コラム・特集

3.2 時間研究用具

IEハンドブック

4部 作業の成果測定と管理


第3章 時間研究

3.2 時間研究用具

信頼性のある時間標準を作成するために必要な用具は最少限のものである。必要なものといえば,正確な 信頼できるストップウォッチとうまく設計された作業研究用紙と研究結果を整理するための電子計算機だけである。

今日 ,色々なタイプのストップウォッチが用いられている。今日 用いられているものの大多数は,下記の4分類のうちの1つに属する。

1.電子ストップウォッチ
2.十進法分単位ストップウォッチ(機械的機構―0.01分目盛り)
3.十進法時間単位ストップウォッチ(機械的機構―0.0001時間目盛り)
4.十進法分単位ストップウォッチ(機械的機構一0.001分目盛り)

これらのストップウォッチのそれぞれは,長所と短所をもっており,それは研究対象となっている作業の性質に依存する。 時間標準を設定するためにただ1種類のストップウォッチを用いるよりも,少なくとも2種類を準備しておくことが通常望ましい。

 

これらのタイプのストップウォッチのほかに,ストップウォッチに比べていくらかの長所をもったいろいろの時間記録用具がある。これらのなかには,時間記録機, 映画撮影カメラ,ビデオテープ機などがある。

総じて電子ストップウォッチは100分の1秒の最小単位と0.003%の精度をもっている。その重さは約250gで,ほぼ長さ13cm,幅5cm,厚さ5cmほどである。これを用いて任意の数の個々の要素作業の時間測定をすることができ,それと同時に総経過時間を測定することもできる。

電子ストップウォッチは,充電可能なバッテリーによって作動する典型的には,バッテリーは約14時間の連続使用ごとに充電しなければならない。費用は別として,唯一の短所は,輝く太陽のもとで行われる時間研 究で電子ストップウォッチの表示を読みとるにはいくらかの困難を伴うことである。バッテリーの寿命に限りがあることが,時間研究を都合のわるいところで中断させる可能性がある。

十進法分単位ストップウォッチ(機械的機構―0.01分目盛り)は ,大多数の時間研究員に好んで用いられる傾向がある。これは,経済的で持ち運びでき長期間にわたって信頼できる。その文字面は100分割されており, 1目盛りが001分に等しい時間研究員は連続観測時間研究を行っているとき動いている針を読まなければならないけれども,文字盤の大きさと動く針の速さとから考えて,正確に読むことは比較的容易である。

十進法分単位ストップウォッチには特別な用法があり,連続観測時間研究をしているとき,停止した針を読み取ることができるから,多くの時間研究員が便利して用いている。このタイプのストップウォッチは2本の動針をもっており,ストップウォッチをスタートさせたとき同時にゼロから動き始める。第1要素作業の終末点でサイドピンを押すと,下側の動針だけが止まるそうすると, 時間研究員は測定されつつある。要素作業の経過時間を読み取ることができるのであるが,その間上側の動針はサイクル時間を測定し続けている。その後サイドピンを押すと,下側の動針はそれまで干渉を受けることなく動き続けてきた上側の動針と連動する。

十進法時間単位ストップウォッチ(機械的機構―0.0001時間目盛り)は,時間の単位を除けば,十進法分単位ストップウォッチと類似している。もしその企業が十進法時間/個の単位で時間標準を発行するのを好むのであれば,このタイプのストップウォッチが十進法分単位(0.01分目盛り )タイプよりも有利である。

十進法分単位ストップウォッチ (機械的機構―-0.001分目盛り)は,1サイクル中の1要素作業のみ,あるいは1サイクル中の一部分のみの時間測定を行うために用いられる。特殊ストップウォッチである。このタイプのストップウォッチでは,各目盛りは0.001分に等しい。動針が速やかに動くから(文字盤1回り6秒),時間研究員は測定されつつある要素作業の終末点で直ちにストップウォッチを止めて,ストップウォッチを読むことができる。このタイプのストップウォッチは,標準資料を作成するのに便利である。

時間記録機は,時間研究員がいなくても,施設が生産状態にあるときの時間を測定するのに用いられる。 有用な用具である。この記録機には,チャート・ペーパーがあって,その上に針が機械の状態を連続的に記録する。機械はまた活動が生産状態にあるときにのみ,センサーが接続する。多重チャンネルを備えた記録機も入手することができ,数台の機械の状態を一日中連続的に記録することができる。

ビデオテープや映画撮影機も時間研究に役立つこれらの装置は,作業者の作業方法や作業経過時間を記録するのにとくに役立つ。しかしながら,フィルムの費用とかフィルムを現像するために外注するのに時間がかかることが,多くの場合映画撮影カメラの使用を妨げている。高級なビデオテープ装置は初期原価が高いために,その使用を妨げている。

これら両方の映画撮影法は,MTMとかWFのような 基本動作手法の1つによって時間標準を設定するのにとくに有用である。作業者の作業場における動きを撮影し,その後フィルムの1コマずつを詳細に調べることによって,作業研究員は用いられている作業方法を正確詳細に記録し,基本動作時間値を割り付けることができる。

作業経過時間を記録して作業研究の結果を整理するためには,うまく設計された用紙を使用することが重要である。時間研究中のすべての詳細をその用紙に記録すべきである。 これは,図表4.3.1に示すように,用紙上に作業者動作分析図(両手動作分析図)を作り上げることによってなされる。作業域の用具類や材料を記録にとどめることのほかに,送り,切込み,速度,工具の種類と形状,検査規格などのような作業方法資料を記録することができるような様式でなければならない。この用紙には,作業者の氏名と番号,作業手順,機械の名称と番号 , 特殊使用具と番号,作業部門名,作業条件の現状などを記録するための欄をも含めるべきである。

この様式は,時間研究員がストップウォッチの読み,不規則的要素作業,レーティング係数などを便利に記録できるような,そして許容時間を計算するためにこの用紙を用いることができるよう設計されなければならない。 図表4.3.2は,任意の種類の作業の時間研究をするのに便利なように作成された時間研究用紙の表側を示す。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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