コラム・特集

5.8 データの収集と使用

IEハンドブック

第3部 メソッド・エンジエアリング


第5章 機械干渉:作業員への機械割り当て

5.8 データの収集と使用

これらの時間(手扱い,干渉,歩行,生産時間などに対するすべての値をどのようにして知ることができるだろうか.コンピュータによって,必要なデータ棚察,測定,収集,記録,定量化できるようなシステムもある。

われわれの関心のある問題や業種によっては,関係データの測定と記録のため,担当員が現場にストップウォッチをもっていくこともある。与えられた機械について,(1) 運転,(2)停止・手扱い中,(3)停止・待ち(干渉時間)の時間の長さを記録することができる。同様に,作業員が機械から機械へ歩くのにかかる時間値も,その他の必要とするメジャーといっしょに記録することができる。もう1つ のデータ収集手法に,遅れ率研究(ratio-delay study)がある。

これは,ランダムに機械をサンプリングしてデータを集めるものである(第3部第2章参照)。このデータは,必要とする数値の見積りに使われる。たとえば,平均手扱時間は,観測したすべての手扱時間の値を合計し,記録した手扱時間の観測回数で割算して計算する。同様に,停止頻度,停止の起こる平均的長さ,停止間平均時間,平均停止時間(これは,平均手扱時間と平均干渉時間とに分解できる)が計算される。

遅れ率研究のような技法では,まず,ここで述べたデ ータの記録が必要であり,次に,停止時間DのパーセンテージとしてSとIの計算や平均経過時間CのパーセンテージとしてS,I,Pの 計算が必要となる。S+I +P= C(巡回やその他の時間を考慮に入れない場合)であるから,S/C,1/C,P/Cともすべて1よりも小さいことがわかる。さらに, S/C + 1/C t+P/C=1(パーセントにするために100を掛けると合計で100になる。

たとえば,8時間シフトの間,機械は6時間実動し,手扱時間1時間半,アイドル30分と仮定しよう。そうすると,(P/C)100%=75%,(S/C)100%=1875%, (1/C)100%=625%となる。

ここでは,関係数値の多くを実際の現場データから導き出されることを示した。しかし,機械干渉時間は,次のような理由により,この方法で出すのは不便であることがすぐに分かる。

1 何台かの機械に対する手扱時間,干渉時間,巡回時間などの同時事象の時間を測ることは困難である。

2.異なったサイズのすべての範囲で可能な割り当てについて網羅する干渉の表や曲線を作成る必要がある(莫大なストップウォッチ研究と製造システム自体への混乱)。

3.N台の機械の停止(普通,予測不可能で変動)の測定は,時間研究でしかできないとしても,その工場の実際の状況を表すのに十分な測定期間は与えられていないかもしれない。

4.遅れ率研究は確実なものではない 時間値をランダムにサンプルしたものであるからだ。

したがって,多くの手法は,割り当てられた機械の台数,手扱い,生産などの時間を含む数学的な関係を使って機械干渉の大きさを定義しようとするものである。間題を決定論的に取り扱い,関与する変数の間の経験的関係を導き出すという手法もある。また,待ち行列理論(第13部第7章参照)や二項展開(第13部第1章参照)を用いて固有の属性としての変数を考慮に入れていく手法もある。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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