コラム・特集

3.10 標準的質問法

IEハンドブック

第3部 メソッド・エンジエアリング


第3章 分析図法

3.10 標準的質問法

疑間を抱く態度
これまで述べてきた分析手法は,単に作業方法を記録 , 表現する手段にすぎない。 そこでまず初めに,本章の冒頭で述べた方法研究に関する5段階の基本手順のうち ,「3 精査」と「4 開発」の段階において,この分析手法の使い方を説明する。

なが年仕事を惰性的に続けている人やその仕事を知りすぎている人には,改善の可能性に気がつかぬ場合が多い。このような過ちを防ぐ良策の1つは,現状に疑間を抱く態度を強化することである。

質問法というのは,ある作業について改善のヒントを得るために,手順的に,あらかじめ決められた質問を投げかけて考えるアプローチである。

これはシステマティックな発想法の1つである。 これは図表3.3.15に示すように,排除,組合せ,入替え,および簡素化という,4つの一般的なアプローチからなっている。 これまで述べてきた各種の分析手法の各分析ステップごとに,この手順を適用するのである。

標準的手順
工程または作業の分析された各ステップごとに,何のために(what),何処で (where),何時 (when),誰 (Who)およびどの様に(how)という5つの質問を投げかける。その一つ一つに,何故(why)という疑問詞を組み合わせて行う。

改善研究者は,つぎの順序にしたがって,各質問に , 徹底して食いさがるべきである。

<目 的> 何が目的なのか? 何故?――何故それをする必要があるのか? もしそれをしなければ, どうなるのか? 同じ結果が得られる別の方法はないか? どうしてもしなければいけないことは,いったい何なのか ?

<場 所> 何処でするのか? 何故?――もっとうまくやるのに,何処か別の場所はないか? どうしてそこでしなければいけないのか ?

<順序。 時間> 何時するのか? 何故?――もっと経済的にするのに,男りの順序,別の時点はないか ? どうしてその順序,時点でしなければいけないのか ?

< 人 > 誰がするのか? 何故?― もっと能 率的にするのに,別の人が居ないか? どうしてその人でなければいけないのか ?

<方 法> どの様にするのか? 何故?― より安全で効率的な別のやり方はないか? どうしてもそのやり方でないと,いけないのか

図表3.3.15のようなシステマティックな質問は,つぎのような一般的アプローチに結びつく。すなわち,工程 または作業を,ある分析手法で分析・区分したステップ毎に,つぎの手順を適用して,改善着想を探求する。

1 すべての不必要な単位作業や要素作業の排除(Eleliminate)一 コミュニケーション不足や,なが年の惰性から,無駄な作業が行われていることも珍しくない。この種の改善の実施には,特別の準備や投資の必要のないのが普通である.ここで述べる4つの改善アプロー チのうち,最も重要な部分である。

2 単位作業や要素作業の組合せ(C:combine)― 別の場所で別々に行われている作業を, 1人の作業員に 行わせたり,同 じ場所に移したりすることによって,改 善方法を見出すことがある。

3 単位作業や要素作業の入替え (R:rearrange)― このアプローチで改善が実現しやすいのは,単位作 業や要素作業の順序替えである また作業場所や人の変 更も考慮してみる必要がある

4 必要な単位作業や要素作業の簡素化(S:simplify)―上述の3つのアプローチがすべて不成功に終 わったとき,初めて個々の単位作業や要素作業自体の , 簡素化の改善に取り組むことになる このアプローチで は,手作業の効率化だけでなく,治工具や設備の有効活 用も工夫すべきである。

上述の4つ のアプローチは,改善効果の大きさで考えた重要度の順に並べられている。

質問法の実務
代替案は多ければ多いほど望ましい また,初めに浮 かんだアイデアが,必ずしも最善とは限らない。 1つの改善案では十分でない。できるだけ多くの代替案を考え出すべきである。

単位作業または要素作業は,つ ぎの3種類のオペレーションに分類される一 実施(do),用意(make ready), 片付け(put away)

「実施」は,加工品の形状や化学的または物理的状態を変えることをいう。そして,まず初めは,「実施」の オペレーションの改善から取り上げるべきである。

「準備」オペレーションは,「実施」オペレーションの 準備作業に相当する。たとえば,機械の段取または運転 準備などが,それである。

「片付け」のオペレーションは,加工品を機械または 作業場から移動することである。たとえば,清掃,横ヘ 置く,材料の補充など まずすべての「実施」オペレーションから検討を始めるほうがよい。 なぜなら,他のオペレーションは,すべて「実施」オペレーションに左右されるからである。

本コラムは絶版となっている「IEハンドブック(サルベンティ編・日本能率協会訳・1986)」をアーカイブとして掲載するものです。このハンドブックの各章は多くの事例と理論を通して生産性向上に対するアイデアを提供するべく専門家によって執筆されています。基盤をなしているIEの考え方・原則はインダストリアル・エンジニアリングにかかわるすべてのひとに有用でしょう。

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