コラム・特集

3.11 簡単な事例

IEハンドブック

第3部 メソッド・エンジエアリング

第3章 分析図法

3.11 簡単な事例

事例1 エンジンの分解,洗浄,お よび脱脂
この仕事の工程は,流れ工程分析(図表3.3.1)および流れ線図(図表3.3.9)に示されている。これはバス・エンジンの整備工場の事例である。

ここではエンジンは分解,脱脂,洗浄の後で検査される。工程分析図をしらべてみると,「非生産的」作業の割合が高い。すなわち,21回の「移動」と3回の「遅れ」に対して,「作業」は4回 ,「検査」1回となっている。最初の「保管」を除くと,29回のアクティビティのうち, 5回だけが「生産的」と考えられる。

それでは次に,第 1回 目の運搬の部分に,質問法を適用してみよう。

Q 何が目的なのか ?
A エンジンは1台 の電動クレーンで倉庫から運ばれ て,地上に置かれる.次いで,別 のクレーンで分解作業場へ運ばれる。

Q なぜ運搬をやり直す必要があるのか ?
A 倉庫から脱脂作業場を結ぶモノレール・クレーン で,吊り上げて直行できるような保管状態ではないから。

Q 同じ結果を実現するのに,別の方法はないか ?
A エンジンはモノレール・クレーンをすぐ利用できるように保管できるから,吊り上げると,そのまま分解作業場へ直行するように変えられる。

Q それをするには,どうすればよいか ?
A 前述の案を実施すればよい。

改善案に対する流れ工程分析図と流れ線図は,そ れ ぞれ図表3.1.6,および図表3.3.9に示されている。

事例2 縦フライス盤による鋳物の仕上切削
鋳鉄鋳物の片面のフライス仕上作業である。反対面は , 固定具に対する位置決めに使われる。

改善前の作業方法は,図表3.3.10に示されている。 批判的観点でこの分析図を調べてみると,作業サイクルの約4分の3の時間は,機械は停止中であることが判る。

これはすべての手作業を機械を停止させたまま行っているのに,自動送りで機械を運転中は手待ち状態でいるからである。

図表3.3.17にその改善案を示している。 この方法によると,寸法測定,切削面の角の面取り,完了品箱への加工済み鋳物の格納,および未加工鋳物の取り出しと,作業台上への仮置き,という手作業を,すべて機械の運転 中に行うことになっている。

完成品箱と未加工品箱を並べたことで,加工品の格納 と未加工品の取り出しを同時動作に変え,若千の時間短 縮も図っている。 また,角の面取りが終わるまでは,圧縮空気による加工品の清掃を後回しにしたため, 1つの動作が節約された。

このようにして,2分の作業を0.64分節減し,特別の投資もせずに,フライス盤と作業員の効率を32%向上させたのである。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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