている間に各要素作業の分割点でストップウォッチを読むから,要素作業経過時間を求めるため に,引き続く読みを次々引算する必要がある。

設定された要素作業系列の変異

 

時間研究の過程で,時間研究者は最初に設定した要素作業系列の変異に4つのタイプがあることに,ときたま遭遇するだろう。

第1に,時間研究者はある1つの要素作業を見落とすかもしれない。そのような場合の手続きとしては,時間研究用紙(図表432)の R欄 に「M」とその場で記入する。

第2に,作業者がある1つの要素作 業をときどき省略するかもしれない。このようなことはたまにしか生じないはずであるこれは,作業者が未熟 であることを示している。そのような事態が発生した場合の手続きとしては,R欄に短い水平線を記入する。

発生する可能性のある第3の変異は,最初に記録されたものとは異なった作業順序での1つまたはそれ以上の作業要素の遂行である。このような事態が発生した場合 , 観測者は異常な順序で遂行されている要素作業の発生時刻と完了時刻とをR欄上に即座に記録すべきである。このような手続きは,異常な順序で遂行されている要素作業のそれぞれについて,また正常な順序に復帰した最初の要素作業について繰り返し行われる。

遭遇する第4の変異は,予想しなかった要素作業やそ の作業サイクルの一部分を構成していない要素作業が時 間研究中に発生することである。それらは,「不規則要素作業」と称される。不規則要素作業は,ある1つの計画された要素作業の遂行過程中とか2つの要素作業の間に発生する可能性がある。典型的な不規則要素作業としては,工具の破損,部品や工具のふとした手こぼれ,職長が作業者に質問するという干渉,などのような避けることのできない遅れがある。ある1つの計画された要素作業の遂行中にある1つの不規則要素作業が発生した場合,その要素作業のT欄にアルファベット記号でその事象を表示するのが通例である。2つの要素作業間にある。1つの不規則要素作業が発生した場合,その干渉事象に続く要素作業のT欄にアルファベット記号を記入する。記号「A」は第1の不規則要素作業,記号「B」は第2の不規則要素作業などと規定するために用いることができる。30分以上にわたる時間研究の大部分には,いくつかの不規則要素作業が発生するだろう。

不規則要素作業をその発生時点でT欄に適切な記号で規定したならば,その要素作業の簡単な説明とその完成時間とを時間研究用紙の不規則要素作業区のR欄に記録する。各不規則要素作業の所要時間は,その時間研究を仕上げる際に記入する。不規則要素作業の所要時間,とくに避けることのできない遅れの所要時間は,公正な時間標準の作成との関連において重要な情報である。不規則要素作業の消費時間は,その正常時間に適切な余裕時間を加えて求められる。のちほど示すように,この種の余裕率は典型的には15ないし20%の範囲内にある。もし時間研究の結果異常な数の不規則要素作業が発生するようであれば,時間研究者は公正な余裕時間を設定するに当たって,それら不規則要素作業の合計時間を考慮に入れて処理したいのが通例である 。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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