コラム・特集

5.6 作業員の待ち行列規準

IEハンドブック

第3部 メソッド・エンジエアリング


第5章 機械干渉:作業員への機械割り

5.6 作業員の待ち行列規準

何台かの機械が停止した場合,作業員がつぎにどの機械にかかるかを,どのように選んだらよいか。

この決定によって,干渉の大きさが決まる。作業員の決定ルールのことを ,「待ち行列規準(queue discipline)」という可能性のあるいくつかは,次のとおりである。

ランダム応対(random tending)
作業員が,何台かの停止機械のうちの1台をちょうど修理完了したところだと仮定しよう。残りの停止機械に対して,次に修理される確率がそれぞれ同一である場合 , この決定プロセスのことを「ランダム応対」または ,「ランダム・サービ ス」と呼んでいる。すなわち ,停止機械は ,ランダムに手扱いサービ スされると いうことである。

サイクル巡回(cyclic patrol)
「サイクル巡回」と呼ばれている待ち行列規準は,機械が故障や停止していなくても ,サイク ルとして与えられた経路にしたがって,各機械を作業 員が巡回しチェックするというものである。業種によって,定期的な検査やチェックの不可欠なところがある。とくに ,管理不十分だと大量の不良品を出してしまう生産工程の場合である。たとえば,繊維産業では ,ある均一な品質で織布を行う必要がある。サイクル巡回 (「サイクル応対」と か「定期パトローリング」とも呼ばれている)には ,いくつかのタイプがある。

 

閉サイクル巡回(closed cydicpatrol)
閉サイクル巡回は,指示された最初の機械から,2番目の機械へと作業員は順番に移動し ,最後の機械までそ れぞれ1回ずつ回るというものである。最後の機械のつぎは,最初の機械に戻るというサイクルの経路である(図表3.5.1の実線を参照)巡回中に発見した停止機械は , すべて修理し再始動させる。

交互サイクル巡回(alternating cyclic patrol)
同種の規準として,交互サイクル巡回がある。この場合,作業員は最初の機械から経路にしたがって最後の機械まで歩いていき,つぎに逆方向をとる。逆順序で同じ機械を巡回するのである。 図表3.5.1にあるように , 作業員は,機械1,2,3,7,8,9を割り当てられているものとする。破線で表しているように,交互サイクル巡回の場合,取り得るサイクルは,たとえば次のとおりである。

1→ 2→ 3→ 7→ 8→ 9→ 8→ 7→ 3→ 2→ 1

作業員は,再び巡回を開始し,途中で停止機械を見つければ,サイクルのどちら向きの巡回であっても取りかかるというものである。

距離プライオリティ(distance priority)
いろいろな種類の待ち行列規準のうち,何台かの機械 ,またはすべての機械に,プライオリティを与えているものがある。このような規準に,距離プライオリティがある。作業員は,もっとも近い停止機械にいかねばならないというものである。(このルールが一般に実施されている)製造システムではむろんだが,このような決定ルールは,規則強制やゲリラ戦においてこそ(ここでは, 規則やゲリラによって,適用するとランダム・サービス規準は害になる)意味のあるものである。このプライオリティは,いろいろな場所に設置されているコンピュータのメンテナンスを行う修理員(のグループ)を考えると,より理解しやすくなる。サイクル応対やランダム応対で指示する場合よりも移動距離は短くなる。

 

非先制プライオリティ(nonpreemptive priority)
プライオリティ規準の1つとして,さらに,非先制プライオリティがあり,次のように表現することができる。1人の作業員がN種の異なったグループの機械を扱うように割り当てられている。1番目のグループの機械がNi であり,i=1,… …,N.1番目のグループは,(i+1) 番目のグループよりも高いプライオリティをもつように 順序づけられたものとする 。ある機械を修理中であるとき,それよりも高いプライオリティの機械の停止によって,その機械の修理が中断されない(その機械は,先制されていない)という場合,非先制プライオリ ティである。

基本的には,作業員がある機械の手扱いを終了し たときに,次に取りかかるべき機械を知る必要がある場合 にのみ,機械のプライオリティというものが考えられる。この場合,作業員は,停止した機械を含む最もプライオリティの高いグループから1台の機械を(ランダムに , すなわちランダム応対)選択するものである。 もし ,すべての機械が作動しているならば,つぎの機械が停止するまで,作業員はアイドルである。このようなシステムの特殊ケースとしては,各グループの機械の台数が1台 , すなわち,Ni=1,i=1,2,… ,Nのときがあり,N台 の機械を作業員に割り当てているときである。

先制プライオリティ(preemptive priority)
先制プライオリ ティ規準は,非先制プライオリ ティに似たものである。その違いは,現在,取りかかっている 機械よりも高いプライオリティの機械が停止した場合 , 作業員は現在の機械の修理を中断して,より高いプライオリティのうちの1台に取りかかるというものである。 (現在,取りかかっているその機械は,先制されていたという)作業員が,先制されていた機械に再び取り掛かると, そのサービス規準にしたがって,中断したところから始めるか,あるいは再び開始しなおすことになる。

最短手扱時 間プライオリ ティ(shortest service time priority)
どの停止機械の手扱時間が長いか短いか知られている場合がある。この基準を適用すると,次に手扱いすべ き機械は,もっとも早く修理できるものとなる。

規準の比較
そのほか可能と思われる待ち行列規準は数多くある。さらに詳しい情報や数学的結果については,ジェイスワルを参照されたい。

一般に,いわゆるランダム応対よりも,最短手扱時間や最短距離プライオリティが良い結果を与えている。 その問題固有の手扱時間や歩行時間の長さのデータいかんによって,この2つのうちどちらが良いかが決まる。ただし,両方とも,(1)機械運転の継続,および (2)干渉の減少にきいている。

さらに,適切に用いられた先制プライオリ ティも同様に,非先制プライオリティやランダム応対よりも良い結果を得ることができる。

最後に,実務的にはランダム応対でさえも、ふつうは,機械運転の継続や干渉の減少を 成するのにサイクル巡回のどれよりも良いものである。 しかしながら,すでに述べた理由により,ある種の機械では,定期的なチェッキングや管理が必要なものがあり, サイクル巡回規準が適用されるものがある。

 本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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