コラム・特集

3.7 時間研究に必要なサイクル数の決定

IEハンドブック

4部 作業の成果測定と管理


第3章 時間研究

3.7 時間研究に必要なサイクル数の決定

時間研究は,1つのサンプリング手続きである。それだから,適切な大きさのサンプルのデータが収集され,それによって求められた時間標準が適正に正確であることが重要である。

経済的な観点から,観測されるべきサイクル数を決定するに当たって,サイクルの長さと作業活動の両方を考慮にいれる必要がある 図表4.3.3は,1つの時間標準を作成するに当たって時間研究すべきサイクル数を決定する案内として役立つ。

 

適切なサンプルを確保するために時間研究すべきサイクル数は,統計的に求めることができる。この観測回数は,図表4.3.3のガイド ラインを参考にして,時間研究員が観測時間の長さを求めるのに役立つ。

正規分布から抽出されたサンプル平均値Xは,母平均μの回りに正規分布することが知られている。母平均μの回りのアの分散は,a2乗/nに等しい。ここに,nはサンプルの大きさであり,a2乗は母分散である。 正規分布理論によれば,アXの信頼区間の式は次のとおりである。

X ±Z×a/ルートN

式(1)は ,母集団の標準偏差が既知であること を仮定している これはもちろん時間研究を行うときはそうではない。 しかしながら,母集団の標準偏差は,その母集団 からとられた1つのサン プルの標準偏差sを計算するこ とによって推定することができる。

サンプル標準偏差からσを推定する場合,(X-μ )/ (s/“n1/2乗)という量を扱っているのであるが,これはサンプルの大きさが比較的大きい(n>30)場合を除いて正規分布をしない。その分布は,スチューデントの t分布である。このとき信頼区間の式は,次のとおりである。

X±t×S/ √n

与えられた精度に対して必要な観測回数は,Xの百分率としてnに関して解くことによって計算することができる。というわけで,″kX=ts/n1′/2乗となる。ここに,kはXの許容百分率である。だからもしNを時間研究での観測回数,nをXとsの計算に用いたサンプル中の観測値の数とすれば ,次式を用いてNを計算することができる。

N=(st/kX)2乗

tの値はもちろんr分布の百分率点から 求められ,サンプルの大きさnとその確率(P)とによって決まる。例えば,時間研究員は,そのサイクル時間が4分と推定された作業を時間研究するとしよう。 図表4.3.3を参考にして,時間研究員は25サイクルを時間研究することに決める。なぜならば,この作業の年間の繰返し回数が10,000回/年と推定されたからであるこの時間研究員は,Xがμの±10%以内にあることを保証したいとき,このサンプルの大きさで適切であるかどうかを知りたい。バラツキの最も大きい要素作業の平均値が0.25分であることと,その標準偏差が0.5であることを仮定しよう。そうすると,次のとおり計算することができる。

N={(0.05)(20.06)÷(0.10)(0.25)}2乗=16.97すなわち 17

というわけで,大きさ25のサンプルは十分に適切であったことになる。このサンプ ル のtの値は確率0.05(図表 4.3.4参照)のときのも のである。Nの計算についてより詳細な説明については,Niebel著文献を参照されたい。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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