コラム・特集

2.4 生産性逓増関数

IEハンドブック
4部 作業の成果測定と管理

第2章 習熟曲線

2.4 生産性逓増関数

生産性逓増関数は,活動的な組織体が製品を生産するときの習熟率を測定し推定する方法である。 この種の習熟は,人的習熟に用いられているのと同じ負のベキ関数に従うことが分かっている。しかしながら、その習熟率はかなり速く,最も普通の習熟率が80%曲 線を示している。また従属変数は通常1ユニット当りの費用または1ユニット当りの時間である。

種々の産業における生産性逓増率に関して多くの研究結果が文献のなかで報告されている。デ・ヨングは図表 4.2.9で要約されているような広い範囲にわたる表を作成している。表にあげられている産業において,ユニット時間の大幅な減少に影響を与える要因はその状況によって相違があった。次の事項がその主な理由である。

1.組織の改善
2.組み立てられる部品の寸法の改善
3.作業方法の改善
4.生産手段の改善(新しい機械)
5.従業員の技能の増大(人的習熟)

このように,生産性逓増は速い割合で多くの産業の中で起こっ ている。 それは,大量のユニットの生産中にも続いている 図表4.2.9に与えられている。例は1ユ ニット当りの時間を示しているが,多くの組織体は,生産個数に対する1ユ ニット当りの費用を打点することによって同じパーセントの生産性逓増率を経験している。 現実的な意味では,生産性逓増によって生産個数が2倍になるごとに 原価が20%ないしそれ以上低減するとき ,標準原価は長期間にわたって標準であり続けることはないからである。生産性逓増関数に関する知識は,入札,原価分析,製品価格の決定にたずさわる人にとって大へん重要である。たとえば競争関係にある2つの会社を考え,共に同じ製品を生産することを決定したとしよう。さらに両社は同時期に生産を開始するものとしよう。しかしながら図表4.2.10に示すように,A社は75%の生産性逓増曲線をもち,B社は80%の生産性逓増曲線をもって いる.明 らかに計算してみるまでもなく,もしA社がB社と同じ生産率で生産するものとすれば,A社のほうがユニット当り原価が低い。

先に提示した式は,次のように多くの要素を計算するために用いることができる。
1.もしκ=100ならば,B社の200ユニット目の単位原価はいくらか? 式(1)を用いて80%曲線のA=0.3219より

y=100(200)-0.3219乗=18.17ドル

2. もしκ=100ならば,B社の最初の200ユニット総原価はいくらか?式(4)を用いて、

C==5,275.31ドル=最初の200ユ ニット の総原価

3. B社の最初の200ユニットの平均原価はいくらか?
ステップ2の答えを200で割ることによって

5275.31/200=26.38ドル

4.次年度20,000ユニットの生産が計画されている。その年度の年初に,すでに3,000ユニットを生産しているとすれば,この製品に対するB社の予算はいくらに設定すればよいか? 式(4)から、

C=100{(23,000+1/2)1-0.3219乗-(3001-1/2)1-0.3219乗/1-0.3219}
=100.1631ドル

 

5.ステップ4のユニット原価はいくらか?

100,163.31/20,000=5.01ドル=ユニット原価

6.B社の計画に変更がある場合を考えてみよう。すなわち,次年度,20,000ユニットの代わりに40,000ユニット計画されているものとしよう。このときのユニット原価はいくらか?式(3)を用いて

平均値=100{(43,000+1/2)1-0.3219乗-(3001-1/2)1-0.3219乗/(1-0.3219)(43,000-3000)}

=427ドル=ユニット原価

7.B社は,材料費ならびに労務費に年10%の上昇を 経験しつつある。ユニット原価が3,000ユニットで7.60ド ルとする。このときB社が,生産性逓増によって,7.60ドルでこの製品を販売し続けることができるためには,どれだけ生産しなければならないか? 答:X× 110=7.60ドルよりX=6.90ドル,これは次年度1年間にわたって実現しなければならない平均ユニット原価である。式 (3)を用いて,

6.90ドル=100[(N2+1/2)1-0.3219乗-(3001-1/2)1-03219乗÷(1-0.3219)(N3-3000) 〕

    N2-N1=2,240。これはインフレーションによる費用増加に対処するために必要な生産個数である。

8.B社 は 3, 月後,さ らに2,500ユ ニットを生産するジョブ・ショップである。1か月後,さらに2,500ユニットの生産に入札するよう要請された。2,500ユニットに対する見積り原価はいくらか?

a.式 (5)を 用いる。 ただしS,R,K の値を金額で表し,SをX1=6,000のとき6.08ドルとし,X2=3,001のときのRの値は、

R1=100-{(100-6.08)/ 6,000}×(3001)=53.02ドル

ただしCS=X1

b.Aの値は 次式より再討算しなければならない。
6.08=53.02(6000-3000)-A乗
A=0.2705

c.式 (4)を用いる。ただし,R=K,N2=2,500,N1 l=3,001,

C=53.02/0.7295」{(2500+1/2)0.7295乗-(1-0.5)0.7295乗}

=21.84764ドル(2,500ユ ニットに対して)

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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